Yahoo!ニュース

写真で振り返る第51回スーパーボウル~ペイトリオッツの歴史的大逆転劇の軌跡~

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
延長戦を制してスーパーボウル優勝を喜ぶブレイディ(12番)(三尾圭撮影)

TEXT & PHOTO by KIYOSHI MIO

第51回スーパーボウルがテキサス州ヒューストンのNRGスタジアムで行われ、25点差の大逆転に成功したペイトリオッツが、スーパーボウル史上初となった延長戦を制して球団5度目となる優勝を飾った。

ジョージ・HW・ブッシュ元大統領とバーバラ夫妻がフィールドのコイントスでゲームは開始。

スーパーボウルでコイントスを行うブッシュ(父)元大統領夫妻(左端)(三尾圭撮影)
スーパーボウルでコイントスを行うブッシュ(父)元大統領夫妻(左端)(三尾圭撮影)

1Qは互いに相手の出方を伺いながら、両軍無得点で2Qに突入。先手を奪ったのはリーグ最強オフェンスを誇るファルコンズ。RBフリーマンがエンドゾーンに豪快に飛ぶこむタッチダウン・ランを決めて7ー0と先制。

「オフェンシブ・ラインマンが良い仕事をしてくれて、俺が走るスペースを作り出してくれた」とフリーマンはラインマンたちに感謝した。

2Q、先制のタッチダウンを決めるファルコンズのフリーマン(三尾圭撮影)
2Q、先制のタッチダウンを決めるファルコンズのフリーマン(三尾圭撮影)

フリーマンのタッチダウンで勢いに乗ったファルコンズは、QBライアンからTEフーパーへの19ヤード・タッチダウン・パスが決まって、リードを14点に広げた。

弱小守備陣と酷評されていたファルコンズ守備陣は、ペイトリオッツ攻撃陣に攻め込まれながらも、得点を許さない粘りを見せる。そして、ファルコンズのCBアルフォードが、ペイトリオッツのQBブレイディのパスをインターセプトすると、そのまま82ヤードを独走。試合はファルコンズが21点もリードする予想外の展開となった。

82ヤードのインターセプション・リターンを決めたアルフォード(三尾圭撮影)
82ヤードのインターセプション・リターンを決めたアルフォード(三尾圭撮影)

ペイトリオッツは試合を優位に進めながらも決定力に欠け、前半終了残り2秒でフィールドゴールを決めただけ。前半零封こそ逃れたが、3点を返しただけで試合はハーフタイムに突入。

ハーフタイムではレディー・ガガが圧巻のパフォーマンスでファンを魅了した。

ハーフタイムショーのパフォーマンスで試合に華を添えたレディー・ガガ(三尾圭撮影)
ハーフタイムショーのパフォーマンスで試合に華を添えたレディー・ガガ(三尾圭撮影)

後半に入ってもファルコンズ攻撃陣の勢いは衰えずに、QBライアンがRBコールマンへのタッチダウン・パスを決める。この時点で28-3と25点差にリードを広げて、多くのファンはライアンからコールマンへのタッチダウン・パスが決まった時点で、ファルコンズの勝利を確信した。

25点差に広げるタッチダウン・パスを捕るコールマン(三尾圭撮影)
25点差に広げるタッチダウン・パスを捕るコールマン(三尾圭撮影)

ペイトリオッツは3Q終盤にQBブレイディからRBホワイトへのタッチダウン・パスで、ようやくこの試合初めてのタッチダウンを上げるが、ポイントアフターのキックをブロックされて失敗。この時点では、まだ本来のペイトリオッツの姿からはほど遠く、最後の悪あがきにしか見えなかった。

この試合でペイトリオッツ初のTDはブレイディからホワイトへのパス(三尾圭撮影)
この試合でペイトリオッツ初のTDはブレイディからホワイトへのパス(三尾圭撮影)

そんなペイトリオッツが王者の風格を取り戻したのは4Qに入ってから。33ヤードのフィールドキックを決めると、次のファルコンズのドライブで試合の流れを変えるビッグプレーが飛び出した。

ダメ押し点を狙ったファルコンズ攻撃陣だが、自軍36ヤードからの3ダウン1ヤードの場面で、ペイトリオッツのLBハイタワーが、ファルコンズのQBライアンに襲いかかる。ハイタワーのQBサックはファンブルを誘い出し、ペイトリオッツのDTブランチがリカバー。

「外側からのシンプルなブリッツだ。ライアンの手にボールが見えたので、彼にタックルしながらボールも奪いにいった。チームメートから期待されたプレーをしたに過ぎない」とハイタワーは謙遜するが、ブレイディは「あのファンブルさせたサックは非常の大きかった。あのプレーのおかげで、僕たちが同点にするチャンスが生まれたんだからね」と大きな意味を持ったプレーだと高く評価。

敵軍25ヤードからの攻撃権を守備陣からプレゼントされたQBブレイディは、3本連続でショートパスを決めると、最後はWRアメンドラへのタッチダウン・パスを成功。2点コンバージョンを成功させて、ついに8点差まで詰め寄った。

試合の流れを引き寄せるビッグプレー後に喜ぶブランチとハイタワー(三尾圭撮影)
試合の流れを引き寄せるビッグプレー後に喜ぶブランチとハイタワー(三尾圭撮影)

続くファルコンズの攻撃をパントに追い詰めたペイトリオッツは、自陣9ヤードから同点を狙うドライブを始めた。QBブレイディはさまざまなパスを投げ分けて、着実に前進。最後はRBホワイトが1ヤードのランでゴールラインを割る。2点コンバージョンではWRアメンドラへのパスを成功させて、試合残り1分でついにペイトリオッツが25点差を追いつき、試合は51回目のスーパーボウルにして初となるオーバータイムに突入した。

91ヤードの同点ドライブで試合を延長に持ち込んだペイトリオッツ(三尾圭撮影)
91ヤードの同点ドライブで試合を延長に持ち込んだペイトリオッツ(三尾圭撮影)

先にタッチダウンを決めれば勝利できるオーバータイムではコイントスに勝ったペイトリオッツは迷うことなく、先に攻撃権を選択。

自陣25ヤード地点からの攻撃で、QBブレイディはパスを5本連続で成功させて、ボールを敵陣25ヤードまで進める。RBホワイトのランと相手のペナルティで、ゴール前2ヤードまで迫ると、最後はホワイトがこの試合3度目となるタッチダウンを決めて、劇的な逆転劇が完成した。

延長戦でホワイトが決めた決勝タッチダウン(三尾圭撮影)
延長戦でホワイトが決めた決勝タッチダウン(三尾圭撮影)

4Q終了まで一度もリードを奪えなかったペイトリオッツだが、オーバータイムではQBライアン率いるファルコンズ攻撃陣にフィールドへ立つチャンスを与えない鮮やかなウィニング・ドライブを披露。ブレイディは5度のスーパーボウル全てで、4Q以降に試合の勝敗を決めるウイニングドライブでチームを優勝に導いている。

MVPにはスーパーボウル新記録となる466パッシング・ヤードを投げたQBブレイディが選ばれた。

妻でカリスマモデルのジゼル・ブンチェンと勝利のキスをするブレイディ(三尾圭撮影)
妻でカリスマモデルのジゼル・ブンチェンと勝利のキスをするブレイディ(三尾圭撮影)
スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

三尾圭の最近の記事