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弱冠18歳の大坂なおみが、マイアミで示した大いなるポテンシャル

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
初出場のマイアミオープン大坂は、今後への大きな自信を得た(写真/神 仁司)
初出場のマイアミオープン大坂は、今後への大きな自信を得た(写真/神 仁司)

大坂なおみ(WTAランキング104位、3月21日付け、以下同)はワイルドカード(大会推薦枠)で初出場したマイアミオープンの3回戦で、ティメア・バボス(49位、ハンガリー、22歳)に、5-7、0-6で敗れて、初のベスト16進出はならなかった。

「第2セットではミスが多すぎました。原因はわかりませんけど、自分のサーブに自信が持てませんでした。ナーバスになったわけではありません」

このように試合を振り返った大坂は、テニスの4大メジャーであるグランドスラムに次ぐレベルのプレミアマンダトリーのマイアミ大会で、2試合勝ってベスト32に進出。18歳の彼女にとっては、世界のトップレベルで戦うこと自体が貴重な機会であり、1戦1戦プレーするごとに強くなっていくような成長を見せた。

「マイアミでの初めてのプレーでした。(3回戦で)今日負けてしまったのは残念ですけど、大会全体としてはよかったと思います。自分にとっては、素晴らしい経験になりました」

マイアミでランキングポイント65点を獲得した大坂は、大会後に92位前後に上昇する予定で、初めて世界のトップ100入りを果たすことになる。日本女子で、18歳でのトップ100入りは、森田あゆみ(2008年)以来だが、多くの日本女子選手は、20代になってからトップ100入りをしているので、大坂は驚異的な進化を遂げたといえる。

「とても嬉しいです。以前は来年ぐらいにトップ100に入れるかなと思っていたんです。年初に自分のランキングは150位ぐらいでしたからね(2016年シーズンは144位でスタートした)。(1月のオーストラリアンオープン開幕時に)今年中にトップ100に入りたいと思いましたので、それができて良かったですね」

これによって、5月下旬にフランス・パリで開催される、グランドスラムの第2戦・ローランギャロス(全仏)の本戦ストレートインが確実になり、大坂にとっては初出場となる。

ローランギャロスは、テニスコートのサーフェスがレッドクレー(赤土)になるが、大坂は、「フロリダ半島に多く存在するグリーンクレーコートでたくさんプレーしたことがあります」と語り、苦手意識はないようだ。

あらためて、マイアミで大いなるポテンシャルを示した大坂。パワーとスピードのあるサーブやストロークは、まだ荒削りなところはあるが、ツアーで十分に通用するし、大きな武器であることは間違いない。また、試合中にメンタルのアップダウンがあり、ミスが増えると、ラケットを投げようとする仕草を見せたり、かんしゃくを起こしたりするが、18歳では普通のことだろう。試合を重ねて、経験値を上げていけば、必ず改善できるだろう。

自分のテニスレベルを上げるためには、「自信を持つことです」と語る大坂だが、今シーズンに、彼女がどれだけ成長するのか本当に楽しみだ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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