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#ポールマッカートニー 公演延期、現場で聞いたその瞬間!

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
当日券発売になっても、サウンドチェックの音は聞こえてこなかった…
当日券発売になっても、サウンドチェックの音は聞こえてこなかった…

昨日(2014/05/17/SAT)のポール・マッカートニーの国立競技場でのコンサートが、コンサートの開場後に中止発表となった。

ポールがやって来なかった!17日の国立公演「体調不良」で急きょ中止

元ザ・ビートルズのポール・マッカートニー(71)が17日、東京・国立競技場で予定していたコンサートを、体調不良のため19日に延期した。16日から不調を訴え、開演2時間半前の17日午後3時に「ウイルス性炎症」のためドクターストップがかかったという。5万5000人分のチケットは完売しており、既に会場前に詰めかけていたファンからは、悲鳴や落胆の声が上がっていた。

ボクは、半年前のライブを見て、号泣だった。だから、今回はパスでもいいかなと思っていた。しかし、国立であれば、音モレもあるし、当日券もあるということだったので、14:00の当日券を並びながら、サウンドチェックの音を聞いて判断すればよいかと考えていた。そして、当日券が発売となった。しかも、1人4枚まで買えるという。チケットはS席、17,500円のみだ。

サウンドチェックの音はまったくしないまま。順番が来て、なんなく一枚のチケットを手にしていた。ポールのコンサートには、「サウンドチェック参加券(67,000円)」というのがあり、座席が最前列で見られるVIPパッケージも、2種類ある(VIP#1は93,000円、VIP#2は83,000円)。

通常、このサウンドチェックが有料になっているから、開場の15:30よりも前にサウンドチェックが必ず行われる。

ポールの場合は、これはリハーサルも兼ねているが、一種のファンサービスであり、本公演でやらないナンバーを見せてくれる為のいわば、プレミアムサービスといってもいいものだ。

実際にポールのコンサートでは、リハーサルに6万円払って入場している人が200人以上いる。さらに1万6000円のチケットが40万円でオークションで売りに出される時代だ。

出典:フリーミアム時代のポール・マッカートニー

当日券チケットを手にして、15:30の開場まで、サウンドチェックの音モレを期待していたが、いっこうにサウンドチェックが行われた様子がない。音が聞こえてこないからだ。今から、サウンドチェックをしても、バタバタだろう。この時点で、この日のライブは相当、押してしまうことを覚悟していた。

この時、すでに14:45を過ぎていた。しかも国立競技場のまわりには、多数の「入り待ち」の人たち。

「え!!まだ会場に到着すらしていないの?」

サウンドチェックが遅れるだけならいいが、まだポールは国立の会場にはいっていないという。

有料サウンドチェックを購入している人の期待は、この時にすでに反故にされた。

ボクは、「入り待ち」などしたのは70年代のベイ・シティ・ローラーズ以来だが、facebookつながりのビートルズマニアと合流し、沿道でポールを出迎える列に混ざった…。熱い日差しの中、久しぶりに顔が火照って焼けたほどだ。しかし、待てど暮らせど、ポールのクルマはまったくやってこない…。

15時過ぎてもまだポールはライブ会場に到着しない。ポールの入り待ちをする人々
15時過ぎてもまだポールはライブ会場に到着しない。ポールの入り待ちをする人々

よくあるのは、多数の人がいるから、別の入り口からこっそりと入っていた…なんてこともあるから、あきらめて列を離れた。このあと、3時間はたっぷりとポールの歌声を楽しめるんだから…。

しかし、サウンドチェックもなしに初日を迎えるのって少しナメてるんじゃね?とポールに悪態をつきそうになっていた(笑)。

15:30の開場が15:50、ようやく開場となったので、国立競技場であのコンサートの始まる高揚感を味わおうとして、facebookフレンドと一緒にゲートを超えた。

メガホンを持っている人のまわりに大勢の人が集まっている。「本日の公演は本人の体調が…」うん??

よく聞こえない。

より、近くに行って確認すると、「本日の公演は本人の体調が悪く、5月19日月曜日に延期となりました」と言っている。開場してからのドタキャンに驚く。

facebookフレンドは静岡から来ている遠征組だ。月曜日にまた来ないといけなくなってしまったようだ。他にも、遠征組の人たちは、月曜日は無理だから、チケットを譲る、交換するなどの方策を考えだしている様子。

もう、この「悪夢」は早く覚めないかな…と思ったけれども、一向に覚める気配がない。

しかし、会場はいたって冷静。一部、騒然となったと報道されてはいるが、ボクの周りはいたって、極めて冷静であった。通常、コンサート開始の1時間半前(17:30開演)にドタキャンだと、ぶちきれる人もいるかと思う。

しかし、昨日のあの瞬間は、コンサートのキャンセルよりも、「ポールは大丈夫なのか?」「ウィルス性炎症って何の病気?」「明日(2014/05/18)コンサートやって大丈夫なのか?」という、思いやりの言葉ばかりだ。

日本人が素晴らしいのか、ポールのファンが素晴らしいのかはわからない。

少なくとも、今回のツアーの大半が、半年前にポールを見ている人だからなのだろう。

何よりも、ファンは、70過ぎても、ますます元気なポールの姿を見られれるだけでいいのだ。

思わぬ、これからの予定がまったくなくなった人たち。

ポールの今回のコンサートツアートラックの前で記念撮影。

ボクが持参していたバイオリンベースが大人気で、ヘフナーを抱えて写真を撮ってくれる人が、鈴なり状態。礼儀正しいのが、必ず、ヘフナーは人から人へと勝手に渡るのではなく、必ずボクの所にもどってから、他の人へと流れていく。しかし、みんな撮影時に右手で持つので、左手へ持ち帰る指導をする(笑)。

バイオリンベースでの記念撮影の列が永遠に続く
バイオリンベースでの記念撮影の列が永遠に続く

困惑するプロモーター

しかし、プロモーターや関係者たちは、今頃、大変な状況になっていることだろう。

ポールは、最初のマリファナ所持に始まり、今回のドタキャン、高齢でもあり、リスクのあるアーティストには違いない。実は今年になってこれでポールのライブ延期は2回目だ。

2014/04/21の南米チリでの公演は、機材が到着しないという南米らしいエピソードでキャンセルになったが、今回の体調不良とはまったく理由がちがう。

しかも、今回は、前回の2013年11月から、半年も立っていない。せめて1年は空けてほしいはずだ。しかも同じツアーである。

来日理由も、日本のファンのおもてなしに感動した事や、ドームでは防災上の理由で、「Live and let die」の世界の人が見ている本当のダイナミックな花火が見せられない。だから、屋外でやりたいとの意向。

屋外でやることは、プロモーターも大雨などの天候的リスクも負わなければならないから嫌がるはずだ。

しかも、最後の国立競技場ということで、スケジュールもタイトだ。

急遽、たった48時間後の同会場での延期にしたことで、チケットの返金リスクが読めないので、入りは6〜7割になることは想定できる。…かといって、どの席が空席になるのかがわからないから、人を入れるわけにもいかない。当日自由席という発想でオペレーションできるかどうかも気になる。

第一、警備などのバイトがこの土日で手配できるかどうかもだ。

いろんな事を考えだしてもキリがない。 今は、本日、元気な姿を国立で見せてくれればいい!

ポールにアドバイスをひとつ! こんな時は、お気に入りの「オッス!」の挨拶はなしだ!

「Dogeza simasu」で土下座のパフォーマンスがあれば、ボクたちは、もう、「恐れ多いです!」の土下座合戦になると思う(笑)

本日のライブで元気な姿を見せてくれますように!

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ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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