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台風進路予報 レベルアップに期待

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
与那国島で81.1メートル 日本歴代3位の暴風をもたらした台風21号(2015)

2015年台風進路予報は過去最高の成績

台風の進路予想は様々な気象情報のなかでも、最もニーズの高い情報で、もちろん毎年の成績も公表されています。

台風の進路予報の成績はどのようにして決めるのでしょう?それは台風の中心が予想と実際でどのくらいずれていたか、によって判断されます。

2015年の台風進路予報成績(気象庁)
2015年の台風進路予報成績(気象庁)

昨年(2015年)の成績はすべてのクラスで誤差が小さくなり、過去最高の成績となりました。

3日先の予報誤差は20年間で約200キロ小さく

台風進路予報の年平均誤差(72時間予報,気象庁)
台風進路予報の年平均誤差(72時間予報,気象庁)

天気予報はどうしても先になればなるほど当たりません。3日前くらいから、しっかりと当たると実感できるような予想になると、予定が立てやすく、対策や準備もより効果的、効率的になるでしょう。

このグラフは3日先の台風進路予報の年平均誤差をみたものです。

3日先の台風予報が発表されるようになったのは1997年。スタート当時の誤差は380キロあり、約20年間で約200キロ小さくなりました。

昨年(2015年)の誤差176キロはちょうど東京ー長野間に相当します。これを大きいとみるか、小さいとみるかは意見が分かれると思いますが、私は実用的な範囲に収まってきたと思います。

台風の雲の大きさは差し渡し1000キロから2000キロくらいですから、台風の中心が東京を通っても、長野を通っても、台風の影響から逃れることはできないでしょう。

2016年台風シーズン 予報のレベルアップに期待

おおまかにいって実用的なレベルに近づいたといっても、細かくみれば、雨の強さや降っている時間、風の強さなどの予測はまだまだ不十分です。

今年からは気象衛星ひまわり8号の観測データの利用とコンピュータによる気象予測方法の改良により、台風予報の精度が向上することが期待されています。私自身、どのような変化が現れるのか、とても興味を持っています。

【参考資料】

気象庁:気象の予測精度が向上します~数値予報の改良~,報道発表資料,平成 28年 3 月 17 日

気象庁:台風進路予報の精度検証結果(気象庁ホームページ)

気象庁:2015 年(平成 27 年)の台風について(確定),報道発表資料, 平成 28年 1 月 27 日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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