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台風23号 発達しながら北上中

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
発達期の台風23号(中心部の濃密な雲域はまだない。4日正午)

台風23号 発達しながら北上中

台風23号の予想進路図(10月4日正午現在)
台風23号の予想進路図(10月4日正午現在)

台風23号は4日(日)正午現在、南鳥島近海を1時間に35キロの速さで西寄りに進んでいます。東京から約2600キロ離れた海域です。

台風は6日(火)以降、向きを北寄りに変えて、8日(木)から9日(金)にかけ、本州の東海上を北上し、北海道にかなり接近する予想です。

今のところ、関東地方に最も近づくのは8日(木)朝とみられています。台風が予報円の中心を通る場合、東京から約700キロ離れた海上を進む可能性が高いです。

台風23号は発生した当初から風速15メートル以上の強風域が広く、現在も直径約1400キロ、大型の台風です。そのため、台風から遠い場所でも強い風が吹くおそれがあり、関東地方でも北寄りの風が強まるところがありそうです。また、東北や北海道では8日(木)と9日(金)に風雨が激しくなる見通し。

台風23号 海外の気象機関も

気象庁が予想する5日先(9日)の予報円は半径700キロと広いですが、世界の主要気象機関である欧州中期予報センター(ECMWF)、米気候予測センター(NCEP)、英気象局(MetOffice)も同様の予測を示していて、台風23号が北海道東部付近に近づく可能性が高いと思います。

日本を始め世界の主要な気象機関では現在、地球全体を緻密な規模で気象予測を行っているため、各気象機関の予測を比較することができます。そうすることで、一国だけではわからない予測の精度を計ることができるのです。

台風23号 珍コース?

日本に近づく台風の主なコース(模式図)
日本に近づく台風の主なコース(模式図)

日本に近づく台風は列島を南西から北東方向に進むことが多く、台風23号の予想進路のように、本州の東海上を北上し、北海道に近づくコースは過去の例が少なく、珍しいと思います。

過去似ているコースをたどった台風としては1992年9月の台風17号があります。

根室では最大瞬間風速28.9メートル(西風)の暴風が観測され、日降水量は211.5ミリと観測史上最大の大雨となりました。また、東京でも20メートルを超える突風が吹きました。

余談ですが、これまで北海道に直接上陸した台風は4個で、上陸台風全体の約3%です。最近では1993年台風11号(釧路市付近)があり、釧路の東にある尻羽岬(しれぱみさき)で、7.48メートル(有義波高)の高波が観測されました。

【参考資料】

気象庁:台風23号の情報

英気象局(Met Office):Storm Tracker

欧州中期予報センター(ECMWF)

米気候予測センター(NCEP):Model Guidance(GFS)

デジタル台風:台風上陸・通過データベース(完全版)

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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