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後藤さん殺害か、「身代金の支払い容認」6割「自衛隊が海外の邦人保護」賛成57%

木村正人在英国際ジャーナリスト

イスラム過激派組織「イスラム国」とみられる組織が2月1日早朝、フリージャーナリスト、後藤健二さんを殺害したとする動画をインターネット上に投稿した。

ナイフを持った黒い戦闘服の男が「日本政府は邪悪な有志連合に参加した愚かな同盟国と同じようにイスラム国の力と権威を理解できなかった。(略)日本の悪夢が始まる」と話している。

安倍晋三首相は記者団に「非道、卑劣極まりないテロ行為に強い怒りを覚える。テロリストたちを決して許さない」と非難した。「テロとの戦い」の先頭に立つ米英両国との結束を強調したかたちだ。

日本もテロリストには譲歩しないということだ。日本政府は動画の確認を急いでいる。

イスラム国の恐怖は今やシリア、イラクだけでなく、エジプト、リビア、アルジェリア、イエメン、サウジアラビア、アフガニスタン、パキスタン、バングラデシュ、ロシアのカフカス地方、インドネシア、フィリピン、ナイジェリアなど世界各地に広がっている。

東南アジアでの活動はまだ闇に包まれている。日本国民もどこで誘拐されるかわからないリスクが一気に拡大した。

筆者は人質救出のための身代金支払いの是非、自衛隊が海外邦人を救出できるよう法整備すべきかについて簡易の緊急アンケートを実施した。503人が回答して下さった。

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「愛する人を救うために家族が身代金支払いに応じるのは許される」と回答したのは304件で60%。「新たなテロの資金源になるので応じてはいけない」という回答は199件で40%。

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「領域国の同意があれば、自衛隊の特殊部隊がテロ組織に拉致された邦人を救出できるように法整備する」という質問には賛成285件、57%、反対218件、43%だった。

逃走しようとした外国人戦士122人も処刑

中東のイスラム過激派組織「イスラム国」が2013年6月28日から15年1月28日にかけシリア国内で処刑した人数は子供や女性を含めて1913人にのぼることが英国の非政府組織「シリア人権監視団」のまとめでわかった。

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それによると、イスラム国は子供4人、女性8人を含む市民1197人の首を切り落として処刑。このうち少なくとも930人はシリア北東部の都市デリゾールのイスラム教シーア派という。

92人はスンニ派過激組織「ヌスラ戦線」の反体制派や戦士で、イスラム国がヌスラ戦線との間に設けている検問所で捕らえられ、処刑された。

イスラム国の戦士122人も外国のためにスパイ活動を行っていた罪で処刑された。そのほとんどがイスラム国から抜け出し、自分の祖国に帰ろうと試みて捕まっていた。

502人はアサド政権側の兵士や高官だったという。シリア人権監視団の統計の信用性を疑う声もあるが、最近では英BBC放送など主要メディアも頻繁に引用している。

身代金の支払い、自衛隊による海外邦人の保護、あなたはどう思いますか?

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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