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未(ヒツジ)年からみた2015年の天気

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
ヒツジは、西洋では未来を予知する動物と信じられている。

天気を生業にしていると、一年があっという間に過ぎていきます。正月が明ければ、大雪に震え、桜の開花・満開に一喜一憂し、梅雨入りしたら集中豪雨に慌て、夏の猛暑に疲れ果て、秋の台風に翻弄される。

子 川の上に在りて曰く、逝く者は斯くの如きか、昼夜を舎かず。

出典:論語入門 井波律子 岩波新書

思えば、天気もこの川の流れのように一刻もとどまることがない。今年(2014)も大雪、豪雨災害、台風とめまぐるしく天気が過ぎていったように思います。昨年末、2014年の天気を展望したとき、午年生まれの人は少なくても、午年には歴史に残る気象災害が数多くあるようだと書きました。実際はどうだったのか?

2月の首都圏を襲った2度の記録的な大雪、そして8月の広島豪雨は多くの人の印象に残っていることでしょう。一概に気象災害が多い、少ないとは言えませんが、気象災害が社会に与える影響は年々、増しているように思います。

未(ヒツジ)年は猛烈台風と冷夏?

過去の未年の天気を見てみましょう。まずは台風から。未年の台風といえば、1991年の台風19号です。日本全国で猛烈な風が吹き、青森県では収穫前のリンゴが落ち、被害額約741億円という史上稀にみる被害がありました。通称「リンゴ台風」と呼ばれている由縁です。

そのほか、2003年や1979年にも台風が列島を縦断し、風による被害が際立っています。

次いで、夏の天候にも特徴があります。2014年は西日本で豪雨、冷夏となりましたが、前回の未年(2003年)は全国的に大冷夏でした。前々回(1991年)も短い夏で、8月は全国的に気温が低く、これまで未年は2度続けて冷夏だったのです。確固たる根拠があるわけではありませんが、現在、エルニーニョ現象が発生していることを考えると、2015年の夏が冷夏になる可能性も捨てきれず、注目しています。

ヒツジのように視野を広く

あれこれ取りとめもなく話をしてきました。でも、災害・被害ばかりを並べても仕方がない。聞くところによると、目が顔の横についているヒツジは視野が広く、頭を動かさずに自分の背後が見えるとか。2015年夏には性能が大幅に向上した気象衛星ひまわり8号の運用が始まり、宇宙から日本の天気を見つめる目はますます鋭くなります。でも、道具は使いこなさなければ意味がない。天気のプロとして、これまで以上に視野を広く持って、天気を伝えていきたいと思っています。

【表紙の写真】

ニュージーランド・ロトルアのヒツジたちです。國本未華さんからいただきました。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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