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絶不調のマンU、3部チームに0-4の完敗、香川選手の移籍濃厚に

木村正人在英国際ジャーナリスト

サッカーのイングランド・プレミアリーグに所属するマンチェスター・ユナイテッドは26日、リーグカップ2回戦で3部リーグのフットボールリーグ1のミルトン・キーンズ・ドンズと対戦、控え選手が中心とはいうものの、0-4の完敗を喫した。

香川真司選手は先発出場したものの、前半20分、頭部を強く打ってヤヌザイに交代した。まさかの敗戦に名将ファンハール監督もチーム立て直しのため、さらなる補強は必至となった。

ファンハール監督は試合後のインタビューで、多くの移籍を行ったことを後悔しているかと質問され、「後悔していない。問題は分析しなければいけない。私はそれを行った」と答えた。

「9人の選手が負傷しており、マンUは非常に若いチームだ。サポーターはわれわれの哲学を信じなければならない」

「チームを作るのは1カ月や、1年かけてもできない。そのチームを作っている最中だ。結果には失望しているが、マンUは自信を失っていないと望んでいる」と唇を結んだ。

イングランド・プレミアリーグの開幕2試合を見たところ、昨季覇者のマンチェスター・シティと、MFファブレガスが加入したチェルシーのパフォーマンスが抜きん出ている。

マンUは優勝請負人のファンハール監督を迎えたものの、1分1敗と出だしからつまずいた。香川選手は2試合とも出番はなかった。

マンUは補強のため、英国史上最高額となる移籍金5970万ポンド(約103億円)でアルゼンチン代表MFディマリアをスペイン1部リーグのレアル・マドリードから獲得。

さらに、チリ代表MFビダル(ユベントス)の獲得に動いていると英メディアは一斉に報じている。ユベントスへの交換要員として香川選手の名前があがっている。

ファンハール監督はルーニー、ファンペルシー、マタの攻撃トライアングルを軸に3-5-2のシステムを採用する考えだ。

24日のサンダーランド戦後、香川選手のボランチ起用について、ファンハール監督は「米国ツアーでその位置で起用したが、私の希望と哲学を満たすことはできなかった」と即座に答えた。

香川選手はトップ下の選手で、ボランチには向かないというわけだ。トップ下にはマタ、ルーニーがいて、香川選手の出番は重要ではない試合でしか回ってきそうにない。

それならば移籍して新天地で活躍する道を選んだ方が賢明だ。

イングランド・プレミアリーグは英国経済の復活とともに俄然、面白くなってきた。新進ポチェッティーノ監督率いるトッテナム、モンク暫定監督のスウォンジーも元気だ。

昨季、台風の目となったリバプールはエース・スアレスがバルセロナに移籍し、問題児バロテリを獲得。身体能力や潜在能力は誰も疑わない荒馬をロジャーズ監督が乗りこなせれば、マンCとチェルシーを脅かす存在に十分なる。

筆者が贔屓にしているアーセナルは例年通り、絶対勝つという気迫をまったく感じさせない。調子を上げてくれることを祈るばかりだ。

国際会計事務所デロイトの報告書「フットボール・マネー・リーグ」によると、2012/13年に欧州で最も稼いだクラブはレアル・マドリードで収入5億1890万ユーロ。2位はバルセロナで4億8260万ユーロ。3位はバイエルン・ミュンヘンで4億3120万ユーロ。

4億2380万ユーロのマンUは前季の3位から4位に順位を落とした。

放映権料でみると、レアル・マドリードが1億8830万ユーロ、バルセロナが1億8820万ユーロ、マンUは1億1860万ユーロだった。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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