Yahoo!ニュース

WBC新ルール設定で更なるエース投手参加の可能性が広がる?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
本拠地球場で実施される決勝ラウンドでの参加が期待されるドジャース・カーショー投手(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

MLB公式サイトが4日、WBCに関する最新ニュースを掲載した。

タイトルは「Could WBC rule open door for more aces?」。日本語に訳せば「WBCルールがエース投手たちに更なる扉を広げることができるのか?」となるだろう。

この記事によると、執筆記者の独自取材で、今大会で初めて28人の出場登録枠とは別に「designated pitcher pool(指名投手枠)」が設けられ、各チームそれぞれ10投手を登録できることが正式決定したというのだ。

この新ルール導入により、各チームはラウンドごとに指名投手枠から最大で2名まで投手入れ替えが可能になり、従来のWBCより格段に投手(特に先発投手)の負担を軽減することができるようになった。またこの結果、昨年末から囁かれていた、米国代表が決勝ラウンドに進出した場合に限り、開催地ドジャー・スタジアムの地元エース、クレイトン・カーショー投手が参戦するかもしれないという噂が、実現可能になったのだ。

また同記事では、米国代表のジョー・トーリGMは、ジャイアンツのエース、マディソン・バムガーナー投手のエージェントに接触し、同投手の指名投手枠入りで交渉を続けているとしている。もしバムガーナー投手が同意するようなことになれば、すでにマックス・シャーザー投手(ナショナルズ)、マーカス・ストローマン投手(ブルージェイズ)、クリス・アーチャー投手(レイズ)、ダニー・ダフィー投手(ロイヤルズ)の4投手が28人枠に入ることが決定しており、ラウンドを勝ち上がればさらに強力な投手陣を形成してくることになるのは必至の状況だ。

もちろん新ルールは米国代表のみならず、“投手王国”日本にも大きなメリットをもたらすはずだ。最初の28人枠に選ぶ投手陣はあくまで1次ラウンドで対戦する3チーム(キューバ、オーストラリア、中国)を睨んだ編成にし、その後は2次ラウンド、決勝ラウンドで対戦しそうなチームを想定しながら適材適所を見極め10人を指名投手枠に待機させることができるのだ。

また対戦相手との相性だけではなく、大会期間中の投手の好不調でも入れ替えが可能なので、どのラウンドでも常に高い投手力を維持することが可能になり、日本の投手力を存分に発揮することができるだろう。

さらに言えば、侍ジャパンが決勝ラウンドに進出した場合、米国代表同様に決勝ラウンド限定で日本人メジャー投手を起用できることも現実味を帯びてきた。指名投手枠に入るだけなら日本人メジャー投手は所属チームでのキャンプで調整することができ、登板は1試合に限られてくるので長期離脱する必要もなくなる。各投手の調整具合にもよるだろうが、チームからも侍ジャパン入りの承諾を得やすい環境になったといえるだろう。

いずれにせよ28人枠、指名投手枠ともに申請〆切りは2月6日になっている。今後は各チームともに人選作業が急ピッチで進むことになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシー

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3、4回程度(不定期)

22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

菊地慶剛の最近の記事