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ドイツ格安旅客機墜落 副操縦士が操縦士締め出し、「急降下」ボタン押す

木村正人在英国際ジャーナリスト

ドイツの格安航空会社ジャーマンウイングスのエアバスA320が墜落し、乗客乗員150人全員が死亡した事故で、フランスの検察当局は26日、操縦室に1人残っていた副操縦士が単独で降下ボタンを押し、「故意に機体を破壊させようとした」とみられることを明らかにした。

副操縦士の名前はアンドレアス・ルービッツ氏(28)=死亡。

マルセイユの検察官はブラックボックス(ボイス・レコーダー)の情報から副操縦士は操縦室に1人残っていたと断定。操縦士が操縦室の外に締め出されている間に、副操縦士は意図的に急降下を始めたという。

検察官は「操縦士が操縦室に戻ろうとあがいている間、操縦室は完全に静かだった」「副操縦士は最後の激突の瞬間まで生きていたのは明らかだ」と説明。「操縦士が副操縦士に旅客機の操縦を頼んだと同時に操縦席が動く音とドアが閉まる音が聞こえた」という。

検察官の説明によると、「副操縦士はそのあと1人で旅客機を操縦していた。彼は操縦室に1人でいるとき、旅客機を下降させるため航行モニタリングシステムのボタンを押した」「高度を操作するこの動作は意図的にしかできない」という。

「最も考えられる解釈は、副操縦士が操縦室のドアを開けるのを拒み、操縦士が入って来れなくした。高度を急降下させるボタンを押した。その理由はわれわれにはまだわからないが、旅客機を破壊するのが目的だったとみられる」

フランス南部の墜落現場近くでは26日、犠牲者の家族らの訪問が本格化した。副操縦士の急降下の動機は、「狂気の衝動」か、それとも計画的な「道連れ自殺」か、検察当局は引き続き捜査を進めている。

英BBC放送によると、検察官は記者会見の前、家族に捜査状況を説明したが、副操縦士の家族も参加していた。「副操縦士の急降下」が明らかになると、副操縦士の家族だけが黙ってドイツに帰国したという。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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