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ヤンキースの田中から2本の二塁打を放ったJD・マルティネス(タイガース)はこんな人

谷口輝世子スポーツライター
タイガースのJ・マルティネス

ヤンキースの田中投手が23日のタイガース戦に先発し、強力打線を3安打1失点に抑えて好投した。

ほぼ沈黙のトラ打線のなかで、2本の左越え二塁打を放ったのがJD・マルティネス外野手。27歳の右打者は、昨季まではほとんど無名の存在だった。

2009年のドラフトでアストロズから指名されて入団。強豪大学でもないフロリダ州のノバサウスイースタン大出身、20巡目という下位指名で期待されていなかった。

ところが、マイナーで着実に結果を残し、2011年7月にアストロズからメジャー昇格。2013年には膝や左手首の故障のため出場試合数が減っていたが、その間にはいろいろな打者のビデオを見て、打撃改造に取り組んでいた。

タイガースのミゲル・カブレラ、エンゼルスのアルバート・プホルスといったメジャーを代表する強打者たちと自分のスイングがあまりにも違い過ぎることに気づいたからだ。

JD・マルティネスは「手の使い方、足の使い方、ストライドも全部変えた」と言う。グリップの位置を下げ、スタンスを少し狭くし、体重移動のタイミングも変えた。打球を上げて、長打を狙うように切り替えた。

2014年にはパワーアップしたバッティングができそうだと感じ、アストロズのスプリングトレーニングに参加したが、なんと3月下旬にチーム事情によって、リリースされてしまった。

リリースされた直後にタイガースとマイナー契約。タイガース球団に彼の素質と成長ぶりを知っている人物がいた。

タイガースに拾われた格好でチャンスを得たJD・マルティネスは、打撃改造の成果を発揮。昨シーズン中盤には3番・カブレラ、4番のV・マルティネスの後ろを打つ5番を任されるようになった。

強打者たちのビデオを見て「マネをしてスイングを作り変えた」と話すJD・マルティネスは、今も研究を怠らない。

ベンチにノートを持ち込み、相手投手の傾向やどのように対応すればよいのかなど、感じたことをメモするようになった。熱心に書き込む姿は、ファウルボールが飛んできたら避けられるのかと心配になるほどだ。

ロッカールームには角のすり切れた2冊のノートが置かれている。「自分だけのスカウティングレポートなんだ。今年で2冊目になった」と言う。ビデオやチーム全体で共有するレポートからは得られないものがある。 

ただし、文房具マニアではない。「こういうどこにでも売っているノートとペンを使っている」と見せてくれたのは、アメリカのスーパーなどで売っている一般的なもの(水に濡れると罫線が消えるようなアメリカのノートだ)

そのノートには、ヤンキースの田中との初対戦で感じたこともばっちり書き込まれているという。

スポーツライター

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情をお伝えします。著書『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのかーー米国発スポーツペアレンティングのすすめ 』(生活書院)『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店) 連絡先kiyokotaniguchiアットマークhotmail.com

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