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台風3号北上中 台風と梅雨前線は大雨パターン

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
2013年6月10日12時現在の台風3号の予想進路(気象庁)

台風3号は8日(土)夜に発生しました。突然、降って湧いたように台風が発生したと思われるかもしれませんが、台風の発生は数日前から予想されていました。でも、当初は日本に影響がないコースを通ると思われていましたので、本州へ近づくとはちょっと予想外でした。

台風シーズンは6月から始まります。

ですが、発生しても近づくのは少数で、ほとんどが日本列島から離れて通るか、沖縄・奄美に近づく程度です。ましてや、6月に上陸した台風は1951年以降で、11個しかありません。平均すると、5年から6年に1個くらいとなります。

今回の台風はまっすぐ、日本をめざしているようですが、本州に近づくと、台風を動かす風が弱くなり、また、上空の高気圧が強まるため、進路が定まりにくくなるおそれがあります。この時点では、台風の予想に幅があることを理解してください。

さらに、四国沖から東海沖の海面水温は23℃前後と、台風が勢力を維持できる水温27℃を下回っています。そのため、今後、台風が急に発達する可能性は小さいです。

そこで、一番に注意しなければならないことは、

台風の中心ばかりに気をとられないことです。本州には梅雨前線があり、台風が遠くにあっても、台風からの湿った空気で大雨になることが、しばしばあります。すでに、台風の雲と梅雨前線の雲がつながっています。これは、梅雨前線の活動が活発になるシグナルです。

なお、台風の強弱は一番早く、雲の形に現れます。なので、気象衛星の雲画像を注意深く、観察することが大切です。

東京の今月の雨量はわずか0.5ミリ。6月、1か月に降る雨の量は平年で167.7ミリですから、どこかで帳尻あわせをしそうです。実際、6月上旬に雨がほとんど降らなくても、その後、大雨になったケースは多数あります。

台風が近いときの雨はいつも以上に強く、大雨になりやすいので、くれぐれもお気をつけ下さい。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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