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「バラバラだった」と反省の遠藤。五輪に切り替え「向こうで結果を残すだけ」

神谷正明ライター/編集者

できれば笑顔でチームを離れたかったが、もう気持ちは切り替えた。浦和レッズは17日に行われた大宮アルディージャとのさいたまダービーで2ー2と引き分けた。この試合を最後にリオデジャネイロ五輪に向けた準備に入る遠藤航は「これからは五輪に頭を切り替えて、自分のできる100パーセントの準備をして臨みたい」とスイッチを五輪モードに入れ替えた。

浦和は前半37分に柏木陽介のFKで先制点を奪ったが、前半アディショナルタイムに江坂任に手痛い同点ゴールを許した。その江坂のマークを担当していたのは遠藤。「一回ニアにいって、相手もいたので、つまづきながら前に走って、その後に裏に走られて、その裏についていこうとしたんですけど、結局前にボールがきたという感じだった。最後は自分がしっかりついていないといけなかった」と大事な局面でマークを外されたことを反省した。

ただ、失点以上に悔やまれたのは、チームで意思疎通がうまく図れていなかったことだった。「その前のスローインとか、相手のクサビのボールに対して、後ろがいくのか、ボランチを閉めさせるのかというところで声はかけていたけど、後ろとボランチの関係でちょっとバラバラになっていた」。前半の終盤はプレスをかけてボールを奪いにいきたい選手と、ブロックを敷いて守りを固めたい選手の両方がいて、チームとしての動きが統一されていなかったという。

浦和は後半も武藤雄樹のゴールで先手を取ったが、その後に再び同点ゴールを被弾。失点のシーンを振り返ると、その直前に宇賀神友弥がマテウスとの接触プレーで痛み、一旦プレーが切れた後に素早く宇賀神のいない左サイドのスペースをうまくマテウスに使われ、そのままマテウスにファインゴールを決められていた。

遠藤はこの一連の流れにも問題があったと表情を曇らせる。「前からいくのか、いかないのかというのと、ワイドの選手を誰がつかむのかというのがあった」とやはりチーム全体として共通イメージが描けていなかったと指摘。ゴールそのものは仕方ない面もあったとする一方、「その前のところでどうだったのか。あれだけスペースを与えたらやられる。あそこ(宇賀神のいないスペース)を見えていたのかというのもある」と唇を噛み、「結局それは隙があるということ」と言い切った。

守備の要を担う者として、不甲斐ない対応で失点を重ねたことに忸怩たる思いはある。消化不良のような形でリオ五輪前のラストマッチが終わってしまい、ここから最低4試合はチームを留守にする。浦和は次にファーストステージ王者の鹿島との重要な一戦を迎えるが、「そこはもうチームを信じて、勝ってくれることを信じて、僕は向こうで結果を残すだけ」と仲間に託すしかない。

リオ五輪はアンダー代表のカテゴリーで臨む最後の舞台となる。これまでの年代別代表では、アジアの壁に阻まれて悔しい思いをしてきた。だが、ブラジルの地で有終の美を飾れれば、それまでの苦い経験も成長の糧だったと捉えることができる。「Uー19のころから入り続けている選手も多いので集大成だと思うし、アンダー世代でやってきたものを全て出して、最後しっかり勝って終わりたい」。目標はメダルの獲得。遠藤はもう、前しか見ていない。

ライター/編集者

大学卒業後、フリーライターとして活動しながらIT会社でスポーツメディアに関わり、2006年にワールドカップに行くため完全フリーランスに。浦和レッズ、日本代表を中心にサッカーを取材。2016年に知人と会社設立。現在は大手スポーツページの編集業務も担い、野球、テニスなどさまざまなスポーツへの関与が増えている。

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