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プロ野球開幕! バレンティン「本塁打王はいらない。それよりも……」

菊田康彦フリーランスライター

プロ野球は今日、28日にセ・パともに開幕。セ・リーグ最下位からの巻き返しを期す東京ヤクルトスワローズは、本拠地の神宮球場に横浜DeNAベイスターズを迎えます。昨年は主砲のウラディミール・バレンティン選手が日本新記録のシーズン60本塁打を放って大きな話題となりましたが、今年もそのバットには注目が集まりそうです。

開幕に合わせ、神宮球場周辺にはバレンティンのポスターが登場!
開幕に合わせ、神宮球場周辺にはバレンティンのポスターが登場!

「なんとしても優勝したい」

そのバレンティン選手に話を聞く機会があったのは、先週のオープン戦の試合前のことでした。そこで、今シーズンの目標を尋ねてみると……。

「今年はホームラン王も新記録もいらない。去年は3年連続のホームラン王になって、日本新記録も作った。それでも(チームは)最下位だったんだ。だから今年はなんとしても優勝したい」

そんな答えが返ってきました。ホームラン王よりも優勝──。実はそれは2011年の来日以来、バレンティン選手が言い続けていることなのですが、今年はその言葉がいままで以上に切実に聞こえました。

「プロで優勝経験はあるかって? マイナーリーグ2年目の2002年に(シアトル・マリナーズ傘下のルーキー級で)優勝したことがあるけど、それっきりだ。その後はプレーオフに出たことはあっても、優勝には届かなかった」

2010年には所属していたシンシナティ・レッズがナショナル・リーグ中地区で優勝していますが、バレンティン選手自身はこの年は終始マイナー暮らしで、メジャーではプレーできませんでした。来日1年目の2011年はヤクルトが終盤までセ・リーグの首位を快走しながら土壇場で失速し、クライマックスシリーズ(CS)もファイナルステージで敗退。2年連続でCSに出場した2012年も、ファーストステージで敗れています。

そして、今度こそと意気込んだ昨シーズンは、年間60本塁打の大記録を打ち立てながら、チームは最下位。一方で故郷キュラソー島の大先輩であり、17年のメジャー歴で13度の地区優勝を経験しているアンドリュー・ジョーンズ選手が、来日1年目にしていきなり東北楽天ゴールデンイーグルスで日本一に輝いたのも、大きな刺激になっているはずです。

「打点を挙げるほうが、より重要」

「昨年は個人としてはいい数字を残せたが、最下位でもどかしさもあった」

昨日の全体練習終了後の囲み取材で、改めてそう話したバレンティン選手。4年連続本塁打王への自信を問われると「ダイジョウブ!」と日本語で即答しましたが「でも、ホームランよりもいかにランナーを返せるか。チームにとっては打点を挙げるほうが、より重要」と、フォア・ザ・チームの姿勢は崩しませんでした。

小川淳司監督も「ウチはいかにバレンティンで得点を挙げるか、バレンティンをホームへ返すかということに尽きると思います」と話していますが、果たして山田哲人選手、雄平選手の一、二番コンビをバレンティン選手が返し、続くミレッジ選手、川端慎吾選手らがそのバレンティンを返すことができるか──。まずは今日の開幕戦に注目です!

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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