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錦織圭に続く日本男子テニスの次世代を担う西岡良仁が、マイアミ初出場でベスト32の快挙!!

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
初出場のマイアミオープンで、予選からベスト32に進出した西岡(写真/神 仁司)
初出場のマイアミオープンで、予選からベスト32に進出した西岡(写真/神 仁司)

西岡良仁(ATPランキング124位、3月21日付け、以下同)が、厳しい予選を勝ち上がってマイアミオープンで初めて本戦入りを果たした。

1回戦では、ラッキールーザ―のジェレド・ドナルドサン(152位、アメリカ)を、6-3、6-4で破って、見事初勝利。マイアミ大会は、ATPテニスツアーで、マスターズ1000というグランドスラムに次ぐグレードの大会で、このグレードは年に9大会ある。西岡は、20歳でマスターズ1000という大きな舞台での初勝利を挙げたのだ。

さらに、2回戦では、第21シードのフェルシアーノ・ロペス(23位、スペイン)を、6-4、6-4で破り、初のベスト32入りを決めた。

左利き同士の対決となったが、ロペスは、いつもよりネットに出てこないで、片手バックハンドのスライスでゆったりとしたペースでボールを散らしてきた。

「結構やりづらかったですね。でも、しっかりフォアのクロスを打ち切って、相手を走らせた。(自分の)プレースメントがよかった」と語った西岡は、フットワークを使ってボールを丁寧に打ち返し、コースを突いてロペスを左右に走らせてミスを誘った。

34歳のロペスは、百戦錬磨のベテランだが、西岡に対してミスが多かった。ファーストサーブの確率が47%とふるわず、セカンドサーブのポイント確率はわずか29%にとどまった。

西岡は、身長170cmで、ワールドテニスツアーの中では小柄だが、ファーストサーブの確率を73%に保ち、ラリーの主導権を握りながら試合の流れを手放さなかった。勝利を決めた瞬間は、コーチに向かってクールな表情の西岡だったが、試合終了の握手の後には、テニスコートに大の字になって純粋に嬉しさを表現した。

「いちばん大きな勝利ですね」と語った西岡だが、実は、彼の心の中には、負けられない別の理由があった。

20歳の西岡を含めた同世代の選手には、才能ある選手が多く、ニック・キリオス(46位、オーストラリア、20歳)、ボルナ・チョリッチ(46位、クロアチア、19歳)、アレクサンダー・ズべレフ(52位、ドイツ、18歳)、チョン・ヒョン(67位、韓国、19歳)といった選手らは、若くして世界のトップ100に入って、ツアーですでに活躍している。そのため、“ネクスト・ジェネレーション”としてATPツアーでフィーチャーされるほど注目が高い。こういった“ヤングガン”に、西岡は遅れをとりたくなかったのだ。

「近い世代が、(世界の)100位をきって、頑張っている現状で、20位台の選手にも勝っている子がいる。僕自身も、そこを越えていける場所に来ていると信じた結果、自分のベストプレーができた。若手がどんどん出てきて、すごく刺激になる。そこに早く追いついて、同じところに立って、負けないようにしたい」

3回戦で西岡は、第14シードのドミニク・ティーム(14位、オーストリア、22歳)と対戦する。昨年からツアー優勝を果たして急成長している強敵だ。

「チャンスはゼロじゃないと思っている」と西岡は、さらに上を見つめている。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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