Yahoo!ニュース

グリフィー家四代のファミリーヒストリー。野球とアメリカンフットボールと。

谷口輝世子スポーツライター
2008年、レッズ在籍時のケン・グリフィー・ジュニアと家族(写真:ロイター/アフロ)

今年、史上最高の得票率99.3%で野球殿堂入りを決めたケン・グリフィー・ジュニア氏。

87年にドラフト1位指名されて高卒からマリナーズ入り。メジャー通算630本塁打、ゴールドグラブ賞10回、本塁打王4回。

父はケン・グリフィー・シニア氏。70年代にビッグ・レッド・マシンと呼ばれたレッズの強打線の一員として活躍。息子のケン・グリフィー・ジュニアがメジャー昇格を果たしたときには、父もまだ現役のメジャーリーガーであった。1990年に8月には父と子がマリナーズのスタメンに名前を連ねて話題になり、9月には親子で2者連続本塁打を記録した。

ケン・グリフィー・ジュニアには3人の子どもがいる。ケン・グリフィー・シニアの孫たちだ。

長男のトレイ・グリフィーさんは、アメリカンフットボールをしている。アリゾナ大学のレシーバーとして活躍。昨年11月の父の誕生日には95ヤードのTDパスキャッチを見せた。

トレイさんがアメリカンフットボールをしていることはよく知られている。アメリカのスポーツファンたちが、グリフィー家の「三代目」がメジャーリーガーとして活躍する姿を見てみたいと勝手に望んでいた面もあり、彼がどのような道に進むのかが注目されていたためだ。

長女のタリンさんもアリゾナ大に進学し、バスケットボールをしている。

二男は13歳。父とともに打撃練習をすることもあるそうだが、アメリカンフットボールを好んでいて、ラクロスもやってみたいそうだ。

トレイさんは野球よりアメリカンフットボールのほうが好きだと気持ちを明らかにしているし、二男もアメリカンフットボールが好きな様子。ジュニアの2人の息子たちは本格的に野球に取り組んでメジャーリーガーになる、ということは今のところはなさそうだ。

しかし、アメリカンフットボールはグリフィー家にとって馴染みのないスポーツかというと、全くそんなことはない。

グリフィー家は野球だけでなく、アメリカンフットボールも得意だったのだ。ケン・グリフィー・シニアは、2月4日付のニューヨークタイムズ紙「アメリカンフットボールが自分の一番目のスポーツ、それからバスケットボール、陸上。野球は最後だった」。

ケン・グリフィー・シニアは幼いときに両親が離婚しており、父のいない家庭で育った。経済的にも苦しかった。

なぜ、ケン・グリフィー・シニアが他のスポーツではなく、好きな順に並べると最後だったという野球選手になったのか。これにも、家庭の事情が絡んでいた。19歳でレッズからドラフト指名されたときに、プロ選手としてお金がもらえることに魅力を感じたからだ。

ケン・グリフィー・シニアとケン・グリフィー・ジュニアの快挙の影で、シニアの父であり、ジュニアの祖父の話はあまり語られていないが、グリフィー・シニアが1990年にシアトルタイムズ紙に自分の父について話した記事が残っている。

両親が2歳のときに離婚したため、それ以降に父親と会ったのは9歳と17歳のときだけ。子ども時代に父親と過ごした思い出はほとんどない。ケン・グリフィー・シニアがメジャーリーガーになってから父ともう少し会う回数を増やしたいと試みたが、あまりうまくいかなかったようだ。ケン・グリフィー・シニアは「ケニー(長男のケン・グリフィー・ジュニア)とクレイグ(二男)との親子関係のほうが、私と父との親子関係より、もっと大切なものなのだ」と答えている。

しかし、幼いときに別れ、離れて暮らしていてもケン・グリフィー・シニアの父でジュニアの祖父であることを感じずにはいられないエピソードがある。

シニアの父で、ジュニアの祖父であるバディー・グリフィーさんはカージナルスの永久欠番で殿堂入り選手のスタン・ミュージアルと高校の野球部でチームメートだった。

そしてバディーさんはアメリカンフットボール部の優れたハーフバックでもあった。

バディー・グリフィーさんは、アメリカンフットボールに優れていることで、奨学金を得てケンタッキー州立大学に進学。そこでケン・グリフィー・シニアの母と出会ったそうだ。

ケン・グリフィー・シニア.とケン・グリフィー・ジュニアは野球を選んだ。

グリフィー・シニアもう一人の息子、つまりジュニアの弟クレイグ氏もオハイオ州立大のアメリカンフットボールで活躍しており、(野球はマリナーズ傘下のマイナ―リーグにも在籍)、今はシニアの孫で、ジュニアの息子が大学アメリカンフットボールで活躍している。

バディー・グリフィーさんがそうであったように。

スポーツライター

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情をお伝えします。著書『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのかーー米国発スポーツペアレンティングのすすめ 』(生活書院)『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店) 連絡先kiyokotaniguchiアットマークhotmail.com

谷口輝世子の最近の記事