北方領土問題が一気に動く可能性~東アジアの政治力学に大きな変化が生まれる

日本とロシアの首脳会談で、ロシアのプーチン大統領が過去にロシアが経験した国境問題に触れ係争領土の面積を等分する方式で解決したことに言及していたことが報道されています。本気なのか、揺さぶりなのかも分かりません。プーチン大統領からこうした話がでるのは予想外です。

日本の政府高官は、北方領土問題に関して、4島の日本帰属が確認されれば歯舞群島と色丹島の2島の先行返還も容認する考えを明らかにしています。まずは2島返還から、という発想はありますが、面積等分となると、さらに返還が実現できる可能性があります。択捉島の25%と歯舞、色丹、国後が日本に返還されれば、ちょうど50対50ぐらいの比率になります。つまり3島返還としても、まだ半分には達しないわけで、3島返還の可能性も一気に浮上してきました。

確かに、歴史を振り返ると、4島返還を要求するしかありません。3島であろうともそれで終わりにされては、という思いはします。しかし、現実的に、現時点で4島の即時返還をのぞむことはほとんど不可能な状況です。4島に2万人前後のロシア人が住んでいるという点もあります。

もし、プーチン大統領から3島返還を引き出せたとしたら、現時点で考えられるシナリオとしては相当にいいものと言えるでしょう。おそらくその後の択捉を加えた4島返還はかなりの時間をかけてのプロセスとなりそうです。まずは3島返還、そして時間をかけて択捉も返還させるというストラテジーが現実的であると思います。

問題は、3島に残るであろうロシア人の扱い。私は、歯舞群島と色丹島、国後の3島を日本の領土、択捉をロシアの領土として線引きをした上で、この4島における特別な契約が必要になると考えています。3島に残るロシア人は、望むならばかなり緩和した条件で日本国籍をとれることとともに、日本への永住権の獲得を優先的に行うこととします。他方、択捉に関しては、日本人のビザなし渡航を可能にし、労働ビザがなくても就労もできる、という特別な契約をします。つまり、この4島においては、お互いが相当に自由に行き来できる空間をつくるのです。これによって、北方領土は、日露の対立の象徴から、友好の象徴へと一気に変わります。これが、将来的には、4島すべての返還へと通じる道だと考えています。

日本とロシアの友好関係は、東アジアの政治力学を大きく変えます。ロシアも、日本とパートナーシップを組むことによって、経済発展の新たな展開をのぞむことができます。日本にとっては、原発事故から困っているエネルギー問題をかなり解消する糸口となりますし、複雑化する東アジアの政治状況の中で、有利な条件をえることになります。両国にとって望ましい展開になると思います。

安倍首相はタカ派的な政治家として見られています。それだけに、安倍首相が決断するなら、4島の即時返還でない場合でも、日本国内での反発は抑えられるのではないでしょうか。こう考えると、北方領土問題が一気に動く可能性があります。

この展開は、アベノミクスのさらなる追い風となることも確かです。