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各国代表チームはかつてない真剣モードに!熾烈な戦いが予想される第4回WBC

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
MLB屈指の好投手、ヘルナンデス投手もベネズエラ代表してWBC参加を表明した(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

今季ナ・リーグのサイヤング賞に輝いたマックス・シャーザー投手のWBC参加表明以降、2年連続二冠王に輝いたノーラン・アレナド選手など次々にスター選手が米国代表入りを正式表明してきたが、今度はマリナーズの公式サイトを通じてフィリックス・ヘルナンデス投手がベネズエラ代表としてWBCに2大会ぶりに出場することを明らかにした。

しかも今回のニュースで注目しなければならないことは、ヘルナンデス投手が本大会に向けて、12月から母国のウィンターリーグに参加して調整登板を行うということだ。

実は個人的には11月上旬の時点で、複数の関係者からヘルナンデス投手のウィンターリーグ参戦の噂を聞いていたので大きな驚きはなかった。ただ関係者から聞いていた「ベネズエラは来年のWBCを真剣に狙いにいっているらしいです」との証言が正しかったことを再認識することができた。それだけ各国代表チームが次回大会に向け、真面目に準備しているということなのだ。

過去の大会でも米国代表を中心に、結構なスター選手が出場していた。だが大会前からしっかり事前キャンプを行い準備を怠らなかった侍ジャパンや韓国代表などと比較すると、その準備不足は明らかだった。

参加選手といえども、そのほとんどが所属MLBチームのスプリングトレーニングで始動するのが当たり前で、代表としてのチーム練習も大会直前に集まって数日練習を行った後オープン戦を2、3試合戦うだけ。どう考えても選手、チームともに万全のコンディショニングとは程遠いものだった。

今回米国代表として参加表明した選手たちが、このオフにどんな準備をしてくるのかまでは明らかにされていない。だがヘルナンデス投手のようにオフに入ってもしっかり実戦で調整する選手が出現したことは、これまでになかったことだ。しかも前述の関係者によれば、ヘルナンデス投手だけでなく、他のベネズエラ出身メジャー投手たちもウィンターリーグに参戦する予定で、過去の大会とは明らかに真剣度が違うのだ。

ベネズエラ代表だけではない。すでにWBCの参加選手を発表した韓国代表も真剣そのものだ。

第3回大会ではまさかの第1ラウンド敗退。来年は是が非でも決勝ラウンド進出が至上命題になっているだろう。すでに参加選手を発表したのも選手各人に準備をさせるためであり、しかも今季はMLBに所属していた4人のスラッガーが名を連ねている。WBCでも使用されるメジャー公式球に慣れ、しかも全員が本塁打を狙えるクリーンナップは間違いなく韓国代表史上最強打線だ。

先週行われた強化試合で、2試合連続延長負けしたオランダ代表も決して侮れない存在だ。すでにミューレン監督が公言しているように、本大会では数人のメジャー選手が加わる予定だ。強化試合ではリリーフ陣の不安定さを露呈してものの、仮にそこにケンリー・ジャンセン投手が参加するとなれば、まったく別のチームになってしまうのは自明の理だ。第3回大会でも決勝ラウンドに進出しており、侍ジャパンと大きな実力差があるとは思えない。

第1、2回大会では現場で取材しながら、どことなく参加選手の中に“遊び気分”があったのを垣間見ることができた。それが第3回大会でのドミニカ代表の優勝で、一変したように思う。一緒にメジャーで戦う仲間達が歓喜する姿に、ワールドシリーズ制覇とは違う価値観を見出した選手たちが増えたからこそ、スター選手たちが次々に参加表明を行っているのではないだろうか。

来年の本大会は侍ジャパンにとって、1次ラウンドからこれまで以上に厳しい戦いが強いられることは容易に想像がつく。侍ジャパン戦士も相当の覚悟を持ってこの冬準備を進めなければならないだろう。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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