Yahoo!ニュース

元西武・星秀和、トライアウトで“有言実行”の一発! ヤクルト・由規弟は「悔いなし」

菊田康彦フリーランスライター

11月9日に静岡・草薙球場で「2014 第1回12球団合同トライアウト」が行われ、今季限りで戦力外通告を受けた選手を含め、日本野球機構(NPB)に所属した経験のある59名が参加。先日の記事でも紹介した元埼玉西武ライオンズの星秀和選手は、最初の打席でホームランを放ち、NPB復帰に向けて猛烈にアピールしました。

元西武・星は最初の打席で初球を叩き、ライトへホームラン!
元西武・星は最初の打席で初球を叩き、ライトへホームラン!

この日は朝からあいにくの雨模様とあって、最初は球場に隣接する屋内練習場で始まったトライアウトですが、ウォーミングアップ、キャッチボール、シートノックと進んだ頃には天候も回復。“メインイベント”であるシート打撃は場所を球場に移し、たくさんの観客が見つめる中で実戦さながらに行われました。

このシート打撃は、各組ごとに1人の投手が4人の打者と対戦する形式。時間短縮のためか、どの打席もカウント1-1からのスタートとなります。星選手はまずは第8組の先頭バッターとして登場し、今季まで北海道日本ハムファイターズで投げていたサウスポーの根本朋久投手と対戦しました。

驚きました──。初球、内角寄りの136キロのストレートに思い切りよくバットを振り抜くと、打球はそのままライトスタンドへ。トライアウトを前に、星選手が「かましてやりますよ!」と宣言していたのは既報のとおりですが、まさに“有言実行”のような一発に感動すら覚えました。

独立リーグで学んだ「思い切りよくやる大切さ」

トライアウト前には「ヘンな緊張感や気負いはない」と話していた星選手ですが、実際にこの日は朝から緊張した様子は見られませんでした。シート打撃前の練習でも、スタンドにいる筆者を見つけてニヤリと笑ってみせるなど、むしろ余裕すら感じさせました。

終了後に改めて聞いてみると「昨日の夜のほうが緊張した感じです。今日になってしまえば全然、そういうのはなかったですね」とのこと。「今年1年、独立(リーグ=群馬ダイヤモンドペガサス)でやったのがデカイかなと思います。プロ(NPB)をクビになってそのままだったら、失敗を恐れてちっちゃくなっていたかもしれないですけど、独立で思い切りよくやる大切さとか、そのほうがいい結果が出るっていうのを学んだんで。だから今日は思い切りよくいけました」と話してくれました。

2度目の打席は左腕・八木智哉投手(オリックス・バファローズ)の前に見逃し三振、3度目の打席は藤谷周平投手(千葉ロッテマリーンズ)に対しレフトフライ。4度目の打席は井上公志投手(中日ドラゴンズ)の外角ストレートに中途半端なバッティングとなり、ショートにゴロを転がしますが、送球よりも早く一塁にヘッドスライディング! 塁審や記録員はいませんでしたが、試合であれば「内野安打」と記録されていたはずです。

最後の5打席目は左腕の有馬翔投手(東北楽天ゴールデンイーグルス)にレフトフライに打ち取られ、この日は5打数2安打、1本塁打。この結果を踏まえ、自信のほどは?と聞いてみると──。

「自信なんてないですよ。もちろん(どこかの球団から声が)かかったら嬉しいですけど、ダメなら2次(第2回トライアウト=11月20日川崎・読売ジャイアンツ球場)も受けるつもりだし、まだ野球を続けるつもりですから。とりあえず“爪痕”は残せたと思うんで、その爪痕がどれだけ深かったかはこの1週間で決まりますからね」

ヤクルトからは佐藤のほか押本、真田、又野も

1安打に終わったヤクルト・佐藤だが「悔いはない」という
1安打に終わったヤクルト・佐藤だが「悔いはない」という

ちなみにこの日のトライアウトには、東京ヤクルトスワローズの由規投手の実弟であり、自身も今季まで育成選手としてヤクルトでプレーしていた佐藤貴規選手も参加。最初の4打席は空振り三振(甲藤啓介投手、オリックス)、一邪飛(井坂亮平投手、楽天)、二ゴロ(矢地健人投手、中日)、空振り三振(陳冠宇投手、横浜DeNAベイスターズ)とバットから快音は聞かれませんでしたが、5度目の打席で伊藤拓郎投手(DeNA)の139キロのストレートをとらえ、二塁への内野安打で塁に出ました。

結果は5打数1安打。この日の朝には、兄の由規投手からLINEで「全力でやって来い。悔いだけは残すなよ」と激励されたそうですが、トライアウト終了後に「結果どうこうっていうよりも、自分としては悔いなくやれればいいなと思って臨んだので、自分らしさが出せたり、野球そのものを楽しむことができたんで、よかったかなと思います。これで最後になっても悔いはないです」と語るその表情は、どこか清々しく見えました。

そのほか、筆者が取材でたびたび接して来たヤクルト勢では、押本健彦投手が第5組で登板し、空振り三振(高橋信二選手、オリックス)、投ゴロ失策(安田圭佑選手、福岡ソフトバンクホークス)、見逃し三振(庄司龍二選手、オリックス)、四球(西川拓喜選手、オリックス)。真田裕貴投手は第15組で登板して見逃し三振(西川選手)、三ゴロ失策(森越祐人選手、中日)、投ゴロ(深江真登選手、オリックス)、左飛(宋相勲選手、中日)。そして又野知弥選手は4打席目までは星選手と同じ組で回り四球(根本投手)、投ゴロ(八木投手)、左安打(藤谷投手)、空振り三振(井上投手)、5打席目は鈴木駿也投手(ソフトバンク)に対し見逃し三振という結果でした。

この日は中日・落合博満GM、DeNA・高田繁GMら各球団の編成担当や、メジャーリーグのスカウトも視察に訪れていましたが、果たして彼らにオファーを出す球団はあるでしょうか? 今は吉報が届くのを願うばかりです……。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

菊田康彦の最近の記事