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”長谷部不在”の日本代表。キャプテンは「何人か候補がいます」と指揮官。ボランチの起用は明言避ける。

河治良幸スポーツジャーナリスト

UAE戦の前日会見にのぞんだ日本代表のハリルホジッチ監督は長谷部誠に代わるキャプテンに関して「何人か候補がいます」と語り、具体的には吉田麻也、森重真人、長友佑都の名前をあげた。

「両チームともに大事な試合になります。もちろんこの2チームともに勝ちたい。日本もUAEも難しい試合」とハリルホジッチ監督が意気込みを語るUAE戦で注目される1つが、右膝の負傷で欠場する長谷部誠の代わりに誰がキャプテンマークを巻くか、そして誰がボランチで起用されるか。前者に関して指揮官は「何人か候補はいます」と語り、具体的には3人の名前をあげた。

「(吉田)麻也、森重、(長友)佑都。あと何人かは可能性があります。明日の試合のために重要です。選手とディスカッションして決めたいが、大事な試合なので1人だけではなく何人かキャプテンがいる」

長谷部はキャプテンとしてはもちろんだが、敗れた前回の対戦の経験者であり、さらに遡ればPK戦で敗れた2015年のアジアカップでもスタメンで出場していた。離脱した長谷部の他に守備的MFとして選ばれている選手は山口蛍、今野泰幸、高萩洋次郎がいるが、3人とも過去2回の対戦でプレーを経験していない。

「長谷部の不在は我々にとって少し不利に働くと思いますが、仲間が彼の穴を埋めようとしている。強い気持ちを持って準備したい。野心と希望をもって」

そう語るハリルホジッチ監督にボランチの起用法を質問したが「いろんなゾーンの選手がいますよね。1人が巻くとしても。前と真ん中と後ろのキャプテン」とキャプテンに関する回答に終始し、明言をさける形となった。ただ、この回答からも精神面と経験で頼りになる選手を”前と真ん中と後ろ”に起用することは考察できる。その基準で考えれば「長谷部が疲れている時は今野を呼ぶ」と語っていたことから、今野泰幸を先発させる可能性は高いというのが筆者の見解だ。

また前回は相手チームにPKが与えられた一方で、自分たちには試合の終盤に宇佐美貴史が倒された場面でPKが与えられなかった。その時はカタール人のレフェリーだったが、今回はFIFA公認レフェリーでもあるウズベキスタンのイルマトフ氏がつとめる。レフェリーについての質問に「審判に関してはあまりしゃべりたくない」と前置きしながら「明日の審判のことは信頼しています。UAEは素晴らしいチームなのでそこに注意。素晴らしいクオリティを持ったチーム。正確な笛を吹いてほしい」と回答した。

普段は1つの質問に対して回答が何分にもおよぶほど饒舌な指揮官だが、この日は簡潔で、あまりメディアに具体的な情報を与えたくない様子だった。それだけ重要な試合であり、緊張感もピークにあると言えるが、ここを切り抜けることでチームは大きな一歩を踏みしめることができるし、逆に負ければ危機に陥る。

「4つのチームが突破の可能性があり、最後まで戦うことになる。最終節までどのチームが行くか分からない」

ハリルホジッチ監督がそう語る様に、サウジアラビア、日本、オーストラリア、UAEと現在勝ち点1差の4チームが最後まで2枠を争う流れが続きそうだが、サウジアラビアがイラク、オーストラリアがタイと試合を行う間に、UAEと日本の直接対決がどうなるかは予選の行方を大きく左右するはずだ。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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