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「今まで生きて来た中で、一番きれいな光景でした」注目女子テニス選手、日比野菜緒インタビューPart3

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
ウエアと違い、私服の日比野菜緒は、普通の22歳の女の子に見える(写真/神 仁司)
ウエアと違い、私服の日比野菜緒は、普通の22歳の女の子に見える(写真/神 仁司)

2015年10月に、女子ワールドテニスのWTAツアーで、いきなり初優勝を遂げたのが日比野菜緒だ。

大会当時20歳だった日比野は、WTAタシケント大会(ウズベキスタン、9/28~10/3、アウトドアハードコート)で、WTAツアー大会2回目の挑戦で、初の決勝進出を果たし、見事初優勝を勝ち取った。日本女子9人目のツアー優勝者となった日比野は、現在22歳になり、日本女子テニス界の若手注目選手の1人だ。インタビューPart3では、日比野の長年の夢であったオリンピックについて語ってくれた。

――2016年5月下旬の日比野さんのWTAランキングは、71位でした。全仏直後の、WTA125Kボル大会(クロアチア)で、ランキングアップを望みましたが、ベスト4。69位になりましたが、オリンピックの本戦は56ドローなので、リオデジャネイロオリンピックの本戦ストレートインは厳しい状態でした。オリンピック出場は、日比野さんの最大の目標でしたから、つらい心境だったのではないでしょうか。

日比野:最初は出られないと言われていて、悔しかったですね。ウインブルドンの前哨戦の移動日に、泣きました。でも確定ではないので、 みんなからチャンスはあるよと言われていました。どこかで出られるかもしれないという望みは持っていました。

――6月下旬に、ウインブルドン開幕直前に、ITF国際テニス連盟から推薦枠出場打診を受けましたが、まさに地獄から天国へという感じでしたか。

日比野:ウインブルドンにいる時に、(コーチの竹内)映二さんから聞いて本当に嬉しかったです。もう嬉しい、の一言です。嬉し泣きはせ ずに、ホッとした感じでした。

――日比野さんの長年の夢が叶って、感慨深かったのではないでしょうか。

日比野:ダメだった時の方が印象に残っていて、決まった時はホッとして嬉しいと思うくらいでした。私は、(オリンピックの)壮行会や結 団式に参加できなかったので、オリンピックに行けるとなっても、それほど実感はわきませんでした。決まってからは、あっという間でし たね。

――WTAフロリアンポリス大会(ブラジル)でベスト8に入って、いよいよリオデジャネイロオリンピック。どんな気持ちでリオ入りしましたか? 

日比野:待ち遠しかったですね。早く行きたいなと思っていました。とにかく選手村が広くてびっくりしました。バスで移動するんです。部 屋は、土居(美咲)さんと、穂積(絵莉)さんと、バレーボールのトレーナーが一緒でした。みんなでマック(マクドナルド)に食べに行 きました。

――初めてのオリンピック選手村での滞在はどうでしたか。

日比野:会場では、普通のテニス会場と変わらないから、オリンピックだったんだよねと、土居(美咲)さんと話すぐらいでした。

――開会式では、日比野さんの満面の笑みがカメラに抜かれていました。実際に出席してどんな気持ちでしたか。

日比野:みんなから映っていたよ、と言われました。今まで生きて来た中で、一番きれいな光景でした。びっくりしました。鳥肌立ちっぱな しで、ずっと興奮していました。歓声もすごかったです。あれだけでも、もう1回オリンピックに出たいなと思います。ボランティアでも いいから開会式は出た方がいいですよ(笑)。

――他競技の選手と交流はありましたか。

日比野:開会式の時に、卓球の選手の福原愛選手や伊藤美誠ちゃんや吉村真晴選手と少し話す機会がありました。あとは、全然選手に会わな かったですね。

――オリンピック1回戦では、イリナカメリア・ベグ(25位)に、6-4、3-6、6-3で勝利。オリンピック初出場初勝利で、日比野さんにとっては、かなり価値ある勝利だったのではないでしょうか。

日比野:あの時は、(日比野の試合の前に)他の日本人選手が(1回戦で)全員勝っていたんです。失礼な話だとは思うんですけど、女子ダ ブルスで、日本ペア(土居/穂積組)は、1回戦の対戦相手が第1シードのフランスペアだったので、まさか勝つと思っていませんでした。あとは、私だけだと思って、すごい気合が入りました。

――初めてのオリンピックで勝つことができて、本当の意味でオリンピアンの仲間入りですね。

日比野:あれ勝って、金メダルだったらよかったんですけどね(笑)。

――オリンピックでは、ランキングポイントを手にすることができなかったことについては、どう考えますか。

日比野:私の中では、オリンピックは価値が高くランクの高い大会なので、それに出ることだけで意味があることだと思っていました。(迷 いのあった)錦織(圭)くんとは違いますかね(笑)。

――次は東京オリンピックですね。

日比野:テニス選手として、25歳(日比野さんは1994年11月生まれ)は、一番いい時期だと思うんです。そこに東京オリンピックがあるの は、すごい幸せなことだと思います。それに向かって頑張れるだけでも、すごい幸せなだなと感じます。1年1年しっかりやっていきたい。

(Part4に続く)

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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