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コンビ名募集中! 加藤未唯&穂積絵莉ペアは、日本女子テニス界ダブルスの若きホープ

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
加藤(左)と穂積は、初出場のUSオープン女子ダブルスで3回戦進出(写真/神 仁司)
加藤(左)と穂積は、初出場のUSオープン女子ダブルスで3回戦進出(写真/神 仁司)

今季最後のテニスの4大メジャーであるUSオープンテニスの女子ダブルスで、加藤未唯/穂積絵莉組は、初出場ながら3回戦に進出した。3回戦では第1シードのペアに敗れたが、2回戦では第14シードのペアを破って、コンビネーションの良さを披露した。

もともと加藤(WTAダブルスランキング68位、8月29日付け、以下同)と穂積(55位)にとって、2016年シーズンの目標がUSオープンの本戦ダブルスに出場することだった。だが、2月のWTA高推大会(台湾)で準優勝し、さらに4月のWTAカトヴィツェ大会(ポーランド)では、見事ツアー初優勝を飾った。

ダブルスランキングが急上昇したことにより、メジャー第2戦のローランギャロス(全仏テニス)では、お互いダブルスパートナーは違ったが、加藤も穂積もグランドスラムデビューを飾った。そして、メジャー第3戦のウインブルドンでは、加藤&穂積ペアとして、初めてグランドスラムに臨み、見事初勝利を飾って2回戦に進出したのだった。

2人共に1994年生まれで21歳の加藤(11月)と22歳の穂積(2月)。テニス界には、“黄金世代の1994年組”という言葉が存在し、94年生まれには才能が豊かな日本女子選手が多い。その中で二人は、ジュニア時代から切磋琢磨してきた。

京都府出身の加藤は身長156cmで小柄だが、動きが俊敏で、いろんなボールを器用に打てる技術も持ち合わせる。明るい性格でちょっと天然系。「結構お調子者だけど、憎めない。すごいポジティブ」(穂積)。

神奈川県出身の穂積は、身長168cmで日本女子選手の中では背が高く、安定したグランドストロークが持ち味だ。性格はしっかりもので、インタビューの受け答えも理路整然としている。「一緒にいて楽です。同い年ですけど、学年では1個上なので、いいお姉さんかな」(加藤)

見かけもキャラも全く異なる二人だが、ダブルスのコンビネーションは、ジュニア時代から組んできただけあって抜群だ。穂積がダブルス後衛から、しっかりストロークを打ち、加藤がダブルス前衛からポーチ(ボレーでダイレクトにボールを打つこと)でポイントを決めるパターンが最大の武器となっている。まさに、1+1が2ではなく、3にも4にもなるような相性の良さだ。

また、2人共にUSオープンシングルスの予選にも出場したが、加藤(WTAシングルスランキング200位)は予選2回戦で敗れ、穂積(WTAシングルスランキング205位)は予選決勝で敗れたが、グランドスラム本戦やWTAツアーでのダブルスの経験が、今後必ずシングルスにも活かされていくはずだ。

「シングルスもダブルスも全然違うものだと思いますけど、最低限のストローク力、サーブ力、ボレー力、一つ一つのパーツは、どっちも絶対に必要なもの。ダブルスは展開が早い中で、ちゃんと動いて打つのは難しい。シングルスの方が打つ所は広いと思うけど、ダブルスの中で細かい所を狙って打てたら、シングルスでの緊張した場面でも、少し気持ちに余裕が持てたりする。ダブルスだけでも、グランドスラム本戦やWTAツアーに行けていれば、雰囲気も慣れてきますし、トップ選手と当たった時も、最初から自分にできるぞといい聞かせることができる。私はあんまりシングルスよりダブルスが先かと思っていなくて、両方一緒に上がって行けたらと思っています」(穂積)

「ダブルスをプレーして、WTAツアーやグランドスラムのいい雰囲気の中でできています。言いたかったことがあったんですけど、忘れちゃった……。(少し間があってから)大きい大会に行くと、シングルスの練習もトップの人とできるので、そこからかなりいい刺激をもらっています」(加藤)

今後、加藤と穂積が、グランドスラムやWTAツアーで活躍して、日本女子テニスの新しい時代をつくり、盛り上げていってほしい。個人的には、たとえ今年が無理でも、年間成績上位ダブルス8組しか出場できないツアー最終戦・WTAファイナルズに、日本人ペアとしていつか出場してくれたらと願っている。

現在は、WTAファイナルズの出場権争いでは25番につけている加藤/穂積組。

「もちろん出れたら出たいすけど。現実的にね~」と穂積が言えば、加藤は「ま、まだかな、みたいな」と間髪入れず言って笑いを誘った。やっぱりいいコンビだ。

おまけ

女子ダブルスの加藤/穂積組のコンビ名を募集中です。「周りの人に聞きたいです」と穂積さん。みんなで二人のイメージに合った愛称を考えてあげましょう。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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