ラニーニャ現象と冬の予想
北海道では20日、12月上旬並みの強い寒気の影響で初雪が降った。ラニーニャ現象は9月に発生し、来年3月にかけて基準値をやや上回る程度の弱い状態が続く可能性が高い。この冬の寒さはラニーニャ現象以上に寒気の動向がカギになる。
ボーダーラインラニーニャ
世界気象機関(WMO)は19日、エルニーニョ/ラニーニャ現象の現状と今後の見通しを発表しました。
太平洋熱帯域は7月以降、ラニーニャ現象へと変化を始め、10月は貿易風も強まり始めています。海洋と大気が互いに強め合う、ラニーニャ現象としての姿が現れてきました。
ラニーニャ現象が今年末まで持続する確率は50%から60%、来年3月頃まで続く可能性があるとしています。
しかし、あまり発達はせず、ボーダーラインぎりぎりの弱いラニーニャ現象になるとの見通しです。日本やアメリカの予測も同様の傾向を示していて、規模として弱いものになる見方が優勢です。
この冬は「北暖西冷」
この冬の天候予測はラニーニャ現象を意識したものになっています。
ラニーニャ現象が発生すると、太平洋熱帯域東部(ペルー沖)の海面水温はいつも以上に低くなり、一方で西部の海面水温は高くなります。日本へ影響するのは西部の海面水温が高いこと。天気の世界では「海が暖かい=雲が多く発生する」と考えます。
では、雲が多く発生する(対流活動が活発)とどうなるのでしょうか?
雲により上昇気流が生まれ、その北側で高気圧が強まります。高気圧が大陸の南東側で強まると、偏西風の流れが変化し、寒気がいつもより西日本や沖縄に流れ込みやすくなります。
前回、ラニーニャ現象が発生した2011年冬は、東京で例年より1週間以上早く木枯らし1号が吹き、クリスマス寒波があり、年末年始は山陰地方で記録的な大雪になりました。
寒気の予想は2週間先まで
12月上旬並みの強い寒気の影響で、札幌では16年ぶりの早い初雪になりました。
このまま寒くなるのでしょうか?
日本の冬は北極から南下する寒気によって決まります。偏西風が日本付近で大きく南に下がり、北極からの寒気が流れ込みやすくなると、その冬は寒くなります。
寒気の動向を数か月先まで長期的に予測することは難しいですが、2週間先までなら精度は高く、十分に利用できます。来月初めにかけては北日本を中心に気温が低くなりそうです。
【参考資料】
世界気象機関(WMO):WMO El Nino/La Nina Update,19 October 2016
米海洋大気庁(NOAA):EL NINO/SOUTHERN OSCILLATION (ENSO) DIAGNOSTIC DISCUSSION,13 October 2016
気象庁:エルニーニョ監視速報(No.289),2016年10月11日
気象庁:冬の天候の見通し(12ー2 月)寒候期予報の解説,2016年9月23日