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ハリケーン・イグナシオ ハワイに接近

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
ハリケーン・イグナシオ(ホノルル・ハリケーンセンター NOAA)

ハリケーン・イグナシオ(IGNACIO)

ハリケーン・イグナシオの進路予想図(NOAA)
ハリケーン・イグナシオの進路予想図(NOAA)

ホノルル時間27日午後5時(日本時間28日正午)、ハリケーン・イグナシオはホノルルの東南東約1900キロの位置にあり、時速20キロで進んでいます。

中心の気圧は982ヘクトパスカル、最大風速は40メートルで、ハリケーンの強さはカテゴリー1です。台風でいえば強い勢力に相当します。

このまま北西へ進むと、31日(月)以降、ハワイ諸島に近づく予想です。

9月1日(火)から2日(水)かけ、ハワイ島やオアフ島にかなり接近する可能性が高まっています。

ホノルル空港の天気予報(National Weather Service Honolulu Forecast Office)
ホノルル空港の天気予報(National Weather Service Honolulu Forecast Office)

現地の気象台によると、ホノルル空港では31日(月)以降、次第に雨が降り出し、1日(火)は暴風雨になる見通しです。

今年はハリケーンの当たり年

ハリケーン・イグナシオは今シーズン北東太平洋で4個目のハリケーンです。米海洋大気庁ハリケーンセンターによると、北東太平洋では一年間に平均で4個-5個の熱帯低気圧が発生します。

今年はすでに8個の熱帯低気圧が発生、今月上旬にもハリケーン・ヒルダ(HILDA)がハワイ諸島に接近しました。現地の報道ではハリケーンの当たり年だそうです。

右はハリケーン・左は台風

太平洋は地球表面の約3分の1を占める、世界最大の大洋です。経度180度線に沿うように日付変更線が通っていますが、この経度180度線を境にして、熱帯低気圧の呼び名も変わります。北半球では西側(左側)は台風、東側(右側)はハリケーンです。

では、この経度180度線を台風またはハリケーンが通過してしまったら? とうなると思いますか?

答えは「呼び名が変わる」です。

例えば、今年7月10日、北東太平洋で発生した熱帯低気圧ハロラ(HALOLA)は13日に経度180度線を越えて、台風12号となりました。

なぜ、このように場所によって呼び名が変わるのでしょう。台風も、ハリケーンも、サイクロンも、気象学では同じ熱帯低気圧です。

現代は熱帯低気圧の発生から消滅まで、つぶさに知ることができますが、それは気象衛星が登場した1970年代になってからのこと。それまでの長い間、熱帯低気圧を知ることは困難でした。今ほど情報が行き交う時代ではなかったので、それぞれの海域で独自の名前がついたのでしょう。

【参考資料】

ハリケーン・イグナシオ(IGNACIO):National Weather Service Honolulu Forecast Office

上野達雄,2000:台風の大きさ・強さ及び熱帯低気圧の分類の表現変更,気象,2000年5月号,4-8.

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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