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東京都、架空請求事業者の「偽ヤフー」に注意喚起

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

2017年2月1日のMXテレビ「モーニングクロス」の東京インフォメーションより…

都内の消費生活センターに寄せられる有料サイト利用料等の架空請求に関する相談は年々増加傾向しており、特に今年度から急増しているのが「ヤフー」をかたった架空請求の相談です。16歳から86歳と幅広い年代から、平均22万円を請求する架空請求の相談が去年12月21日までに165件と数多く寄せられています。具体的な手口としては、まず「ヤフー」をかたる事業者がSMSを使って消費者に「有料サイトの未納料金があり、支払わないと法的措置をとる」等のメッセージを送信、それを受け取った消費者が不安に思い、SMSに書かれた電話番号へ連絡をします。架空請求業者は、電話してきた消費者に「未払料金は通販サイトのギフト券で支払って下さい。25万円分のギフト券を買って番号を教えて下さい」などと話してきます。不安になった消費者はギフトカードを購入し、ギフトカード番号を伝えてしまうという手口です。

出典:架空請求事業者「偽ヤフー」に注意

偽ヤフーからの架空請求のながれ
偽ヤフーからの架空請求のながれ

まじめで正直な人ほど、「偽ヤフー」に騙される…

東京都生活文化局の「偽ヤフー」にご注意ください
東京都生活文化局の「偽ヤフー」にご注意ください

東京都生活文化局

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2016/12/22/23.html

昨年(2016年)だけで165件、平均22万円、合計すると約3,630万円という被害額になる。

まず、突然、ヤフーが携帯電話番号のSNSで法的措置をちらつかせてコンタクトを取るということは絶対にない。しかし、かつて、アダルトのサイトでOKボタンを押したら、請求が発生しました…なんて悪質なサイトを経験している人は、決して少なくはないだろう…。知らず知らずのうちに1分数千円のカウンターがまわっているようなサイトまである。しかし、その時点で相手はこちらの情報をもっていない場合、請求のしようがない。だから、何も心配することはないのだ。一番不幸なのがわざわざ、自分からSMSに書かれた番号へ連絡をとってしまうという行動だ。真面目な人が損をするのだ。

また今回の手口が、巧妙なのは、法的手続きを中断させる為に、一旦プリペイドのギフトカードを買わせ番号を伝えると後で「過払い金」として返金するというスキームだったのだ。もちろん、返金などあるわけがない。実在するヤフー株式会社とも全く無関係だ。電話の番号先も転送会社を複数利用して足がつきにくくなっている。絶対に反応してはいけないのだ。

実在するヤフー株式会社の名をかたり、「有料動画サイトに登録があり、延滞料金等の未払い料金が25万円ある。」と欺き、「既に弁護士に依頼し、裁判の手続を進めている。」「穏便にすますので発生日から本日までの未納料金25万円を一旦振り込んでもらいたい。いずれ過払金として返金する。」などと告げて支払いを求めます。

支払方法として大手通販サイトのギフトカード(以下「ギフトカード」という。)(※3)25万円分をコンビニエンスストア等で購入して、ギフトカードに記載されている番号を本件事業者に伝えるように指示します。

未払料金があるのではないかと不安になった消費者は、後で支払った金額のほとんどが返還されるのであれば支払ったほうが厄介にならないと思い、本件事業者の指示にしたがってギフトカードを購入し、そのカード番号を伝えてしまいます。

出典:勧誘の手口の概要 東京都消費生活条例第27条に基づく情報提供

Yahoo!JAPANヘルプ

「ヤフー相談窓口」「Yahoo! JAPAN相談窓口」などの名をかたり、ショートメールや電話で架空の請求を行う事例が発生しています。Yahoo! JAPANには、そのような窓口はなく、請求についてショートメールや電話でご連絡することはありません。

https://www.yahoo-help.jp/app/answers/detail/p/533/a_id/43786

あなたの電話番号は知らず知らず漏洩している

あなたの携帯番号は、知らず知らずの間に流通している。アンケートや懸賞、ポイントや会員サービス。SNSから、オークションにいたるまで、電話番号は流通しているものと思ったほうが良い。電話番号がわかれば、犯人は簡単にSMSでメッセージを送りつけることができる。大量に送れば、ほんの数%から不安に思った人から連絡がはいる。良いカモになってしまうのだ。会社にバレたり、家族にバレたり、親や子供にバレたらと思う前に、一旦誰かに相談してみよう。

東京都消費生活総合センター 03-3235-1155

ひとまず客観的な立場で判断ができる消費者センターに電話してみることだ。電話代金のみだ。消費者センターも、平日の9〜17時までなんてことではなく、交代制で24時間でも対応していただきたいものだ。

日々進化しつづける新型・振込詐欺

コンビニエンスストア側でも、1万円のギフトカードを25枚も購入する人がいると、何らかの異変に気づいていたかもしれない。しかし、事件がニュースになる前だと、お客様の買い物に口はハサミにくいものだ。通販サイト側でも一度に10万円以上のギフトカード利用を制限するなどの措置を取ったりしているが、転売され金券ショップなどから購入した場合など、犯人との見分けが付かないのが現状だ。プリペイドのギフトカードは、通販サイトのサーバーにナンバーを入力して初めてアクティベーションされるので、どのギフトカードが犯罪に利用されているのかが特定しにくいのだ。

振込み詐欺の手口は、日々進化し続ける…。ATMの振込から、ゆうパックへ、そしてコンビニで購入できるプリペイドギフトカード…、そして、今日もまた、新たな新型・振込詐欺の手口は開発されている。事件化して報道される頃には、すでに、次なる新・振込み詐欺へとシフトしているのだ。だから警戒された時点ではもうすでに手口が古い。

まずは、いかなるタイミングでも至急、お金を動かすことが必要なシーンは、疑ってかかることが大切だ。

決して、急がない、ルーズで、怠惰で、なまけることが最大の防御である。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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