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【平昌オリンピック】 ついにNHL選手出場は絶望的に! オベチキンもクロスビーも韓国へは行けない!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
NHLのベットマンコミッショナー(右)と国際アイスホッケー連盟のファゼル会長(写真:ロイター/アフロ)

来年2月9日に開幕する「ピョンチャンオリンピック」まで、あと11か月となりました。

先月の「四大陸フィギュアスケート選手権」など、オリンピック会場を使用して行われるプレ大会なども始まっていますが、その一方で、かねてから、当サイトで紹介してきた「男子アイスホッケー」への現役NHL選手の参加は、ほぼ絶望的な雲行きとなりました。

▼長野オリンピックから始まったオリンピックブレイク

1998年の「長野オリンピック」を皮切りに、NHLは「オリンピックブレイク」を設け、現役選手たちが祖国の代表として出場できるように、レギュラーシーズンの中断期間を設けていました。

アメリカだけがドリームチームと呼ばれるバスケットボールとは違って、カナダ、アメリカ、スウェーデン、チェコ、ロシアなど、「ドリームチーム vs ドリームチーム」の試合が見られるとあって、世界中のスポーツファンが大注目!

そのため、長野だけに終わらず、「ソルトレイク」、「トリノ」、「バンクーバー」、そして2014年の「ソチ」と、NHLは5大会続けて「オリンピックブレイク」を設けて、選手たちの出場を後押しするスケジュールを組んでいました。

▼独自路線で稼ぐNHL

しかし、近年になって風向きに変化が・・・。

その理由は、昨秋に12年ぶりの「ワールドカップ」を開催し、収益面やメディアの反応が好調だったことから、新たな国際マッチの創設準備を本格的に始めるなどして、NHLの独自路線で稼ぐ方向へ舵を切ろうとしています。

手始めに2011年を最後に開催されていなかった北米以外での公式戦を、来季は再開する準備を進めているのとともに、中国でのプレーシーズンゲーム開催も模索中です。

▼スター選手のアピールも・・・

一方、国際アイスホッケー連盟も、冬季オリンピックでは毎回最後の金メダルを争う種目で、文字どおりメインイベントと言える男子アイスホッケーに、NHLの現役プレーヤーが出場しないとあっては、魅力も半減。

そのため、一時は決裂寸前まで進んだと報じられる「NHL選手がオリンピックに参加する際に負担してきた保険代や移動経費の負担」についても、態度を軟化させるなど引き留めに注力してきました。

さらには、

「もしNHLが(オリンピックブレイクを設けず)出場出来る環境が整わなかったとしても、オリンピックに出場したい」

byアレックス・オベチキン(ワシントン キャピタルズ=ロシア出身)

「オリンピックは、ワールドカップや世界選手権とは、比べ物にならない」

byジョナサン ・テイズ(シカゴ ブラックホークス=カナダ出身)

このように、NHLの顔とも呼べるスターたちが公言したことから、NHLは再度交渉のテーブルにつき、当初のタイムリミット(昨年末)を過ぎたあとも協議が行われました。

▼代表者会議の結論は「NO」

NHLではレギュラーシーズン中にも、全チームのGMらを集めた代表者会議を実施していますが、現在フロリダで開催中の会議で、メディアの前に現れたベッドマンコミッショナーは、「来季のスケジュール作成は、オリンピックブレイクを組み入れない形で進めている」と明言。

「何か劇的なことが起こったら、変わる可能性がある」とも、ベッドマンコミッショナーは公言したそうですが、代表者会議に出席したGMからは、「オリンピックブレイクを設けて、レギュラーシーズンを中断することは、ほとんど利益を生み出さなかった」との声も聞かれたのに加え、何よりも「開幕まで、あと11か月」という現実を精査すると、

ピョンチャンオリンピックにNHLの現役選手が出場するのは「絶望的」

な状況となりました。

▼中国には色気も !?

しかし、その一方で、ビル・デイリー副コミッショナーは、

「(2022年の)北京オリンピックについては、ビジネスチャンスがあるかもしれない」と、現時点ではNHLの現役選手出場を否定しませんでした。

果たして、NHLの現役選手たちが集うドリームチーム同士の戦いを、アジアで開催されるオリンピックで、再び見られる日はやってくるのでしょうか?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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