スバルのモータースポーツ活動をメインに、スバルのクルマをベースとしたコンプリートカーの開発やパーツの開発等を行なっているスバルテクニカインターナショナル株式会社（STI）が、スバル唯一のハイブリッドモデルであるコンパクトSUVのXVハイブリッドをベースにコンプリートカーを送り出した。それがこの「XVハイブリッドtS」というモデルだ。

STIはもともと、WRXSTIなどを始めとするスバルの中でもスポーツ系の車種を、さらにチューニングを施してコンプリートカーを送り出すのが常道だったが、最近ではクルマのカテゴリーも様々な方向へと広がっていることを受けて、今回コンパクトSUVをベースにコンプリートカーを送り出したわけだ。

ベースとなるXVハイブリッドは、インプレッサから派生したコンパクトSUVであるXVをベースに、トヨタのハイブリッドシステムを組み合わせたスバル唯一のモデル。昨今のSUV人気にあって、XVは人気モデルであり、そのトップエンドに位置するXVハイブリッドも、市場に多くの台数が送り出されている。

そんなXVハイブリッドを、STIは独自の主張でチューニングした。STIにおいて「tS」と呼ばれるモデルは、エンジン等には手を入れずシャシー（足回り）を中心に手を入れた上で、専用の内外装を与える手法をとっている。

今回のXVハイブリッドtSもその手法に習い、まずはサスペンションを車高はノーマルのままよりスポーティに仕上げて、走りのキビキビ感や常にフラットな姿勢を維持する感覚、さらには静粛性も向上させている。実際の印象は動画を参考にしていただきたい。

そして専用の内外装を与えるのだが、他のスポーティなモデルと異なりXVはSUVなので、それに相応しい仕立てを今回提案している。具体的にはオレンジを差し色につかってコーディネイト。スポイラーやホイールに施した他、インテリアではステッチやシートの色合いなどにも用いて、これまでのSTIで展開されてきた男くささのあるスポーツな表現とは一線を画したポップな仕上がりとしている。

また試乗車にはオプションで用意されるSTIのマフラーを備えており、スポーティなサウンドが印象的。しかもXVハイブリッドなのでEV走行するときは無音となるため、そのギャップが非常に面白いものであった。

STIが手がけてきたような自動車におけるチューニングは、主にスポーティなモデルに対するビジネスであったが、様々なジャンルのクルマが増えた現在では、新たな道が模索されている。実際に他のチューニングブランドでは、ミニバンのコンプリートモデル等も送り出しており、様々な場所で後付けのパーツを始め、コンプリートカーのビジネスの生きる道を探っているのである。

そうした中にあって今回STIが送り出したXVハイブリッドtSは、これまでと路線を変えての提案だけに今後の動向が注目できる１台でもある。