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世界のOSシェア XPは33%、8は7% 今、マイクロソフトがすべきこと

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
世界のOSシェア2013年8月
世界のOSシェア2013年8月

「Windows 8」は今年7月、市場シェアで「Windows Vista」を抜いた。8月には、アップルの「OS X」の各ヴァージョンの合計を上回った。

Windows7  45.63%

Windows XP  33.66%

Windows8   7.41%

MacOS 合計  7.25%

Windows vista 4.11%

というシェアだ。

http://arstechnica.com/information-technology/2013/09/windows-8-more-widely-used-than-os-x-ie-still-on-the-rise/

一番問題なのは、マイクロソフトにとっての脅威は、MacOSでもLinuxOSでもない。

それは、自ら生んだ製品である、vista や 7 であり、10年以上前のOSであるXPが生き残っていることだ。

2014年の4月09日(日本時間)にWindows XPおよびOffice2003のサポートが終了するというのに、33.66%のユーザーが残っている。

しかしだ、Windows8のスタート画面が改良された 8.1は2013年年内リリースという状況であり、大量にXPを抱える企業では、プレバージョンでしか現在、テストできない環境にある。

しかもバルマーCEOも退任を発表し、本当に出るかどうかわかない8.1を待ち続ける世界の情報システム部は常に不安との戦いの日々であろう。

XPのリリースは、2001年11月16日。もしかすると、大半が10年前のコンピュータを使っているのであれば、現在の「8」が稼働するかどうはかなり怪しい。

当然、チェックが必要だ。

まずは、現在の8であれば、アップ・グレードアシスタントでチェックが可能だ。残念ながら8.1へのチェック機能はない←このあたりが、マイクロソフトのお客様の立場に立てないゆるいところだ(笑)

http://windows.microsoft.com/ja-jp/windows-8/upgrade-to-windows-8

8へのアップ・グレードが不可能だとすると、古いXPマシンは廃棄を考えなければならない。しかし、2003年10月よりも以前のパソコンはリサイクルマークが適用となっていないために、廃棄にも費用がかかる。

そして、新しく購入するならば、8.1の搭載されたWindowsマシンを購入することだ。これは、OSがないので、まだ発売もされていない。…ということは、見積もることもできない。これでは、移行コストを算出することもできないのだ。

マイクロソフトが、普通の企業であれば、この時点で、何らかの手を売っていてもおかしくない。

まずは、サポートの期間を延長する。もしくは有償でサポートする。

これでは、XPを切り離せなくなるので意味がない。

ボクがバルマーであれば、まずは8のUIに慣れていただくためにも、10年前のPCでも稼働できる「Windows 8 for XP」なる「つなぎ商品」を無償で配布するよう指示を出す。

最低限、Officeとブラウザが使えるという事にフォーカスすればいい。そして8の操作性だけを追求する。Surfeceに搭載されたようなWindows RTのXP版だ。

まずは、33.66%のXPユーザーを8の方向へ導かなければならない。

値段もこなれない新製品の8.1OS搭載機を一斉購入も当然、考えられない。どう考えても最低5年間くらいはかかる。バグが潰れて枯れた頃のOSを、情報システムとしては導入したいからだ。

手を打たなければ、XPユーザーは、7かVistaへと向かってしまいかねない。こうなると、あと5年は何もできなくなってしまうので、それは阻止しなければならない。

企業のニーズでは、SurfaceのタブレットもUXも全く望んではない。通常のディスプレイとキーボートとマウスで稼働するXPの代りになるマシンを望んでいるだけだ。その需要をいままでのウィンテル帝国時代の成功が邪魔をしている。

より新しいOSでより早いチップセットで、ビジネスに革新を!だ。しかし、誰もそんなことを望んではいなかった。

現在のOS市場の構成要因は、脆弱性回避と新機能を搭載した新OSのリリースであり、定期的な買い替えを薦めてきたロードマップの間違いを見事に物語っている。

すでに機能は成熟しており、企業は、PCを今までと同じように使いたいだけなのだ。タッチにタブレットは個人では魅力的だが、会社の業務は、オフィスと社内基幹ネットワークが使えればそれで十分なのだ。

マイクロソフトの本当の勝負は、自分たちの販売してきたOSとの勝負だ。

早急に33%のXPだけでなく、vista の4% 7の45%  合計83%もの自分のユーザーを 87.41 %へと導く戦略が一番必要なのだ。

ノキアを買収しているヒマがあれば…とついつい考えこんでしまった。

【追記2013/09/05 16:42】

マイクロソフト 中小企業500社先着 金利ゼロでソフト代負担

マイクロソフト、Windows XP使用企業に新OS乗り換え支援策

http://gyao.yahoo.co.jp/news/player/20130905-00000272-fnn-bus_all/

先着500社限定で、2013年度購入した新ソフトの代金の支払いを金利ゼロで、2014年4月まで先送りするなどの支援策を行う

これはいい施策だ。来期に支払いを計上できるとなると、今期は堂々と導入しやすくなる。

しかし、敵はWindows XPのハード込みの問題だから、ソフトの代金だけの問題ではかたずかない。しかし、先着500社であればお知らせする価値はでてくるだろう。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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