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そのFKは「ほぼ100%枠にいく」。FC東京内定の小川諒也(流経大柏高)が、自慢の左足で狙うもの

川端暁彦サッカーライター/編集者
自慢の左足FKでゴールを狙う小川諒也

己の左足に絶対の自信を持つ

東京都練馬区出身。179cm/70kg。B型
東京都練馬区出身。179cm/70kg。B型

「FKに関してはほぼ100%、枠にはいくので」

サラリと言ってのけた言葉に、小川諒也の「左足」に対する絶対の自信とプライドが見え隠れした。

流通経済大学付属柏高校。2000年代からサッカーの強豪校としての地位を確立したこのチームに所属する小川のFC東京への加入が発表されたのは11月17日のこと。「やっとしゃべれますよ」と苦笑を浮かべたように、その以前から加入は決まっていたのだが、激戦を約束されている高校サッカー選手権千葉県予選への配慮もあって、その決勝(16日)が終わるまでは発表が控えられていたのだ。

小川は179cmと大柄ながらスピードがあり、左足のキックには絶対の自信を持つ。“俊足強打”の左サイドバックで、複数のJクラブが興味を示していた。だが、「(FC東京のスカウトは)一番、流経にも来てくれて、一番自分を必要としてくれるクラブなんだと感じた。あと監督も新人であっても使ってくれる人だと聞いたので」と、青赤軍団への加入を決めた。もともと東京都の出身ということも、その決断を後押しした。

FC東京は左サイドバックとしてまず考えている旨を伝えているが、本人のポジション遍歴は多彩だ。取材当日の試合(高円宮杯プレミアリーグ、コンサドーレ札幌U-18戦)でも、左サイドハーフでスタートし、途中から左サイドバックへ移り、最後は守備固めでセンターバックを務めてマルチロールぶりを示した。本人も「今日はサイハ、サイバ、センバとやりましたけれど、問題はなかった」と涼しい顔。試合によっては、ヘディングの強さを買われてセンターフォワードで起用されることもあるので、芸域の広さは相当なものだ。

ただ、どのポジションでプレーしようと、最大の武器がその左足にあることは言うまでもない。冒頭のコメントにあるように、左足のキックには絶対の自信を持つ。流経大柏・本田裕一郎監督が「小川の左足は、ある」と独特の言い回しで形容する左足のFKは特に絶品。「試合を決める選手になりたい」と語ってきた小川が、磨き抜いた武器だ。

そしてFC東京には、同じく左足のキックに絶対の自信を持つ左サイドバックがいる。日本代表にも定着しつつある太田宏介だ。だが、カミソリシュートの使い手であるJリーグ最強クラスのレフティーに対しても、「太田さんを抜ければ代表になれるということですよね」と強気に語り、「(1学年先輩でアルビレックス新潟に加入した)小泉慶さんは先発で試合に出ているし、自分もすぐに試合に出るつもりでやる」とも明言した。

もちろんプロはそんなに甘くないし、FC東京は高卒新人にとってハードルの高いクラブだ。しかし、だからこそ「太田を抜く」と宣言できる心意気があるのは、悪くない。

まずは12月30日から始まる高校サッカー選手権。おそらく青赤軍団を応援するサポーターたちも「小川ってのは、どんな選手なんだ?」と多数会場に訪れるはず。彼らに向けてどんなパフォーマンスを示せるかを楽しみにしたいと思う。もちろん、「このチームだったらできると思う。どこにも負けない自信はある」と断言するように、タイトルを手土産に東京へやって来る可能性も、十分にあるだろう。

サッカーライター/編集者

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。2002年から育成年代を中心とした取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月をもって野に下り、フリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカークリニック』『Footballista』『サッカー批評』『サッカーマガジン』『ゲキサカ』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。著書『2050年W杯日本代表優勝プラン』(ソルメディア)ほか。

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