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アジア決戦目前。U-16日本代表“00ジャパン”全員ガイド

川端暁彦サッカーライター/編集者
日本代表の「末弟」に当たるチームが、初めての「アジア」に挑む

9月16日からU-17W杯アジア最終予選を兼ねるAFC・U-16選手権がインドにて開幕する。原則4位までに与えられる世界切符とアジア制覇を目指して大会に臨むU-16日本代表は2000年1月1日以降に生まれたニューミレニアム世代の選手たち。“00ジャパン”の愛称を持つ23名の選手たちをポジションごとに紹介していきたい。

もっとも、複数ポジションをこなせる選手も多いので、この区分けは便宜的なもの。システムも4-4-2をベースにしながら、1トップや3バックなども試行しており、一つの「形」にこだわるようなチーム作りはしていない。「練習や試合で良かったやつを使う」(森山佳郎監督)というシンプルな哲学に基づいて先発メンバーも流動的である。前回のインド遠征時はメンバーのほとんどが下痢になってしまったので、「そういう意味での先発変更」を強いられることもありそうだが、そこは日本のニューミレニアム世代の「選手層の厚みなら絶対にどの国にも負けていない」(森山監督)ことを見せ付ける機会とも言えるだろう。

【ゴールキーパー】

左から谷晃生、青木心、大内一生。日本の若き守護神たち
左から谷晃生、青木心、大内一生。日本の若き守護神たち

No.1

谷 晃生(たに・こうせい)

ガンバ大阪ユース

2000年11月22日生

187cm/78kg

ガンバ大阪ジュニアユース出身

長身ながら足元のボールテクニックに秀で、軽快にバックパスをさばいてビルドアップの起点になれる現代型のGK。早くから世代を代表する選手として評価を受けてきた。丈夫な胃袋にも定評があり、インドの食環境に適応できた数少ない選手の一人。

No.12

青木 心(あおき・こころ)

JFAアカデミー福島U18

2000年6月9日生

184cm/72kg

JFAアカデミー福島U15出身

谷と激しいポジション争いを繰り広げてきたエリート養成機関JFAアカデミーの名手。彼もまた大型ながらパスワークが安定しており、フィードの判断も素早い。もしも谷に何かあったとしても、青木ならば遜色ないプレーを見せてくれるはず。

No.23

大内 一生(おおうち・いっせい)

横浜FCユース

2000年9月8日生

182cm/74kg

横浜FCジュニアユース出身

「フィードには自信がある」と自ら豪語するように、手と足の双方から正確なボールを供給する。1対1での勇敢さ、飛び出しの速さも光る。イタリアにルーツを持ち、「夢はセリエAでプレーすること」と語る。既にトップ登録済み。

【センターバック】

左から小林友希、瀬古歩夢、監物拓歩。いずれも大型選手が揃った
左から小林友希、瀬古歩夢、監物拓歩。いずれも大型選手が揃った

No.3

小林 友希(こばやし・ゆうき)

ヴィッセル神戸U-18

2000年7月18日生

180cm/67kg

ヴィッセル神戸U-15出身

負傷から復帰で何とか最終予選に間に合った守備陣の要石。左足から繰り出す精緻なフィードと冷静沈着なカバーリングの光るCB。神戸の先輩・岩波拓也にあこがれていると言うように、確かに「左利きの岩波」という雰囲気はある。初戦は先発回避の可能性も。

No.5

瀬古 歩夢(せこ・あゆむ)

セレッソ大阪U-18

2000年6月7日生

182cm/74kg

セレッソ大阪U-15出身

初見はU-14の日韓戦(アウェイ)だったが、抜きん出た高さと気合いで相手FWを粉砕し、的確なロングフィードでゲームも作る様子は既に飛び抜けていた。ボランチをこなす器用さもある。明るく周囲を盛り立てるムードメーカー的存在でもある。

No.16

監物 拓歩(けんもつ・たくむ)

清水エスパルスユース

2000年6月2日生

186cm/73kg

清水エスパルスJY出身

王国清水が生んだ186cmの偉丈夫系ストッパー。アジリティや粘りにまだ欠ける部分もあり、指揮官は「何度も外そうか迷った」と言うが、その潜在能力を信じて我慢して起用、本人もそれに応えてきた。抜群の身体的特性に加えて、左利きという稀少な要素を兼ね備える。

【サイドバック】

左から菅原由勢、菊地健太、作田龍太郎。いずれも攻撃型SBだ
左から菅原由勢、菊地健太、作田龍太郎。いずれも攻撃型SBだ

No.7

菅原 由勢(すがわら・ゆきなり)

名古屋グランパスU18

2000年6月28日生

175cm/63kg

名古屋グランパスU15出身

層の薄い右サイドバックでの起用が濃厚だが、センターバックやボランチ、サイドハーフまで自在にこなす。「どこで出ても対応しますよ」と笑って言い切るように、試合中のポジション変更にも自在に対応するサッカーIQの高さが光る。あと、すごく元気。

No.19

菊地 健太(きくち・けんた)

JFAアカデミー福島U18

2000年5月28日生

171cm/60kg

JFAアカデミー福島U15出身

「目標は長友佑都」と語るとおり、激しいアップダウンを繰り返してサイドを制圧していく運動量自慢のサイドバック。もっとも、長友と違って左利きなので、カットインよりも縦突破からのクロスを好む。大会目前で顔面を負傷し、バットマンになってしまった。

No.21

作田 龍太郎(さくた・りゅうたろう)

ヴィッセル神戸U-18

2000年5月5日生

163cm/57kg

ヴィッセル神戸U-15出身

16歳ながら渋さも感じさせる隙のない(しかし相手の隙は見逃さない)1対1の守備対応が光る高性能サイドバック。163cmと小柄ながらクレバーで、直前の練習試合ではセンターバックもこなしている。スピードを活かしてのオーバーラップもある。

【セントラルMF(1)】

左から平川怜、喜田陽、福岡慎平。チームの心臓と肺
左から平川怜、喜田陽、福岡慎平。チームの心臓と肺

No.4

平川 怜(ひらかわ・れい)

FC東京U-18

2000年4月20日生

174cm/67kg

FC東京U-15むさし出身

元より技巧には定評があったが、森山佳郎監督から一時はメンバー外を通告されるなど、厳しい薫陶も受けながら守備の楽しさと激しさを覚えて才能が開花。大黒柱の一人となった。基本はボランチだが、左MFに加えて3バック採用時にはリベロもこなす。

No.6

喜田 陽(きだ・ひなた)

セレッソ大阪U-18

2000年7月4日生

170cm/57kg

セレッソ大阪U-15出身

気配り系リーダーシップを備えたボランチで、「自分たちのサッカー」が機能しないときにも頭を使って対応できる稀少な存在。直前の練習試合では左サイドバック初体験となったが、無難にこなした。一次予選は負傷で棒に振っただけに、今大会への思いは人一倍。

No.10

福岡 慎平(ふくおか・しんぺい)

京都サンガU-18

2000年6月27日生

167cm/63kg

京都サンガU-15出身

キャプテンにして10番も預かるチームの絶対的支柱。「あいつとなら心中してもいい人間性がある」と、指揮官からの信頼は絶大なものがある。確かなテクニックと攻守の活動量があった上で、ゴール前で相手の急所に入り込んでいく戦術的センスも備える。

【セントラルMF(2)】

左からCBもこなす瀬畠義成、もう一人の中学生・松本凪生、シンデレラ谷本駿介
左からCBもこなす瀬畠義成、もう一人の中学生・松本凪生、シンデレラ谷本駿介

No.17

瀬畠 義成(せばた・ぎじょう)

JFAアカデミー福島U18

2001年1月19日生

180cm/63kg

JFAアカデミー福島U15出身

大型選手だが、空中戦よりも足元に特長を持つボランチ。「リズムを作るのが得意」と語るように、シンプルにボールをさばいて機を見て前に出て行くスタイルを持つ。「先発と温度差が出ないようにやっていく」と雰囲気作りから貢献する腹づもりである。

No.20

松本 凪生(まつもと・なぎ)

セレッソ大阪U-15

2001年9月4日生。168cm/60kg

喜連東FC出身

久保と共に中学3年生でのメンバー入りとなった期待株。同じ中3のチームメイト・西尾隆矢が無念の負傷離脱となったための追加招集だけに、思いを託されての合流となった。高度なスキルに加えて、対人でのアグレッシブな守備も持ち味のボランチ。

No.22

谷本 駿介(たにもと・しゅんすけ)

セレッソ大阪U-18

2001年3月7日生

168cm/55kg

セレッソ大阪U-15出身

C大阪「黄金世代」の一人だが、代表初選出は今年8月末。「難しいと思っていた。ビックリした」と本人も認めるサプライズ選出のワンチャンスをものにして、メンバーに滑り込んだ。ボランチ、サイドハーフでプレーし、高い技術でチャンスを作る。

【攻撃的MF】

個性派ぞろいのザ・ドリブラーズ。左から桂陸人、鈴木冬一、上月壮一郎
個性派ぞろいのザ・ドリブラーズ。左から桂陸人、鈴木冬一、上月壮一郎

No.2

桂 陸人(かつら・りくと)

サンフレッチェ広島ユース

2000年9月16日生

161cm/63kg

サンフレッチェ広島JY出身

機動力と思い切りの良さに秀でる弾丸アタッカーだが、00ジャパンにおいては右サイドバック、両サイドハーフ、そしてFWの候補でもあるマルチロールである。菅原と並ぶチームの元気印であり、ベンチにいてもピッチにいても前向きに振る舞えるナイスガイ。

No.8

鈴木 冬一(すずき・といち)

セレッソ大阪U-18

2000年5月30日生

161cm/58kg

セレッソ大阪U-15出身

小柄ながらボディバランスが良く、左足のマジカルなタッチを駆使して敵陣を切り崩し、左足の多彩なキックでゴールを陥れる「関西のマラドーナ」。本人に言ってみたが、メッシにはあこがれていたものの、マラドーナは名前しか知らなかった……。

No.15

上月 壮一郎(こうづき・そういちろう)

京都サンガU-18

2000年12月22日生

179cm/64kg

京都サンガU-15出身

180cm近い大型選手だが、持ち味は縦への推進力。グイグイとボールを運んで敵陣をぶち抜いていく。課題と自ら感じていた体力面の改善に取り組むなど、地道な努力家でもある。戦術的な判断などに課題も見せるが、大きな将来性を感じさせる選手だ。

【セカンドトップ】

左から久保建英、中村敬斗、棚橋尭士。いずれもゴールに強烈なこだわりを持つ
左から久保建英、中村敬斗、棚橋尭士。いずれもゴールに強烈なこだわりを持つ

No.9

久保 建英(くぼ・たけふさ)

FC東京U-18

2001年6月4日生

167cm/60kg

FC東京U-15むさし出身

ボールを扱う感覚とボールを引き出す感覚の双方を兼ね備えるレフティー。類いまれなシュートセンスを活かしてこのチームでもゴールを量産してきた。カットインプレーを活かせる右MF、もしくは決定力に期待できるFWでの先発が有力だ。

No.13

中村 敬斗(なかむら・けいと)

三菱養和ユース

2000年7月28日生

176cm/63kg

三菱養和JY巣鴨出身

「FW陣の中で今年一番成長したかもしれない」と森山監督から評される点取り屋。ボール扱いの技術には元より定評があったが、シュートを徹底的に磨いたことで怖さが増した。本来はFWだが、シュートレンジの広さを活かせる左MFでも使われる。

No.14

棚橋 尭士(たなはし・あきと)

横浜F・マリノスユース

2000年7月12日生

170cm/62kg

横浜F・マリノスJY出身

所属チームでの状況もあって一時はメンバー外となっていたが、復帰後はゴールを量産。「なんだかんだ言って結果を残してくれる」と指揮官の信頼を取り戻した。左右中央問わない幅広いプレーエリアを持ち、特にボックス脇からの仕掛けに秀でる。

【センターフォワード】

00ジャパンの最前線を担うタイプの異なるストライカー、宮代大聖(左)と山田寛人
00ジャパンの最前線を担うタイプの異なるストライカー、宮代大聖(左)と山田寛人

No.11

宮代 大聖(みやしろ・たいせい)

川崎フロンターレU-18

2000年5月26日生

176cm/67kg

川崎フロンターレU-15出身

チーム結成以来の看板ストライカー。川崎FではU-15時代からU-18チームで活躍を見せてきた。相手DFを背負って受けるプレーを得意とする数少ない選手で、縦パスのターゲット役となる。もちろん、「FWはゴール」という信念から徹底して得点も狙う。

No.18

山田 寛人(やまだ・ひろと)

セレッソ大阪U-18

2000年3月7日生

180cm/69kg

ホペイロ刈谷出身

負傷で戦列を離れていたが、「何とか間に合った」と本人も周囲も胸をなで下ろすギリギリの復帰を果たした。180cm超の大柄な体はあるが、加速力を活かした裏を取るプレーが真骨頂。クロスに点で合わせる上手さもあり、先発でも交代出場でも期待できる。

山田寛人は病院に行って写らずも、「優勝してまた皆で撮るから問題ない」とスタッフ
山田寛人は病院に行って写らずも、「優勝してまた皆で撮るから問題ない」とスタッフ

【AFC U-16選手権(インド)予定】

時間は日本時間。CSテレ朝チャンネル2で生中継予定。NHK-BS1で録画中継。放送予定はこちらまで。

16日 23:30~

「日本 × ベトナム」

19日 19:30~

「日本 × キルギス」

22日 19:30~

「日本 × オーストラリア」

25 or 26日

「準々決勝」

29日

「準決勝」

「5位決定プレーオフ(インドが4強入りの場合のみ実施)」

10月2日

「決勝」

「5位決定戦」

サッカーライター/編集者

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。2002年から育成年代を中心とした取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月をもって野に下り、フリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカークリニック』『Footballista』『サッカー批評』『サッカーマガジン』『ゲキサカ』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。著書『2050年W杯日本代表優勝プラン』(ソルメディア)ほか。

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