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ゲイツ、ベゾス、ザッカーバーグ、クックが、氷水を頭からかぶる理由

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です。

暑中お見舞い申し上げます。

この暑い夏、米国のVIPたちが、頭からバケツで氷水をかぶっています。

しかも喜んで、次にかけられる人を指名しながら…。

氷水入りのバケツをかけられるアップルのティム・クックCEO

アマゾンのジェフ・ベゾス氏も

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏も

https://www.facebook.com/photo.php?v=10101586925575221

ザッカーバーグから指名を受けたビル・ゲイツ氏

マイクロソフトのCEOである、サトヤ・ナデラ氏も…

IT業界にかぎらず、俳優のジャスティン・ティンバーレイクも

とにかく、24時間以内に氷水をかぶる人を3人指名するという、かつての「不幸の手紙」のチェーンメール手法だ。しかし、今回のこのキャンペーンは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)協会への寄付を募り、認知度を高めるためのバイラルキャンペーンで展開されている。政治家から、シリコンバレーのVIPから、スポーツ選手、俳優にいたるまで、日々チャレンジする人が増えていき基金も集まるという、まさにバイラル時代による現代版「幸せの手紙」といえる。

  1. ALSICEBUCKETCHALLNGE でYouTubeを検索すると、氷水をかぶっている人が大量に登場している。なんと5,110映像もヒットする(2014/08/16現在)。

おそらく、今月中に日本に上陸してきて、日本の有名人が冷水をかぶりだすことだろう。そして、来月には、あなたもおそらく指名され、氷水をかぶって、全世界の人と一緒にALS症のことを考える日がやってくることだろう。

この見事なキャンペーンには、バイラルメディアにマッチした、いくつかの事象が盛り込まれている。

【1】有名人 VIPらがチャレンジする意外性。つい、誰かに伝えたくなる。

【2】その企業や人に対して、愛着を感じるようになる。バイラル・シンパシー

【3】ALSについての寄付に理解を示しているというCSR(企業の社会的責任)

【4】そのことがバイラルメディアで伝搬されていく。企業・キャラクターイメージ&ブランド

【5】世界が、社会が、より良い方向へ動くことに参加している満足度。バイラルメディアの大義。

などが考えられる。

バイラルメディアを、日々どう活用するのかを常に頭や会議で考えるよりも、バイラルメディアは、日々、親しみ、楽しんでいる人にこそ、その活用方法のトーン&マナーや、バズるための要素も見えてくる。

まずは、氷水を頭からぶっかぶる心の準備から!

米ALS協会によると、14日までの2週間で760万ドル(約7億8000万円)の寄付が集まったという。昨年は同じ時期の2週間でわずか140万ドルだった。寄付は従来の寄付者に加え、新たに14万5918人から集まった、と同協会の広報担当者は話す。

米国に2万人から3万人いるといわれる患者の友人や家族といった、狭いグループに寄付を頼ってきた協会にとって、この急速な拡大は驚異的だ。

協会の資金集めを担当する責任者ランス・スローター氏は「ほとんどの人はALSについて聞いたことがなく、人に話したり説明したりするのも複雑な病気なので、資金集めはとても大変だ」と話す。

出典:水を浴びて難病患者を支援しよう―SNSで広がる奇抜なチャリティー

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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