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滝川クリステルさんの東京で1万円落とすと2567円戻ってくるプレゼン

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

今回のフランス語における滝川クリステルさんのプレゼンテーションは見事だった。

もし皆様が東京で何かを失くしたならば、ほぼ確実にそれは戻ってきます。

たとえ現金でも。実際に昨年、現金3,000万ドル以上が、落し物として、東京の警察署に届けられました。

この現金が戻ってくる話に非常に興味を抱いた。良い数字をアピールしたものだ。なくした現金がもどってくる国なんて、かなりポイントが高かったはずだ。安全性といい、倫理においても…。世界でも稀有に等しい。

ただ、クリステルさん、「ほぼ確実にそれは戻ってきます」は、言い過ぎではなかっただろうか…。実際にはどれくれい戻ってきているのか?調べてみた。

3,000万ドルというと約30億円だ。 

正確には、東京都で警察に届けられた現金は、平成24年(2012年)度で、29億8190万5640円だった。

しかし、拾われた金額だけでなく、亡くして届けられた遺失届の金額も考慮しなければならない。

遺失届けに出された現金の金額は、84億1220万3326円であった。

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/toukei/kaikei/kaikei_24.htm#isitu

つまり、東京は、84億1220万3326円落としても、29億8190万5640円は戻ってくる国といえる。これは、これで、日本は、いや東京は、とてもすばらしい!!

単純に計算すると、35.4%の返還率となる。「ほぼ確実にそれは戻ってきます」とはいえないが、結構もどってくる金額だと言えるだろう。

つまり、東京で1万円落とすと、3540円は戻ってくる計算。

しかし、実際にはいろいろ間引きされている。

遺失者返還は、21億5945万2810円 返還率は25.67%

取得者引き渡し 4億7248万5086円  5.61%

東京都に  3億3513万3849円 3.98%

廃棄・移管    343万2147円   0.04%

合計    29億7050万3892円   35.31%

である。

なので、実際には、

'''東京で、1万円落とすと、2567円が戻ってくる。

拾った人に561円、東京都に398円、そして4円廃棄している'''

ということになる。

それでも、落とした現金が、1/4も戻ってくる国は世界でも類を見ないだろう。

しかし、ちゃっかりと、

東京都は約4%もその届けられた善意のお金から歳入があがっていることには驚いた。東京で落し物をして警察に届けられると4%は東京都が潤うのだ(笑)

何よりも、この数字を使って日本の安全性をアピールした滝川クリステルさんのプレゼン力に感謝したい。

今後は1/4は戻ってきますと下方修正しなければならないが。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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