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腰痛で無念の早期交代を悔しがる興梠。でも五輪の準備はすでに万全?

神谷正明ライター/編集者

思い描いていた通りにはいかなかった。リオデジャネイロ五輪にオーバーエイジとして参加する浦和レッズのFW興梠慎三は、大宮アルディージャとのさいたまダービーが2ー2で終わったことを受け、「サポーターが一番勝ってほしい相手だったと思うし、勝ち点3を取って行きたかった」と唇を噛んだ。

上位を目指すチームのためにも、自身が気分よく五輪に向かっていくためにも必勝を期して臨んだ試合だったが、「前半の最初のころ、どこでなったかわからないけど、急に腰がピキっときた」と思わぬアクシデントにも襲われていた。

それでも五輪前のラストマッチで白星を飾るため、出来る限りのことはするつもりだった。「監督にはとりあえず交代枠だけ残しておいてほしいと言ってあった。限界だったら自分から言うと話していた」。しかし、興梠は後半12分と早い時間での交代を命じられた。

「それでもできると言っていたけど……。これからという時に個人的には納得のいかない交代でしたけど、それは監督の決めることなので」。指揮官の決断は尊重している。だが、五輪のためにチームを離れるケジメとして結果を残しておきたかっただけに、悔しい思いが抑えきれない様子だった。

「後半は相手も疲れてくるなかでスペースも空いてくるので自分が生きたと思うし、そういう意味で交代されたのはちょっと……」。ラストマッチが不完全燃焼で終わってしまった興梠は「チュンと2つ交代だったので、どっちか一人で良かったかなと思いますけど」と笑いながらも「最後なのでとりあえず気持ちよくいきたかったですけど、気持ち悪いことになりました」と早めの交代をしばらく引きずっていた。

しかし、ここからは五輪に向けた新たな戦いが始まる。興梠はオーバーエージとしてチームに加わるため、限られた時間のなかで馴染みのないメンバーとの連携を構築していかなければならない。

実はやれることはもうやっている。リオ五輪代表でも共に戦うことになる遠藤航が明かす。「意外と慎三さんの方が『あの選手はどうなの?』とか気にしていて。僕も話せることは話していますし、そうやって聞いてくれることは間違いなくチームにはいいこと」と事前にチームメートの特徴を知ろうとしているという。

ふてぶてしさも漂う天才肌だが、実は繊細。興梠は「テグさんの目指すサッカーに一日でも早く馴染み、それを身につけて貢献したい」と求められる役割を忠実に果たすつもりだ。

ライター/編集者

大学卒業後、フリーライターとして活動しながらIT会社でスポーツメディアに関わり、2006年にワールドカップに行くため完全フリーランスに。浦和レッズ、日本代表を中心にサッカーを取材。2016年に知人と会社設立。現在は大手スポーツページの編集業務も担い、野球、テニスなどさまざまなスポーツへの関与が増えている。

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