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Amazonよ!1.6万円の『AirPods』を3万円以上で販売する理由を教えてほしい

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
世界のどこよりも割高になるamazonのAirPods

KNNポール神田です!

ボクはamazonが大好きだ!だからこそ言わせて欲しい。

Amazonよ!1.6万円の『AirPods』を3万円以上で販売する理由を教えてほしい

AmazonでAppleで販売している希望小売価格¥16,800 (税別)のAirPodsが3万6000円で販売中だ。

なんと214%の値段設定だ。

AirPodsの定価は¥16,800 (税別)
AirPodsの定価は¥16,800 (税別)

Amazonは世界で一番のカスタマー経験を提供する企業でなかったのか?

今度、ボクがジェフ・ベゾスにあったら、こう侮蔑したい。

「Amazonは世界で一番のカスタマー経験を提供する企業でなかったのか?」

おそらく、ベゾスはボクにこう言い返すだろう…。

「おいおい、ちょっとまってよ。それはどういう意味なんだ?」

そして、ボクは自分の耳にはまっている、AirPodsを取り出し、

「これを世界で一番高く売っているのはAmazonだということ知ってる?しかも2倍以上の値段で…!」

ジェフ・ベゾスはしばらく、考えて…。確かに私は間違っていた…。と言うことだろう。

amazonという企業は、いつまでたっても経常利益が赤字の企業だ。なぜならば、利益はすべて研究開発のR&Dに還流し、史上最強のエクスペリエンスを持続する為だ。

これは、創業当初からの「ベゾスの紙ナプキン」に刻まれたミッションステートメントだからだ。

ベゾスの紙ナプキンに描いたAmazonコンセプト
ベゾスの紙ナプキンに描いたAmazonコンセプト

Amazonにとってユーザーとは?

ユーザーに史上最高の経験をもたらすと豪語するAmazonにとって、ユーザーは3パターン存在している。

【1】Amazonで買い物をするエンドユーザー

【2】Amazonで物品を販売する「セドリ」を含めたセラーユーザー&メーカーユーザー

【3】Amazonと一緒に破格の値段でおろしてくれるセラーユーザー&メーカーユーザー

Amazonにとって、大切にするユーザーの優先順位は、

【1】→【3】→【2】である。

しかし、売上的に考えると、仕入れもせず、何もしないでも、売上があがる2の「セドリ」を含めたセラーユーザーが台頭してきているのである。

利益を考慮すると… 

【2】→【3】→【1】になりつつある。

これは、Amazonが「楽天化」しつつある兆候でもある

楽天のビジネスモデルは、【2】しか存在しない。手数料をもらう会社だから【1】のエンドユーザーは【2】のユーザーのステイクホルダーにしかすぎない。【2】を喜ばすために、【1】を2週間で消失するポイントで、楽天カードユーザーを増やしている。

今のAmazonもそんなダークフォースに堕ちようとしているのだ。

明確なプラットフォームを利用した「セラー」と「セドラー」との区別が必要

定価よりも高く売るセドラーがベストセラー1位
定価よりも高く売るセドラーがベストセラー1位

Amazonでは希少価値のあるものを「セドラー(セドリするやから)」と紹介せずに、ベストセラー1位として誤解を招く商取引を行っている。

そう、日本人はベストセラー1位が大好きだ。

なぜならば、考えることなくそれが、ベストチョイスだと思うからだ。まさか定価(メーカー希望小売価格)よりも高いとは普通は考えない。Amazonはセドラーだとか関係なくジャンルカテゴリーでの売上数値が1位であれば1位と表記するからややこしい。

Amazonは【1】は希望小売価格以上の商品を販売するセラーに対して、「セドラー(セドリするやから)」マークを明記すべきなのだ。

そうすると、これは定価よりも高いから、稀少価値の付加価値が上乗せされていると判断できる。それでも欲しい人はいるからコンサートのチケット同様、ダフ屋からでも買ってよい席で見るという消費行動を取る。

問題は、価格が倍でも価値をわかって購入している人と、何もわからないでクリックして購入する人の2種類存在していることだ。

Amazonは至急、この問題に対処すべきだ。何もわからないでクリックして購入する人は、Amazonで2倍も高く買わされたことを知った後には、二度とAmazonでは購買しない。

それは、Amazonがめざしている社会とも違うはずだ。

頼む、Amazonよ、セドラーがセドラーだとわかるように区別してくれ!

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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