Yahoo!ニュース

悲劇の交通事故死から20年 ダイアナ元皇太子妃が残したレガシーとは

木村正人在英国際ジャーナリスト
世界を魅了したダイアナ元皇太子妃(写真:Rex Features/アフロ)

感情をあまり表に出さないイギリス国民の涙を誘ったダイアナ元皇太子妃が悲劇の交通事故死を遂げてから今年で20年。ロイヤルファミリーの未来を担うウィリアム王子とキャサリン妃の2人は来月、ダイアナ元妃が亡くなったパリを2日間の日程で公式訪問します。

ケンジントン宮殿で開かれるダイアナのファッション展(木村正人撮影)
ケンジントン宮殿で開かれるダイアナのファッション展(木村正人撮影)

英メディアによると、ウィリアム王子はサッカーやラグビー観戦のためパリを訪れたことはありますが、公式訪問は初めてです。その際、ラグビーのシックスネーションズ(欧州6カ国対抗戦)でウェールズとフランスの試合を観戦するそうです。

同

1997年8月31日未明のパリで、「パパラッチ」と呼ばれるスクープ狙いのフリーカメラマン集団に追跡されていたダイアナ元妃の車がトンネル内の柱に激突。ダイアナ元妃、恋人のエジプト人富豪ドディ・アルファイド氏、運転手の3人が死亡、ボディーガードが重傷を負いました。

その時、ウィリアム王子は15歳、ヘンリー王子は12歳でした。悲劇から間もなく20年。2人は母親との思い出が残るケンジントン宮殿にダイアナ元妃の彫刻を設けると発表しました。

「私たちの母の死から20年の歳月が経ちました。母がイギリスと世界中に与えたポジティブな影響について彫刻を設置することで認める適切な時期が来ました。母は非常にたくさんの命と関わってきました。ケンジントン宮殿を訪れるすべての人が母の像を見て彼女の人生とレガシー(遺産)を思い出すことを望んでいます」

同

エリザベス女王もダイアナ元妃像の計画をサポートすると表明しています。ケンジントン宮殿では2月24日からダイアナ元妃のドレス25着を一堂に集めた展示会「ダイアナのファッション・ストーリー」が開かれます。1985年にホワイトハウスで俳優ジョン・トラボルタとダンスを披露し、世界を魅了した黒のドレスも展示されています。

チャールズ皇太子とダイアナ元妃のダブル不倫、離婚、交通事故死で危機に直面したロイヤルファミリーはその後、ダイアナ元妃の意思を受け継ぎ、慈善活動に力を入れるようになりました。

同

その結果、世論調査会社Ipsos MORIが昨年5月に実施したアンケートでは、エリザベス女王の仕事ぶりに対する満足度は86%、次はウィリアム王子で76%。チャールズ皇太子もまずまずで71%でした。

息をのむ美しさと天使のような優しさで世界を魅了したダイアナ元妃。王子たちへの愛、人道活動への貢献など、ダイアナ元妃がイギリスに残した精神は今も脈々と受け継がれています。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

木村正人の最近の記事