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ウインブルドンテニス、2年ぶり2度目のベスト16に進出した錦織圭が戦っている、もう一つのやっかいな敵

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
ウインブルドンで、2014年以来2度目の自己最高となるベスト16に進出した錦織
ウインブルドンで、2014年以来2度目の自己最高となるベスト16に進出した錦織

テニスの4大メジャーであるグランドスラムの第3戦・ウインブルドンの3回戦で、第5シードの錦織圭(ATPランキング6位、6月27日付、以下同)は、アンドレイ・クズネツォフ(42位、ロシア)を 7-5、6-3、7-5で破って、2014年以来2年ぶり、2度目のウインブルドン自己最高タイとなるベスト16に進出した。

2回戦に続いて3回戦も、雨によって試合が順延となり、試合日が7月1日から2日に変更された。

「昨日はどちらかというとやりたくなかった。(20時ぐらいに順延が決まり)、もうちょっと早く言ってくれればよかった。ちょっとだけキレそうでした」と語った錦織だが、左わき腹の痛みを少しでも回復させるためには、またもや恵みの雨となった。

3回戦で錦織は、フラット系の打ち合いが得意なクズネツォフに対して、ラリー戦に変化をつけた。フォアハンドストロークでは、トップスピン(順回転)の回転量を増やしたり、バックハンドストロークでは、スライス(逆回転)で守備をしたりして、クズネツォフのミスを誘った。

「なるべくどの試合も、最初から早く終わらせたいと思っているので、ある意味集中できて、試合に入れているかもしれないです」と語った錦織は、2回戦よりもさらにショットの調子を上げて23本のウィナーを決めた。また、雨による試合中断が2回もあったが、錦織は、全く気に留めず、無の状態だった振り返り、集中力を途切れせることはなかった。

4回戦では、第9シードのマリン・チリッチ(13位、クロアチア)と対戦するが、両者の対戦成績は、錦織の7勝3敗で、グラス(天然芝)コートで対戦するのは初めてだ。チリッチは、2014年から2年連続でウインブルドンベスト8に進出しているが、2016年大会も好調で、3回戦では、サービスエースを19本も決めて、ベスト16に進出してきた。

「まずは(チリッチの)サーブが強力なので、リターンゲームに集中しないといけないですけど、自分のサービスゲームをなるべく落とさないようにしないといけない」

このように語る錦織だが、今回のウインブルドンで戦っているのは、対戦相手だけではない。大会前から錦織を悩ましている左わき腹の痛みだ。実は、3回戦も、ストレート勝ちではあったものの、錦織の中では葛藤があった。

「試合中に、自分の痛みと戦う時の方が多かった。しょうがないけど、今週は痛みと戦わないといけないので、正直やっていてあんまり楽しくないというか、テニスにあまり集中してできない。いかに自分の体にムチうって戦うか、です。今日はちょっと出し尽くした感じはあります」

グランドスラムの第2週に入れば、チリッチのようにレベルの高い選手を戦うために、錦織自身もギアアップしなければならないが、自分の左わき腹の痛みと戦うことに気取られながら、どれだけのテニスができるか、錦織にとっては、4回戦の課題になるだろう。

「自分の体と戦うことに神経を使っているので、勝ちへの欲が出てこないというか、様子見ながらだったりもするので、そんなに勝ちに対して考えられない」とも語る錦織は、ギリギリの厳しい状態で、ウインブルドン初のベスト8入りを目指すことになる。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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