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ウィリアム王子とキャサリン妃にプリンセス誕生

木村正人在英国際ジャーナリスト

ウィリアム王子(32)とキャサリン妃(33)の第2子が5月2日午前8時34分、ロンドンのセント・メアリー病院リンド病棟で誕生しました。女の子で体重は3700グラム。ケンジントン宮殿が公式に発表しました。

キャサリン妃が出産したセント・メアリー病院リンド病棟(2日、筆者撮影)
キャサリン妃が出産したセント・メアリー病院リンド病棟(2日、筆者撮影)

上位の王位継承権を持ったプリンセスの誕生は1950年のアン王女以来、65年ぶり。

キャサリン妃はこの日午前6時ごろ、ウィリアム王子に付き添われた車で病院に到着。それから2時間半後に無事に出産しました。プリンセスの王位継承順位はチャールズ皇太子、ウィリアム王子、ジョージ王子に次いで4位です。

リンド病棟前に陣取る世界中の報道陣(同)
リンド病棟前に陣取る世界中の報道陣(同)

ケンジントン宮殿の発表では、キャサリン妃もプリンセスも「元気だ」ということです。ニュースが流れた午前11時すぎ、リンド病棟周辺にはどよめきが上がりました。

昔ながらのタウン・クライヤーがリンド病棟前で祝福の鐘を鳴らしました。この後、報道陣に取り囲まれたタウン・クライヤーの男性、トニー・アプレトン氏は感動のあまり、うれし泣きしてしまいました。

英海軍は早速、フリゲート艦ランカスターの甲板上に「シスター(妹)」の人文字を作り、プリンセス誕生を祝いました。高さ177メートルのBTタワーの電光掲示板にも「女の子誕生」の祝辞が流れました。

キャメロン首相も「ウィリアム王子、キャサリン妃、おめでとうございます」と祝福のツィート。

ジョージ王子のときは出産予定日から9日後に出産。今回の出産予定日は4月23日だったと言われています。ウィリアム王子も弟のヘンリー王子も、ジョージ王子も同じ病院リンド病棟で生まれています。

ウィリアム王子とキャサリン妃から誕生カードを贈られたテリー・ハットさん(同)
ウィリアム王子とキャサリン妃から誕生カードを贈られたテリー・ハットさん(同)

英王室の追っかけさんもリンド病棟向かいにテント村を設営して、この日を心待ちにしてきました。4月30日に80歳の誕生プレゼントとカードをウィリアム王子とキャサリン妃から贈られたテリー・ハットさんも「寒くて疲れましたが、本当にハッピー」と感慨深げ。

プリンセス誕生を報じる香港のTV局(同)
プリンセス誕生を報じる香港のTV局(同)

英国のロイヤルファミリーは中国でも大人気で、3億人の中国人が視聴しているという香港のフェニックスTVの女性キャスター、チェリー・カオさん(27)はこう話しています。

「プリンセス誕生は中国でも大きなニュースです。英国のロイヤルファミリーは世界中で影響力を持っています。英国が中国の若者に人気があるのもウィリアム王子とキャサリン妃の人柄が親しみやすいからです」

賭け屋の予想ではアリスが一番人気(同)
賭け屋の予想ではアリスが一番人気(同)

賭け屋ラドブロークスの予想では、女の子なら人気の高い名前は「アリス」「シャーロット」「エリザベス」「ビクリア」の順だそうです。

ジョージ王子の出産を担当したのはエリザベス女王の産婦人科医マーカス・セトチェル氏、アラン・ファーシング氏の2人。セトチェル氏は72歳と高齢のため、今回はファーシング氏が主治医となり、ガイ・ソープ=ビーストン氏と新たなコンビを組みました。

ウィリアム王子は4月下旬から6月1日まで無給の育児休暇を取り、キャサリン妃のそばにいます。英国では男性が育児休暇を取得するのが当たり前になるよう首相やウィリアム王子が率先して育児休暇を取ります。英国では「イクメン」が当たり前です。

イタリア・ナポリからの修学旅行生もリンド病棟前にやってきた(同)
イタリア・ナポリからの修学旅行生もリンド病棟前にやってきた(同)

性別、体重、誕生時間が書き込まれた出生証明書はこの日昼過ぎ、金縁のイーゼル(画架)に載せられ、バッキンガム宮殿前庭に掲示されました。

プリンセス誕生は真っ先にエリザベス女王に知らされ、キャメロン首相、英連邦各国に赴任している総督、王族、キャサリン妃の実家ミドルトン家に知らされました。

ちなみにリンド病棟のお値段は1泊6,000ポンド、プラス相談料。キャサリン妃は第2子の出産なので10%オフになっているそうです。

円安が進んだので6,000ポンドは日本円にして110万円。英国はNHS(国営医療制度)で無料で医療サービスが受けられますが、キャサリン妃の場合は有料のプライベート医療なので費用が発生します。

今回も誕生の公式発表はツィッターなどソーシャルメディアで流されました。同病院周辺を警らする警官はテロ防止のため、軽機関銃で武装していました。

軽武装して病院周辺を警備する警官(同)
軽武装して病院周辺を警備する警官(同)

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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