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EVにもハイブリッドにもなる、新しい自動車の答え。アウディA3 e-tron試乗。

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

このところ、ドイツ勢が続々と「プラグイン・ハイブリッド」を搭載したモデルを市場に送り込んでいる。

メルセデス・ベンツが最上級のSクラスでこの流れに火をつけ、最近ではCクラスにもプラグイン・ハイブリッド搭載の「C350e」をラインナップした。BMWもX5、2シリーズアクティブツアラー、3シリーズにプラグイン・ハイブリッドを搭載したモデルを追加した。

そうした中でアウディは、同社のハッチバックモデルA3に、「e-tron」と呼ばれるプラグイン・ハイブリッドモデルを追加した。

A3 e-tronは最高出力150ps、最大トルク250Nmを発生する1.4Lの直噴ガソリンターボ・エンジンに、最高出力109ps、最大トルク330Nmを発生する電気モーターを組み合わせたハイブリッド車となる。が、通常のハイブリッド車と異なるのは、充電のためのプラグを備えていることで、フロントグリル内に収められたポートから200V/100Vの充電が可能となっている。

搭載されるリチウムイオン電池は、8.7Kwhとなり電気自動車として52.8kmを走行できるという。充電は200Vで3時間、100Vならば9時間でフルに充電される仕組みだ。

約50kmをEVで走れてしまうため、普段使いはほぼEVで事足りる。そして電池がなくなったらハイブリッドで走れるため、充電場所や充電時間、走行距離を気にすることなく使えるわけだ。

このため、普段の足として使う場合、ガソリンスタンドに行く機会はかなり減る。ハイブリッドとして走るシーンはおそらく、週末等で遠出する時だけだろう。そうした際にも充電に気を取られず帰ってこれて、家で充電すれば良い。

走行可能距離も、EVでの約50kmに加えて通常のハイブリッドの走行が可能となるため、1タンク(ガソリン満タン)で約940kmを走れるという。

実際に乗ってみると、EVモードではもともと優れたハッチバックであるA3の良さがさらに引き立つ。そのあたりは動画を参考にしてもらうとして、1クラス上のクルマに乗っている印象だ。

ただし価格は564万円と、最も安価なモデルの303万円に対してかなり高額なモデルに位置付けられる。ただ購入時には、クリーンエネルギー自動車導入促進対策費として61万円が国から適用されるため、503万円という価格が実際のところ。とはいえ高額なモデルであることには変わりない。

EVにもハイブリッドにもなる2面性を持っている点や、その走りが他のA3と比べても圧倒的に上質な事は間違いないが、果たしてそれをしてこの価格に納得できるか否かが判断材料の最も大きなところだろう。

未来のクルマの感覚は存分にあるが…それを生活の相棒とするには最も大きなハードル(価格)があるのが現実でもある。

とはいえ、技術が進み電池やその他価格が下がっていくと、プラグイン・ハイブリッドは当面の理想形になるともいえるだろう。

もっとも最近では原油価格が下がっているため、積極的に電化された自動車を選ぶ理由が一層薄くなっているのだが。

[ アウディA3 e-tronのwebサイトはこちら> http://www.audi.co.jp/jp/brand/ja/models/a3/a3_etron.htmlhttp://www.audi.co.jp/jp/brand/ja/models/a3/a3_etron.html]

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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