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TOKYO MXの朝番組「モーニングクロス」はIT関係者は必見! #クロス 

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

朝7:00からのMXテレビ「モーニングCROSS」
朝7:00からのMXテレビ「モーニングCROSS」

皆さんは、朝起きると、どのテレビ番組を視聴しているだろうか?すでにテレビを見ない人も多いと思うが、時計代わりに何らかのニュース番組を見ている人がまだまだ多いかと思う。

朝のテレビ番組は、改編期に改編しない時間帯だ。それは、「チャンネル・スイッチ」が一番少ない時間帯だからだ。むしろ習慣により「チャンネル・ロック」されているともいえる時間帯。

ある程度の数字が取れていれば、変える必要がない。当然、各局が似たような番組が多くなる…。よほどの問題がない限り、私たちも、朝はルーティン化された習慣でテレビを点けているだけだからだ。

しかし、東京ローカルのチャンネル「9」に設定されているTOKYO MXの「モーニングクロス」を見始めた…。ちょっと変わった朝の番組だったからだ。

おじいちゃん、おばあちゃんからお子様までを全否定した朝番組

普通テレビのコンテンツは、おじいちゃん、おばあちゃんからお子様までを視聴者としているので、大多数の人が理解できるように、情報をやさしくやさしく噛み砕いて放送する必要がある。しかし、モーニングクロスは、「ツイッター」や「フェイス・ブック」は当然、「ニュースピックス」に「グノシー」、「スマートニュース」のアプリ系ニュースの話題や「Instagram」や「Flickr」という言葉も、日常生活用語(笑)として登場する。これをNHKでやった場合は、お客様相談室に苦情の電話だらけとなるだろう。

反対にモーニングクロスの場合は、Twitterで、#クロス のハッシュタグで生番組と連動してその場でいろんな意見を直接番組に取り上げる。

https://twitter.com/morning_cross/

元NHKのキャスター 堀潤さんの情報リテラシーにフォーカス

モーニングクロスは、東京のITリテラシーに明るい生活者に目指した情報番組のようだ。ニュースの大半は、ウェブやネットで話題になっている事を矢野総研提供のデータを元にピックアップしてくるからだ。なので、他の放送局のような、火災の事故や、ショッキングな殺人事件にあまり時間が割かれることもない。つまり、ネットで話題になっていないことは取り上げられないという番組構成になっている。

番組MCである、元NHKのキャスター 堀潤さんからは、他局では専門用語と呼ばれるIT企業のサービス名が続々と登場する。これは、スマホを持って普通に働いている人の普通の感覚であっても、おじいちゃん、おばあちゃん、お子様までをカバーする放送局では放送禁止用語に近い(笑)。堀さんのかなり高い、情報リテラシーを標準として考えているから、IT系のユーザーにとっては、面倒な解説を聞かされる必要がない。

ある意味、テレビ放送の中では、最上位の情報リテラシーを要求される番組だ。コメンテーターもIT系の人が多く、知人も多く出演している。

TokyoMXはかつてのテレビ東京だ

この番組をきっかけとして、リモコンでは、フジテレビの8の隣の9の「TOKYO MX(東京メトロポリタンテレビジョン)」の番組を積極的に見始めてきづいた事がある。

かつての「テレビ東京」の低予算企画力番組を彷彿させるものがあるからだ。

5時に夢中(月ー金17:00)」は、マツコ・デラックスを有名にした番組であり、異色の時間帯に異色の内容で放送中。「バラ色ダンディ(月ー金21:00)」は、元フジテレビの長谷川豊をMCに起用し、他局でホサれたり、事故タレントなどが多数登場するバラエティになっている。ある意味、開き直りの良さが感じられる。「WORLD MARKETZ(月ー金22:00)」は、清水昭男のマシンガンのような英語と株情報でニューヨークのオープニングベルをリアルタイムに堪能できる。日本語で説明し、英語で質問し、英語で会話し、それを日本語で解説するという4倍時間のかかる説明をおこなっているが、最新のビジネスストック情報を英語を聞きながら勉強できるという異色の番組だ。番組のほとんどが、清水昭男氏のキャラクターで成立しているから効率のいい製作体制だ。また、この番組は、ネット番組がテレビ放送にも放映されているサイマルキャストの一種だ。http://www.ustream.tv/channel/stockvoicehdなので、TOKYO MXは電波という時間帯を提供しているにすぎない。「999人美女(月22:30)」は低予算ながらも、番組がしかけた美女を探し当てるというゲーム性と街紹介と美女があわさった企画で毎回楽しみに見ている。「進撃の巨人(水24:00)」も、現在MXテレビで絶賛放映中だ。話題についていけなかった人も、毎週見ることで少しづつ話題にキャッチアップできるだろう。

低予算でありながらも、ヒットする企画を生み出す力は、かつてのテレビ東京の専門だった。MXはさらに、ニッチな層に共感できるニッチなコンテンツを多数持っているように感じる。しかし、なぜメジャー感がないのだろうか?

MXテレビの問題は、番組CMスポンサー

これだけ、ユニークな企画を続けているMXであるが、普及の問題はCMスポンサーにあると思う。どうしてもローカルテレビ局色が抜けないのはCMのせいだ。かつてのテレビ東京である(笑)。

問題のひとつは、視聴率のピープルメータのデータにMX局がリアルタイムで反映されていないことだろう。視聴率のわからない番組にスポンサーするのは、東京都のようなスポンサー番組や東京新聞やFM東京のような系列会社のバーターくらいである。ネット上での再放送解禁やYouTube連動番組などで、CMスポンサーがソーシャルでの拡散で2度おいしくなるような、インフォマーシャルなどがあればさらに企画として番組も面白くなっていくうように感じる。

ぜひ、IT企業で働いている人たちは、「モーニングクロス」で、ウェブで昨日話題だった情報をコメンテーターのコメントを聞きながら自分の中で反芻咀嚼してみてもよいかと思う。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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