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2年連続女王のイ・ボミが約3年ぶりの 予選落ち…彼女の身に何が起きているのか

金明昱スポーツライター
予選落ちしたイ・ボミだが、来週の米ツアーメジャーに気持ちを切り替えている(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

イ・ボミの調子があまり良くないようだ。アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKIの2日目、2015、16年賞金女王のイ・ボミが4オーバーまでスコアを落として予選落ちした。この日は最終ホールでプリファードライの処置を間違えて、ペナルティを課されるなど、集中力を欠いたようだった。予選落ちは2013年11月の伊藤園レディス以来(大会初日に棄権した16年日本女子オープンを除く)というのだから、「一体、何があったのか」と心配してしまう。

確かにイ・ボミは先週のTポイントレディスでこんなことを話していた。

「ショットの調子が悪いんです。球が左に行くのを嫌がり、そのせいなのかインパクトのときに体が開いて右に行ってしまうんです。今までそういうのはほとんどなかったのですが……」

ただ、今週は専属コーチのチョ・ボムス氏が韓国から来日し、イ・ボミのスイングを確認して修正し、「かなり良くなった」と聞いたばかりだった。それでも予選落ちしたのだから、調子が戻らない部分があるのは間違いない。

専属キャディの清水氏「ボミの調子は徐々に良くなる」

専属キャディの清水重憲氏に話を聞くと、「ボミはスロースターターの雰囲気がありますから、それほど心配していません」と話す。

「確かに一昨年と去年のボミの強さから見れば、調子がよくないように見えると思います。でも、ボミはシーズンスタートから必ずいい成績を残してきたのかと言えばそうではないんです。2012年は2戦目のヨコハマタイヤPRGRレディスで日本ツアー初優勝してから、なかなか勝てませんでしたし、13年も開幕戦は予選落ちして、優勝したのは9月の日本女子プロゴルフ選手権。14年と15年は10試合目のほけんの窓口レディースで優勝しています。ボミは実戦に慣れながら、調子を上げていくタイプなので、現状の調子についてそこまで心配していません」

長年タッグを組んできた清水氏には、ボミが徐々に復調するとの確信がある。

「元々、ボミの得意分野はショットです。なので彼女が『ショットが悪い』というのは一時的なものに過ぎないと考えています。春先は風の強いコースでのプレーが多いので、抑えて低い球を打っていました。それでフォローがうまくとれず、球が曲がっていたのだと思います」

ショットが良くないということは、グリーンを外すことも多い。その分、グリーン周りからのアプローチの機会も増えるということになる。それでも、イ・ボミの開幕から3試合のパーセーブ率(パーかそれより良いスコアを獲得する率)は約89%で1位だった。

「実はアプローチでパーをひろう確率が高くなっています。日本ツアーに来たとき、アプローチはボミの弱点でしたが、今ではその技術が向上しています。ショットの調子が戻れば優勝争いもできると思いますよ」(清水氏)

試合で予選落ちすることが話題になるのはイ・ボミの人気のみならず、安定感と強さが際立っているという証だ。清水氏の話を聞く限りでは、あまり心配することもないのかもしれない。

来週は米女子ツアーメジャーのANAインスピレーションに出場するため、26日に米国へ向かう。昨年同大会のイ・ボミの順位は10位タイだったが、日本ツアーの賞金女王として、それ以上の結果を期待したいところだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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