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日本に上陸したNetflixで英語学習する方法

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
ソフトバンクの店頭で申し込みが可能なNetflix(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

KNNポール神田です!

2015年09月02日(水)ついにNetflixが日本に上陸した。

http://www.netflix.com/

正確には、9月01日(火)の21時すぎにはサービスを開始したようだ。9月2日の深夜零時を待たずにしてサービスを申し込むことができた。すでに世界50カ国以上で6500万人を超える会員数を抱えるNetflixがようやく日本でサービス開始となった。一ヶ月は無料視聴期間だ。

Netflixで上陸で何が変わるのか?

Netflixで変わるストリーミングメディアシーンを動画解説している

映画どうでしょう?『ネットフリックス』

Netflixのすごさは、オリジナル作品を製作しているところだろう。しかも映像クオリティが米国のTVシリーズにまったく劣らない点だ。それが、コマーシャルがなく、たっぷり1時間近くは堪能できてしまう点が驚愕なのだ。

Netflixで人気の作品からイチオシレコメンドまで
Netflixで人気の作品からイチオシレコメンドまで

考えてみれば、数年前までは、Netflixはネット上のレンタルビデオのTSUTAYAや、ぽすれん(DVD郵送サービス)と同様の企業だった。それが現在では、番組製作をおこなうプロダクション機能も持ってしまった。この傾向はhuluでもamazonでも見られる。そして近い将来は、AppleやGoogle、Microsoftまで映画を自社製作を行いだしても何ら不思議ではない。

すでに、テレビチャンネルという「視聴率」の争奪戦ではなく、「HDMIの入力先の取り合い」という意味に変わった。時間の制限のあるCATVや、コンテンツの物量に制限のあるDVDから、見たい時に見たい番組を無制限で月額課金で視聴できるコンテンツが登場した。それに対して、広告業界は、広告スキップどころか広告が介在できないプラットフォームが形成されようとしている。

また、家庭内のディスプレイの問題だけではなく、マルチデバイス対応なので、「移動時間の奪い合い」という意味を持つようになった。もはや、そこではSNSでさえライバルになりえることだろう。スマホ、タブレット、PC、テレビ、ゲームコンソールに至るまで…。日本の地上波が、大型ディスプレイに縛られている間に、Netflixは、視聴途中の番組をユーザーアカウントごとに、PCで視聴したコンテンツをスマホで視聴し、また、続きを別のデバイスで見るという視聴スタイルに対応して上陸だ。さらに番組を見ればみるほど、視聴履歴を学習してイチオシ!でフィットする番組をレコメンドしてくるという。

ラインナップの映画コンテンツは、実際のところ、huluとあまり大差はないと感じる。Netflixとhuluとの違いは、オリジナルコンテンツとの差という見方もできることだろう。いわば、見たいコンテンツによって、プラットフォームを選ぶというのがこれからの月額課金型コンテンツなのかも知れない。

英語学習に適した、日本語吹き替え&英語字幕

音声は日本語、字幕は英語を選択
音声は日本語、字幕は英語を選択

huluの外国映画は基本的に、オリジナル言語は外国語である。しかし、Netflixは日本語吹き替え対応の外国映画が多い。さらにオリジナルコンテンツであれば、オリジナル言語がすでに他ヵ国語対応となっている。つまり、洋画コンテンツなのに日本語コンテンツで視聴することができる。そして、字幕で英語を選ぶことも可能なのだ。

映画で外国語が学習できるfleex.tvでも日本語吹き替えはなかった。

洋画をどれだけ見ても、英語がわかるようにならない、ひとつの理由に、意味を視覚で理解してしまうことがあげられる。聴覚での英語は意味のわからないままで、視覚のみで脳は英語を理解していく。

しかし、日本語吹き替えを選択することによって、聴覚で日本語の意味を理解し、さらに視覚で英語ではなんと表現するのかを知ることができる。これは非常にわかりやすい。場面によっては、主人公がしゃべり終わらないうちに、字幕の英語の動詞から音声の日本語の語尾を類推することもできるようになる。まず、これで、一話を見てみるだけで、英語字幕への抵抗感は無くなるのではないだろうか?

そして、2回目は英語音声で英語字幕。もしくは英語字幕なしで視聴する。これは日本語吹き替えを見た直後であればあるほど効果的だ。2時間の映画を2回視聴するのは大変だが、1時間のオリジナルコンテンツであれば、2回見ても2時間だ。楽しむために見るのではなく、英語の勉強を聞き流すために、番組を見るという方法はありかと思う。

毎日1時間の番組を2回視聴するこれだけでも、英語の理解力やニュアンス、単語の語彙力からスラングに至るまでを楽しみながら獲得することができる。

ある意味、Netflixは『英語教材』としての側面で、利用価値が一番日本ではあるかもしれない。少子化、グローバル化と言われながらも、英語を日常的に取り入れる環境は難しい。せめて、日本のアニメだけでも英語字幕環境で視聴するクセをつけるだけで、英語アレルギーの子供は日本からいなくなるのではないだろうか?

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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