中国の環境規制、急速に厳罰化へ~日系企業にも迫られる対応

(写真:ロイター/アフロ)

中国の環境問題が深刻化していることはよく知られている。世界的にも中国の大気汚染の深刻化は認知されるようになり、日本でも大気汚染物質「PM2.5」という言葉も一般的に知られるようになった。水質汚染も土壌汚染も深刻だ。黄色や緑色の河川の写真などがインタネットで公開されている。中国の高度経済成長の陰に環境問題が存在している。中国は環境後進国というイメージがついている。

中国政府はこうした事態に対して、環境保護法や大気汚染防止法を改正して、規制強化により環境問題に対応しようとしている。一気に欧米の規制レベルに持っていこうとしている。あまりに急なので本当にできるのか、と首を傾げるほどすごい変化だ。以前ならどうせ、賄賂で抜け道がいくらでも作れると高をくくる話だ。しかし、そうした賄賂に対しても厳しい対応がなされている。一歩間違えれば刑務所行きになる。賄賂の抜け道も簡単ではなくなっている。中国政府は相当に本気で環境問題に取り組もうとしている。欧米諸国や日本が20~30年位かけてやってきたことを、中国は一気に数年で行おうとしている。明らかな無理もある。しかし、それくらい中国の環境汚染は深刻で、追い詰められているといえる。これは日系企業にとっても重要な変化だ。日系企業も気を緩めると環境規制に引っかかり、処罰される可能性がある。また同時に、日本の環境技術を使って、中国に環境ビジネスを売り込むチャンスでもある。変化をしっかりと把握して取り組むことが必要だ。情報戦となっている。

2014年4月24 日に改正された「環境保護法」は15年 1 月 1 日から施行されている。さらに15 年 8 月 29 日には「大気汚染防止法 」が改 正され、16 年 1 月 1 日から施行された。今後さらに他の法律も改正され、「土壌汚染防止法」も新たに制定される予定だ。中国は土壌汚染に関しては規制が緩やかであった。工業排水も圧力をかけて土壌に入れてしまえばお咎めなし、という状態であった。それが、深刻な土壌汚染を生み、地下水も汚染された。中国は地下水を大量に使うので、地下水の汚染は致命的な影響がある。ここにもメスが入ろうとしている。非常に大きな変化だ。

こうした法制化によって、環境規制を違反した企業や人には制裁金などの罰則も課されるようになった。またひどいケースの場合には身柄を拘束することもできるようになった。違反の工場には生産制限や生産停止などの措置も取れる。法的にはこうしたことが可能な状況は作られてきたのである。しかし、それでも従わない企業も少なくなかった。抜け道をなんとか探すのである。

7月28日付のロイター(デジタル版)によると、7月27日に中国環境保護省は、今後、規制を超える排出を行ったり環境面での認可を得ずに工場を建設した企業について、金融や土地利用制限など厳しい処罰の対象にすると発表した。中国環境保護省はウェブサイトに通知を掲載した。

法律の整備をこれまで行い、これからはそれを厳しく適応するという強いメッセージだ。あれだけ汚染物質を垂れ流しにしていた企業を一気に規制できるのか、という疑問は残る。しかし、どうやらその不可能にも見えることを実際にやろうとしているようだ。日系企業も迅速に対応することが求められる。欧米並みといいながら、部分的にはそれよりも厳しい数値規制があるものもある。日本や欧米企業でさえ、クリアするのに大変な努力が求められるものもある。

中国の今の環境技術だけではとうてい解決しない状態になった。ここまで中国政府が本気なら、環境技術のある日本企業には大きなチャンスが到来したと言える。環境技術をやみくもに中国に渡すのは得策とは言えない。相当な試行錯誤と資金と努力で手に入れた技術だ。しっかりとした技術ライセンス契約を結んで、主要な技術は保護する必要がある。知的財産権を守りながら、ウインーウインの関係を築くことができるかどうか。環境改善の事業は、悪化してきた日中関係を改善する一つの共同事業になるかもしれない。

中国の土壌、地下水は相当に汚れていると考えられる。法的な整備は一気に出来るのかもしれないが、実際に浄化していく作業は数十年の単位の長期戦になりそうだ。