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PlayStationVRでYouTube映像がすべてIMAXシアターになった!

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

ソニーの PlayStation VRを初日(2016年10月13日)に運良く手に入れることができた。新宿ビックカメラの予約には、はずれたけれども、ヤマダ電機で予約ができたからだ。あきらめずに探した甲斐があった。

その、前日の10月12日に入籍したばかりの奥様の許しを得て、はじめてプレイする人の映像も紹介してみたい

ボクは55歳になったばかりなので、27歳年下となる(長女と同い年なので扱いは慣れている)。

そう、はじめての人でも説明なしでPlayStationVRはこれだけ楽しめる。

初めてのPlayStationVR

ゲームの専門家、愛好家のレビューはたくさんあるが、ここではそんな評価は期待しないでほしい。ゲームをまったくやらない人側からのPlayStationVRの評価だからだ。

まず、PS4とPlayStationVRを設定してみて感じたのが、VR側のコントロールユニットを後付けしているからだが、コードの配線がとてもややこしい。PS4の設置場所が決まっていないせいもあり、コード地獄に陥ってしまった(笑)。PS4発売後にアドオンで付けられるところは、ニンテンドーの「ディスクシステム」と同じと考えればよい。後付けデバイスの不便さは仕方がない。我慢するしかないのだ。むしろ、VRのユニットが同梱されてもっとケーブルがすっきりした次のPS5やPS6のシリーズに期待したくなる。もちろん、VRヘッドセットはもっと軽くなり、完全コードレスで愉しみたい。東京オリンピックの頃はきっとこのようなデバイスで視聴していることだろう。せめてスキーのゴーグルサイズにしてほしいものだ。しかし、初号機のPS4+プレステVRがここまでの精度で登場してきたことには賞賛に値することだけは確かだ!

ケーブルだけでもこれだけの量となる
ケーブルだけでもこれだけの量となる

ゲームをやらない人のPlayStationVR

ボクはゲームを全くやらない。

ゲームがキライなのではなく苦手なのである。まったく攻略できないシーンが何度も重なるとついつい投げ出してしまうという「ゲーム根性」がまったくないのだ。いや、むしろゲーマーの人たちの不屈の探究心と根性をうらやましく思っているほどだ。安くなったPS4をVRが予約できたので、本体を購入してみた。いくつかゲームにトライしてみたが、やはりとても継続できない。14日間無料のPlayStationPlusでいくつかトライしてみたが、同じシーンが何度も続くトム・クルーズの「オール・ユー・ニード・イズ・キル」状態となり楽しめない…。ではVRではどうだったろうか?

『バットマン:アーカム VR』を購入

VRを初めて体験すると最初にチュートリアル的なミニゲームがある。「THE PLAYROOM VR」だ。まず、最初に驚くのが自分の部屋にいる感覚が無くなることだった。自分の家の空間が拡張する感覚だ。これだけでも、PlayStation VRの価値はある。今までVRを体験するのは体験ブースであったりした専用の空間だった。我が家の狭い部屋とベッドと大型テレビという環境でも、広大な空間となる。しかし、大きく動くとバランスを失って何度も転びそうになる。そう、ある程度の広い空間は必要だ。配線まわりも気をつけないといけない。狭い家の人は要注意だ!

『バットマン:アーカム VR』をトライしてみて感じたのが、VRだとそばにいるキャラクターの気配まで感じることだ。相手の視点も、こちらを凝視して追従してくるからとっても怖い…ゾンビ系のゲームなどは、絶対にVRでやりたくない…。最初からカギを渡されるがそこから次がなかなかうまく行けない…。なんとか地下へと展開するが、エレベーターの没入感がハンパなくスゴイ。まわりの景色を体感しているのだ。これでは部屋にいる感覚はなくなってしまう。しかし、その没入感が次の瞬間からは、もう完全に標準になってしまうから人間の感性の乗りこなしや頭脳の拡張性のほうが遥かに優れている。きっと、シンギュラリティやAIが標準の時代でも人類のほうがそれを乗りこなしていると思う。結局、バットマンはそこからどうやっていいのかがわからない…状態が続いていてほぼあきらめモードだ。情けないが…。

そういえば、オープンワールドゲームの「Grand Theft AUTO V」もゲームというよりも、クルマにのってカーラジオを聞く為にプレイしているようなものだゲームの進展にはまったく興味がない。VRにはそのようなゲームの世界感がむしろ欲しい。

ゲームが苦手な人には、社会環境シミュレーションとしての、ハワイなどのビーチリゾートでのんびりするような環境VRソフトが必要だ。音楽を聞くための豪華なマンションなど、むしろかつての「セカンドライフ」のような仮想世界のプラットフォームに期待したい。自分のアバターではなく自分自身がVRで暮らせるあの世界観がほしい。ゲームとしてではなく精神の拡張デバイスとしてのニーズも出て来る。きっと「旅」に出たくなるような欲求不満を解消できるかもしれない。

リンデン・ラボのセカンドライフも当然VRに取り組んでいる。当初は選ばれたクリエイターだけの参加のようだ。Ocurusとの提携はやめて独自路線を歩むようだ。

Project Sansar

https://www.sansar.com/

https://twitter.com/SansarOfficial

IMAXシアターがウチにやってきた!

結局、ボクの中では、そろそろPlayStaitonVRは、ヤフーオークション行きかなと…感じ始めていたが…思いとどまったのが、YouTubeの動画だった。PlayStationVRで視聴するYouTubeは360度映像ではないが、ほぼ視界全体を覆い尽くす規模のサイズだ。まるでIMAXシアターがウチにやってきた感覚だ。しかも日本のIMAXもどき(笑)ではなく、シドニーや台北クラスの巨大なIMAXシアターだ。それが、YouTubeの動画、すべてで楽しめるのだ。これはインパクトが大きい。

特に音楽ライブは圧倒される。YouTubeの動画をフルのIMAXサイズで視聴できるからだ。かつて大阪天保山にあった最大級のIMAXシアターで観た「ローリング・ストーンズ」のあのクラスが、なんと自分の家で視聴できる。

しかも3Dイヤフォンは画面からそれると左右のバランスが変わるからまるでライブ会場にいるような錯覚さえ感じる。

もちろん、AmazonビデオなどもPrime会員であれば映画が見放題だ。NetflixもHuluもDMMもある。映画はVRヘッドセットで観たほうが良い。なぜならば、映画館そのものだからだ。ただ、ヘッドセットで首が痛くなるのが問題だが、テレビのモニタを消して、ヘッドセットで自宅映画館で没入する映画体験は今までになかった画期的な体験だ。3D映画と比較すればヘッドセットの目の疲れは同等だと思う。むしろ頭に固定するベルトと首の重みだ。

VRモニターがテレビの未来となる日

もちろん、ロードショー公開されている映画も、VRヘッドセットで同時に観られるという時代になるのかもしれない。自宅に映画館があるのであれば、新作が見たいという欲求が高まる。しかし、長時間のヘッドセット視聴は苦痛だ。頭のバンドも首の頚椎も痛くなる。まだまだ、改善点は山のようにあるが、VRが家にあるという未来の暮らしが少しは見えてきた。VRはゲームをやらない人にとっては、没入したいコンテンツのビューワーとなりそうだからだ。すると360度映像というよりも、8K映像のビューワーなどとして、4Kテレビ以降のテレビのしかけが変わるかも知れない。特にスポーツや音楽ライブなどは臨場感は最高になることだろう。ライブコンテンツの課金プラットフォームとしてのプレステVRは、すぐにありえるだろう。座席が取れないような海外アーティストなどもVRで配信されることによって、収益が拡大化されるとなると世界的に興行収入が上がる。

また、総務省認可の地上波チャンネルを観るのはボクの場合、ほとんどがニュースが気になるからだ。しかし、ヘッドセット型のニュースがティッカーにように、オーバーレイで流れてくれれば、もっと没入できるコンテンツを観ながらも、ヤフートピックスのような更新情報だけは知ることができたりするだろう。オーバーレイで流れる設定にしておき、気になったニュースは、ウィンクでクリックすれば、記事が読めるというような流入も考えられるからだ。そうなれば、もはや地上波のテレビを観る必要がなくなってくるかもしれない。

ヘッドセットも、ヘッドセットディスプレイ搭載のリクライニングチェアのようなものが欲しくなる。頭に取り付けるのではなく、美容室のパーマ機器のようなものに頭を突っ込めばよいのだ。

PlayStation VRはゲーム以外で楽しめるということを最後に強調しておきたい。ボクの場合はYouTubeとAmazonPrimeVideoのビューワーとなっている。そうなると、SONYの戦略は、コロンビア映画に、XperiaやBRAVIAなどの既存戦略のSONY呪縛を早急にでも解き放ち、VRディスプレイのプラットフォーマーとしての立場を早急に築くべきだろう。そうしなければ、後追いで、HTC ViveやOculus Riftのヘッドセット群とfacebookやGoogle、Appleなどがこぞってプラットフォーマーとして登場してくるだろう。SONYは、PS4インストールベースでのこの21世紀テレビ&映画&ゲーム市場を制することができるチャンスをゲームだけではない「家庭内映画シアターのプラットフォーム」として打ちだしていくべきだと感じた。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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