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早くもワクワク感が止まらない!来シーズンの上原投手に期待すること

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
来年は上原投手の反骨心が再び発揮されるシーズンになりそうだ(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

米国時間の14日朝、ESPNシカゴのジェシー・ロジャース記者のツイートを皮切りに、上原浩治投手とカブスの正式契約が一斉に報じられた。

すでに契約合意の報道があったとはいえ、やはりフィジカル(身体検査)で問題があればご破算になる可能性もある世界。今回の正式契約で、逆に上原投手が来シーズンに向けて身体的に何の不安もないことが証明されたともいえる。

地元メディアが報じているように、上原投手の加入はカブスにとって非常に大きな意味を持つ。チームの公式サイトでは、対左打者の被打率が1割8分3厘を提示しながら、モンゴメリー投手(来年は先発に配置転換予定)、ウッド投手(FAで移籍濃厚)の中継ぎ左腕に代わる貴重なリリーフ投手として期待を寄せている。

しかしチームが上原投手に期待している役割は、間違いなくそれ以上だと考えられる。今年はシーズン途中でチャップマン投手を獲得し、クローザーに据えたのは周知のことだろう。そこ以降、前クローザーのロンドン投手やストロップ投手を中心にセットアッパーを組んでいたが、ポストシーズンに入ってチャップマン投手を早期投入する場面が多かったように、決して盤石な投手リレーができていなかった。

その点上原投手は2013年にクローザーとしてレッドソックスをワールドシリーズ制覇に導くなど、ポストシーズンの大舞台での実績は申し分ない。連覇を目指すカブスとしては、チャップマン投手に代わる新クローザーのデービス投手にバトンを繋ぐ安定感あるセットアッパーを担える上原投手の経験、実績がどうしても必要だったのだ。

そんなチームの期待感はさることながら、個人的にも上原投手に対する今からワクワク感を抑えることができない。というのも来シーズンは、上原投手の類い稀な反骨心を奮い立たせる条件が揃っているからだ。

これまで上原投手が逆境を跳ね返し、周囲の批判や猜疑心をねじ伏せる場面を何度となく目撃してきた。オリオールズ時代は右ヒジ腱の部分断裂による影響が不安視される中、復帰後は敗戦処理からスタートしながらも好投に次ぐ好投で首脳陣の信頼を勝ち取り、主要セットアッパーやクローザーを務めるまでになった。

トレードで移籍したレンジャーズ時代もそうだ。2012年は抜群の成績を残しながら、右広背筋負傷による長期離脱や年齢的な部分が不安視され、正当な評価を受けることができなかった。そして移籍したレッドソックスで前述通り、セットアッパー、クローザーとして大車輪の活躍をみせ、ワールドシリーズで胴上げ投手になった。

「野球は年齢でやるもんじゃない。ちゃんとピッチングで評価してほしい」

上原投手と話をしながら、何度となくこの言葉を耳にしてきた。これまでもしっかり実績を残してきたにも関わらず、どうしても“色眼鏡”を通して上原投手を見ようとする人が後を絶たないからだ。残念ながらレッドソックスのドブロウスキー編成本部長も上原投手の投球を評価する一方で、年齢的な部分を不安視する発言を繰り返した。

仕方がないことと片づけてしまうのは簡単だ。もちろん上原投手本人も、結果が出なければ身を引かざるを得ない位置にいる覚悟はずっと前からできている。だがそうした人々の反応が、結果的に上原投手の反骨心に火をつけているのだ。

まさに歴史は繰り返す。来年は再び上原投手が周囲の猜疑心を払拭するシーズンになる。我々は彼に対し色眼鏡をかける必要は無い。ただマウンド上の投球に刮目するだけだ。そしてこれまで通り、上原投手が魂を込めた投球に胸を熱くすればいい。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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