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同一車線自動運転技術搭載の日産セレナ、ついにデビュー。

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

日産自動車株式会社は24日、フルモデルチェンジした「セレナ」を同日より全国一斉に発売すると発表した。

この新型セレナ最大のトピックは、既に記事にしているように、同一車線自動運転技術「プロパイロット」を搭載したこと。ミニバンクラスにおいては世界初となるこの技術を採用したことで、高速道路等の自動車専用道路で、ドライバーが設定した車速(約30~100km/h)を上限として、先行車両との車間距離を一定に保つよう制御。これに加えて今回から、車線中央を走行するようステアリング操作を支援することで、ドライバーの運転をサポートするのが新しい技術である。さらに先行車両が完全停車した場合には、システムが自動的にブレーキをかけて停車すると同時に、ドライバーがブレーキを踏むことなく停止状態を保持することも可能とした。そして先行車両が発進した場合には、ドライバーの簡単な操作で、追従走行を再開する。

家族でのレジャー使用等が多いセレナのようなミニバンにおいて「プロパイロット」が採用されたことで、こうしたミニバンの使用頻度が高い休日における高速道路の渋滞走行や長時間の巡航走行など、事故につながりやすいシーンでのリスクも大幅に軽減されるだろう。また実際にハンドルを握るドライバーに対しても、こうしたシーンにおいて感じていたストレスが大幅に低減され、ドライバー自身の疲労度も軽減されるといえる。

また併せて日産がこのクラスのミニバンにこうした技術を採用したことによって市場が刺激されることが予測されており、他メーカーの同クラスにおけるライバル車においても、安全技術の採用が促進されると予測できる。こうした動きによって、日本で大きな市場を持つミニバンの安全性が飛躍的に高まることに期待をしたい。

今回、新型セレナが採用した「プロパイロット」は将来の自動運転につながる技術という意味でも注目だし、自動運転という言葉に多くの人が反応するだろうが、重要なのはこうした技術によってドライバーのミスがある程度カバーされて安全性が向上するという点。この機能に全てを任せるというよりも、いざという時の安全・安心をサポートしてくれるものだという点に注目したい。また同時に、セレナのような多くの人が購入対象にあげる車において、こうした技術が積極的に採用された点が今回のハイライトであるし、そうしたモデルにこの技術の搭載を踏み切った日産の英断が評価されるポイントといえるだろう。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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