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浦和が阿部勇樹のFK、李忠成のループボレーで柏を下し、リーグ戦4連勝

神谷正明ライター/編集者

浦和レッズは9日、セカンドステージ第3節の柏レイソル戦を2対0で制した。前半32分に阿部勇樹がFKを直接沈めて先制すると、後半5分には興梠慎三とのワンツーから李忠成がループボレーで加点。柏にカウンターからチャンスを作られる場面もあったが、なんとかしのぎ、ファーストステージ第2節のアビスパ福岡戦以来のホーム無失点勝利となった。以下は浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督、選手のコメント。

■ミハイロ・ペトロヴィッチ監督

私は今日のチームの出来には満足していません。特に前半、我々の強さである後ろからの組み立ての部分がうまくできていませんでした。ボールをつなぐことを恐れ、長いボールを多用してしまった前半でした。後半は若干改善して、我慢してボールを動かしていくなかでチャンスを作れていたと思いますが、前半の後ろからのボールの運びができていなかったことに関し、私は非常に不満を覚えています。トータルして見れば、浦和が勝利に値するゲームができていたと思っていますが、ただ勝って全て良しというわけではありません。特に前半の攻撃の組み立て、そこに私はとても不満を持っています。

──前からボールを取る力がファーストステージに比べて落ちているように感じたが、攻撃面と関係あるのか?

長いボールを蹴るがゆえに、はね返されて前からボールを奪えない。後ろからポゼッションしながら運ぶ、あるいは高い位置までボールを動かしながら仕掛けていければ、相手陣内でボールを失ったとしても、そこで人数を掛けてボールを奪いにいくことができる。ただ長いボールを蹴るがゆえに、後ろから押し上げようとしても、跳ね返されてボールが自陣に戻ってくる、それで前でボールを奪いに行く回数が少なかったのだと思います。もちろん、相手も中を締めた守備をしていましたが、ボールを動かすなかで縦につけられるパスコースも生まれると思います。それをせずに、早い段階から長いボールを蹴り込む場面が多かったので、なかなか自分たちの狙いとする攻撃の組み立てができませんでした。選手も狙いとすることをやろうとしてくれたとは思いますが、後ろの選手は普段と立ち位置が違う影響ももしかしたらあったかもしれません。ただ、できていなかったのは事実です。私は勝てば良しという日本的な見方を決してしていません。結果だけでサッカーを判断してはいけません。今日は勝利しましたが、決して満足できる内容ではなかったと思っています。ファーストステージの最後に3連敗しましたが、内容的に見れば今日よりもいいゲームはありました。負けてしまうと全て否定されてしまいますが、私はそうは見ていません。今、我々は4連勝していますが、勝っているから全てがいいかと言えばそうではありません。勝っているなかでも、3連敗した試合よりも出来が悪い試合もありました。

──前節は那須選手がセットプレーで決め、今節も阿部選手が決めましたが、セットプレーで取れていることについては?

柏は我々が狙いとするサッカーにとっては、理想的な戦いをしてくれました。前からプレッシャーを掛けに来るなかで、我々は2回に1回はプレッシャーを外してシュートシーンまで持っていけるようなプレーができるはずです。そういう意味で理想的な戦いをしてくれた柏に対して、我々は自分たちの強さである後ろからの攻撃的な組み立てができませんでした。そのことがとても不満です。我々は日々そういうトレーニングを積んでいます。相手が前からこようが、それを外して前にボールを運んでチャンスを作れるようにすることがトレーニングでやっていることです。それが今日のゲームでできなかったことが腹立たしいです。ゲームのなかで、選手がボールを受けるのを怖がって動かない場面を見ることは非常に腹立たしいです。それ以外の部分で選手の勝利への気持ち、一対一の戦い、運動量の部分はとても良かったと思います。ただ、攻撃の組み立ての部分は不満です。たとえば、クリスティアーノ選手やオリヴェイラ選手はいい選手で、個人の能力が高い選手です。ただ、そういった選手のところで数的優位を作っていくことは、サッカーのなかでアドバンテージです。負けたチームが全て否定されるわけではないし、勝ったチームが全て賞賛されるわけでもありません。サッカーというのはもっと多様な見方がなければいけません。それは私からみなさんへのメッセージです。私は負けたときも内容的に上回っていたとコメントすることも多いですが、逆に勝ったときも出来が良くなかった、あるいは不満であるということはコメントしています。結果だけでなくサッカーそのものを見て、ものごとを捉えるということをした方がいいと思います。

──下平監督が浦和の方が個の力が強いチームだとコメントしてたが?

多くの方は、浦和は選手のクオリティーが高いと言われます。よくボードを使ってミーティングをされる監督さんがいます。ボードを使って選手にどういう狙いを持って動いてほしいということを話すと思いますが、ピッチに立ってしまうとなかなかそうはいかないことが多い。監督の仕事のなかで大きなものの一つは、いかに自分の考えてるアイデア、戦術を選手に落とし込んでいくかです。それを練習のなかで指導しながら、できるように仕向けていくのです。それが監督の大きな仕事の一つです。それを日々の練習で繰り返すことで、自分の頭のなかの戦術的なイメージを選手が学び、実践していくことにつながっていきます。若い指導者の方でよくあるのは、選手が飽きないように様々な練習をすること。そういった練習の本もたくさん出ていますが、闇雲にトレーニングさせても自分の思い描いた戦術ができるようにはならないと思います。大事なのは何を目的としてやっているかという哲学をしっかり持ってやることです。練習にはいろいろなやり方がありますが、全て同じ目的に向かっていなければいけません。そうやってチームに戦術が浸透していくのです。頭のなかで描いたことを選手が実践するにあたって、どういうトレーニングで組み立てていったらいいのか、どういうプロセスを踏んでいったら実現するのかをしっかり考えて練習しなければいけません。

私が84年にディナモ・ザグレブでプレーしていたときの監督はブランコ・ゼベツでした。彼が私に言ったことは、たとえば新聞を10紙読んで、全てに目を通すと、結局何が書かれていたのか頭に残るものは薄いが、3紙に絞ってしっかり読んだら頭に残るものは濃いと。たとえば、クラブの会長やGMが見にくると、監督はいろいろなトレーニングができることを見せようとします。でも、そうすると選手は何を目的としてやっているのかわからなくなってしまいます。ただ、3つくらいのトレーニングを繰り返せば、選手は何を目的として、どういうことをやらなければいけないのか明確になります。私はグラーツ、広島、浦和を率いてきましたが、どのチームでも狙いを明確にして、プロセスを踏みながらトレーニングしてきました。いいゲームをするときもあれば、そうでないときもありますが、自分たちがどういうサッカーをするのかは監督として明確に示してきたと思います。見たことはありませんけど、おそらく川崎の監督さんは毎日同じようなトレーニングをしていると思います。ボールポゼッションをしながらスペースを狙う、ボールの止め方、動き方を毎日同じようにやっているのではないかと思います。監督として指導したことのない人はもしかしたら「この監督、毎日同じ練習をしているな」と思うものかもしれませんが、ゲーム形式の練習のなかには全てが詰まっています。試合に必要なことは全て詰まっています。

以前、私がオシムさんのアシスタントコーチをしているときに、オーストリアの協会の偉い人が練習を1週間くらい見にきたことがありました。オシムさんは常に3対3、4対4、5対5、7対7という対人のゲーム形式が多いですが、その練習のなかでゲームに必要なことを落とし込んで指導していました。見にきた方は毎日同じことをやっているとしか思わなかったようで、それ以降は見に来ることはなかったです。3対2のトレーニングは攻撃の練習と思われがちですが、どちらかと言えば守備的なトレーニングであると思います。試合のなかでもカウンターを受けて、数的不利で守らなければいけない場面はありますが、そういうときに2人のDFがどこをしめて、どこを優先して守って、相手の攻撃を限定しながら守るか。それは、より守備的な練習の一つだと思いますが、そういった狙いを練習をパッと見て理解するのはなかなか簡単ではないと思います。

■阿部勇樹

(FKは)入っちゃいましたね。あまり記憶にないです。覚えている限りだと、2010年くらいじゃないですかね。(2010年の湘南戦のゴールは)DFに当たってるから。当たらないで入ったのは09年の千葉とやった時かな。久々に蹴った割には気持ちよく当たって入ってくれた。ファーサイドに蹴ることが多かったですけど、距離的にも近すぎず、遠すぎずだったので、しっかりボールをミートできればいいかなという気持ちで蹴ったら、ちょうど乗っかった感じでした。

■柏木陽介

阿部ちゃんがいいFKを蹴れることはずっと知っていたから、阿部ちゃんが蹴ればと言った。マキ(槙野)より阿部ちゃんやろと正直思っていたぐらいだから。いい距離だなと思ったし、壁の位置を見たら阿部ちゃんが蹴ったほうが入る確率は高いだろうと思い、中に上げるふりをするからと言って、俺がまたいで阿部ちゃんに蹴ってもらった。そもそも、あっち側は俺は蹴ってなくて、トシ(高木)やマキ(槙野)に任せている。阿部ちゃんがいたら蹴ってもらうつもりだったし、自分が蹴ってどうこうではなくて、自分の得意のコースのFKが来たら自分が蹴って決めるだけ。

■李忠成

(ゴールの前に)自分に大きなチャンスが来て、決められずに少しモヤモヤしている気持ちがあった。2点目でチームが落ち着いて、勝利がグッと近付くゴールになったと思う。(ゴールのループボレーは)もちろん狙いました。そのチョイスは正しかった。強く打つか、浮かせるか、二つの選択肢があったと思うけど、ボールもボールだったので浮かせようと。いいチョイスができたんじゃないか。(決定機で外した場面は)あまりにも余裕がありすぎたので決めないといけなかったけど、2点目を取れて本当によかった。(ループは得意?)チームメートからは「ルーパー」と呼ばれています。たぶん、Jリーグの中で一番ループシュートがうまいんじゃないかと思う。以前も決めているし、僕の哲学の中ではループシュートが最強だと思っている。GKも触ることができずに、GKにとってはノーチャンスのゴールだと思う。(ボレーシュートのイメージも強いが)感覚的にあのタイミングでループシュートを打つと入ります。ボールもよかった。あのボールは上に狙うか、ピッチが少し濡れていたので下に叩きつけて転がして速いシュートを打つ選択肢しかなかったと思う。とにかく感覚ですね。

■森脇良太

左でのプレーは難しいですけど、与えられたポジションでやるのが仕事。ゼロで抑えられたのはチームにとっても、自分にとっても幸運だと感じています。何回かピンチもあって、やられてもおかしくない中でポストに当たった場面があったので、そこでゴールにならなかったのは幸運だったと思います。そこで失点していれば違った展開になっていただろうし、いい部分もありましたけど、運のいい部分もあったと思います。(伊東順也が)前半から仕掛けてきていたし、足も速くて、いい選手だと知っていた。どのチームも伊東くんに苦しめられていたので、ウガと2人で協力してやろうと。俺が抜かれてもウガがカバーするし、ウガが抜かれても俺がカバーすると。最後の部分でやらせないでがんばろうというのが約束事だったので、何回か危険なシーンを作られたけど決めさせなかったのはポジティブに捉えている。ただ、前半からかなり仕掛けられていたので、僕とウガの体力はヤバかった、本当に(笑)。全部こっちにボールがくるな、伊東くんが起点になっているから、とにかくしのごうなという会話ばかりしていました。

■宇賀神友弥

1トップ2シャドーにどうパスをいれるか考えてやっていましたけど、なかなかスペースがなくて、いつもなら自分から斜めのパスを入れてスイッチを入れたり、森脇くんが入れたりしていたけど、前半はそういうのがなくて、攻撃の形をあまり作れていなかった。(ブロックを作って守っていたが)ラインを少し低くしての守備はボランチの負担が大きいので、夏場でただ引くだけでは厳しいと思います。もう少し中で固めて外でやらせるとか工夫が必要だと思います。今日は守備での距離が少し広かったかなと思います。夏になって気温が高くなると、全部が全部、前からプレスにというのは厳しいと思うので、毎年そうなんですけど、そういうところでうまく戦えるチームが優勝に近づくと思います。広島もそういうなかで前のクオリティで1点取って勝つ、セットプレーで取って勝つということをやって年間チャンピオンになっていると思うので、攻撃的な守備にプラスして、そういう賢さも見せていきたい。

■遠藤航

(左ひじは)当たるとまだ痛いですけどテープを巻いているのもあるので、少し固定するから上手く曲がらない感じですけど試合中は気にならないです。ファーストプレーで怖がらずにいこうと自分の中で決めていたので、それをしっかりこなせて、その後はケガを気にせずプレーできました。怖がっていかないのはダメだと思ったので、あえて最初はヘディングに強くいくことを意識していました。まだ腕の振り方が変だとは言われましたけど(笑)。肩甲骨で走れば別に大丈夫なので、腕はあまり意識してません。

ライター/編集者

大学卒業後、フリーライターとして活動しながらIT会社でスポーツメディアに関わり、2006年にワールドカップに行くため完全フリーランスに。浦和レッズ、日本代表を中心にサッカーを取材。2016年に知人と会社設立。現在は大手スポーツページの編集業務も担い、野球、テニスなどさまざまなスポーツへの関与が増えている。

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