パチンコ業界に空前の危機~求められる大改革

(写真:アフロ)

パチンコ業界が大きく揺れています。そもそもパチンコは実質上「民間ギャンブル」でありながら、法的にはギャンブルではないというグレーゾーンで生き延びてきたものです。ギャンブルは直接に現金で配当を払うものであり、パチンコの場合は、景品を出し、それを景品交換所で現金に換えるシステムです。景品交換所とパチンコ店は少なくとも形式上は別会社です。景品を出しているだけという扱いのもとに、ギャンブルではない、という形式になっているのです。

パチンコで勝って、景品だけで満足する人は少ないことは周知のこと。多くの人は景品交換所で現金に換えますが、これを黙認してきたのです。

公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書2014」は、平成25年のパチンコの市場規模や遊技人口を出しています。それによれば市場規模は18兆8千億円となり、巨額が動いています。一方で、ぱちんこ遊技への参加人口は、対前年比で140万人減少し、1,000 万人を割り込む970万人となっています。これを25年前の平成元年の数字と比較しましょう。平成元年では市場規模が15兆3千億円、遊技人口が2,990万人でした。この25年で遊技人口が激減しますが、市場規模はさらに大きくなっていることがわかります。単純に市場規模を遊技人口で割って、一人あたりの遊技費用を出してみましょう。平成元年では一人あたりの遊技費用は年間51万円です。これが平成25年では一人あたりの遊技費用は年間194万円となっています。つまり25年前に月に4万円使っていたのが、今では月に16万円ほど使っているということです。実に4倍です。

これはパチンコ業界が射幸性を高めたことと連動しています。以前は7割の人がそこそこ負けて、3割の人がそこそこ勝つというスタイルだったのが、今では9割の人がしこたま負けて、1割の人が爆勝ちするというスタイルになっているといいます。爆勝ちの快感がギャンブル依存症に導いていると言われます。

もちろん射幸性を抑えるための基準は設けられています。しかし、この基準が守られていない、ということが問題となっているのです。大当たりの確率などが規定されていて、これらは事前にチェックされています(されているはずです)。しかし、全国161店舗、258台の遊技機に対する調査が行われ、その結果、法令の定める基準に則って設置が行われている遊技機が「一つもない」という結果が出ました。実に適合率は0%。パチンコ店が釘を曲げるという不正行為が指摘されているばかりか、メーカーが出荷している時からすでに違法状態になっているということも明らかになりつつあります。この規制を厳格に守っていこうというのがこれからの方向です。

しかもさらに規制を厳しくすることも決まっています。

1.大当り確率の下限値が現行の1/400から1/320となりました。

2.一連の大当りで得られる遊技玉数の期待値が最大7200個(最初の大当り分を含まず)に変更されました。

3.獲得出玉の期待値が6400個を超える場合、最大出玉の1/3もしくは600個以上の出玉が獲得できなければならない、などです。

これが実現されると、大勝ちはほとんどなくなります。ギャンブル性が大きく落ちていきます。これまでパチンコ店は遊技人口の減少を一人あたりの費用の増大でカバーしてきました。大勝ちする可能性があるからこそ、多額の費用を使ってきた客がいます。この客にとっては満足がいかないものになるでしょう。これからパチンコ店の売り上げが落ち込んでいく可能性が高いのです。

ある意味、健全な方向性への転換ともいえます。パチンコ業界が生き残るには、楽しく遊べるゲームセンター化しかないといえます。今はパチンコ台が問題視されていますが、スロットも基本的には同じこと。どちらにも規制は強まるでしょう。最終的には換金システムにまで規制が及ぶかもしれません。こうなるとこれまでのパチンコ業界の基本的なシステムが崩れます。

ギャンブル性を落として、遊技性を高めるか、それとも転業するか。パチンコ業界は大きく揺れています。