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SONYのPlayStationVRの登場で開花するVR市場18兆円

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

ついに2016年10月ソニーからPlayStationVR「PSVR」が4万4,980円で発売される

http://www.jp.playstation.com/psvr/

PS4はすでに世界で3,600万台販売されている。そのうちの1割がPSVRを購入したとしても360万台売れる。2割だと720万台のヒットとなる。ちなみにAppleWATCHは2015年で880万台出荷。2016年10月の発売時には50タイトルがリリースされる予定だ。年末商戦はPS4ユーザーと、さらにPSVRを使いたいためにPS4を新たにという層が増えると思われる。やはりコンソールゲーム機がヘッドマウントディスプレイに参入することにより、国内34社、世界で230社以上のゲームデベロッパーがPSVR向けのコンテンツを制作を発表している。

PlayStationVR PSVRのスペック

5.7インチの有機ELディスプレイ搭載。

ディスプレイの解像度は片目がそれぞれ960×RGB×1080の1920×RGB×1080

フレッシュレートは120Hzに対応しており18ms以下のレイテンシー

視野角は100度。3軸加速度センサーと3軸ジャイロセンサーを搭載しており、顔の動きに応じてVR映像を描画できます。

9つのLEDライトでポジショントラッキングを行い、3Dオーディオ対応のヘッドホンを内蔵。

外部端子はHDMIとUSB。

モーションコントローラーはPlayStation Moveを使用。

出典:ソニーのPS4用VRヘッドセット「PlayStation VR」の価格・発売時期が正式に決定

2016年、PSVR陣営とOculus VR陣営の「伽藍とバザール」

伽藍とバザール

https://ja.wikipedia.org/wiki/伽藍とバザール

ソニーはPlayStaion4専用デバイスとして、PSVRを2016年10月に販売する。モニタが360度、しかも視点移動のPOV(ポイント・オブ・ヴュー)になることによっての没入感は80インチの4Kテレビであっても、対抗できない「体験」だろう。むしろゲームの中に没入したままの新たな居住空間が生まれることになる。そして、ソニーのPSVRはソニーのPlayStaion4で動くものしか体験できない。クローズドであるから、心地よい体験が、すべて垂直統合でコントロールされている。つまり「伽藍」のスタイルだ。これはスマートフォンでいうところのApple iPhoneだ。OSもアプリもプラットフォームもすべてAppleなのだ。だからすべてにおいてバランスが保たれている。

一方、Oculus VR陣営(facebook傘下)は、Oculus VR で3月下旬から30タイトルの出荷が計画されている。

Oculusの正式プラットフォーム

https://share.oculus.com/

こちらは、スマートフォンでいうところのGoogle AndroidのGoogle Playだ。

公式コンテンツをラインナップするが、Androidは「バザール」のスタイルだ。いろんなメーカーがいろんなAndoridを提供している。なので、使い勝手はさまざまだ。

そして、開発の自由度が高くなる。おそらくPlayStationブランドでアダルトが登場することはない。しかし、Oculus VRのSDKを使い、PCプラットフォームであればどんなものでも創ることが可能となるのだ。最も熱い市場として注目されているのがアダルト分野だ。

また、簡易VRの世界では、段ボールでできたスマホに装着するGoogle Cardboardは、500万個出荷され、Google Playストアでダウンロード可能になったアプリは、VR対応アプリのダウンロード数が2500万をレコードしている。これもVRの経験値としての入り口になっていることだろう。

アダルトコンテンツはVRの牽引となるのか?

ヘッドマウント型バーチャルリアリティで期待することは?

VRで期待することのアンケート
VRで期待することのアンケート

MXテレビのモーニングクロスのテレビアンケート結果より

http://s.mxtv.jp/morning_cross/result.php?date=20160318

医療分野での活用、ゲーム、アダルト、その他、教育への活用、自動車などの試乗という結果になった。N数は1660票だ。高度医療分野での活用に期待されるがトップの期待値ではあるが、僅差でゲームとアダルトが迫っている。それだけ、アダルトへの期待と怖さの両面の興味があるからだろう。

すでに、日本のDMM.comでも、R18コンテンツとして「DMM.VR」をベータ運営中。

スマホで簡易VR視聴が可能となる「ハコスコ」サイトもオープンしている

http://www.dmm.com/digital/vr/hakosuko/

ただ、アダルトVRも、まだまだキラーコンテンツの金脈は発見されていないようだ。没入感があり、どこか遠くへ来たかのような「脱・俗世間感」はあるが、ハマる要素は残念ながらあまり感じられない(筆者の個人的感想)。まだまだコンテンツとメディアが一致していないからだ。

米imagineVRなどはベータ版としてアダルトをジャンル分けしてWindowsプラットフォームで提供している。coming soonとしながらもLGBT対応も視野に入れているようだ。

https://beta.imaginevr.io/landing

可能性があるのが、VRとIoT機器などのデバイス型での「触覚連動型」だろう。

これはアダルトグッズ同様の大きな市場があると期待されている。

米Eos Creative Groupでは、クラウドファンディングでVR向けコントローラーVirtuaDollsを募集したところ数日で6万ドルのファンドを獲得した。

かつてのVRブームは「VR酔い」が原因で失速した苦い経験を持っている。OcurusがVR酔いを軽減させ、ソニーがPS4プラットフォームで参入する。かつてのSecondLifeもVR化を進め、Nytimes.comが報道に360度没入型レポートを展開するなど、VR元年と呼ばれる「試行錯誤」が続々とスタートしている。グリーンバックのスタジオでCGと俳優で展開するSpace Girl 360 などもYouTubeで視聴することができる。

Nytimes.com

Space Girl 360

VRとARの狭間で2020年には18兆円(1500億ドル)

VR/AR市場は2020年18兆円(1500億ドル)
VR/AR市場は2020年18兆円(1500億ドル)

2020年までにAR/VRの市場は1500億ドル規模になると予測している。ARが一番多くの割合を占めるだろう。私たちはARは1200億ドル規模、VRは300億ドル規模であると予測した。

出典:モバイルさえ飲み込むVR/AR市場、2020年には1500億ドルの市場規模に

DigiCapital予測

VR市場の4倍のAR市場
VR市場の4倍のAR市場

ユニークなのが、DigiCapital予測ではAR市場のほうがVR市場よりも4倍大きいと予測していることだ。VR市場が300億ドル(3.6兆円)に対し、AR市場は、1,200億ドル(14.4兆円)だ。コンテンツ志向のVRと現実社会との融合をめざすARと市場を分けているが、現段階では、VR&AR市場があと4年で18兆円(1500億ドル)と脳裏においておいてもよいだろう。

Facebook,Google,Microsoft,SONY…と続々と参入…。おや、Appleは、みすみすこのARやVRの市場はパスするつもりなのだろうか?いやいや、Appleはすでに、AIやVR,AR企業を続々と買収し、頭脳を集結させているMetaio,Faceshift,Emotient,Flyby Mediaらだ。

アイウェア型ウェアラブルデバイスTelepathy Walkerも2016年3月16日よりクラウドファンディングをスタートしている。

コンピュータからスマートフォンへ、スマートフォンからVRへと、IT産業のトレンドが大きく変わる節目に我々は立っているのが、2016年の今なのだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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