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「グランドスラムで勝たないと、なんか本物ではない」注目テニス選手、日比野菜緒インタビューPart4

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
日比野菜緒は、プロ5年目となる2017年シーズンの目標を語った(写真/神 仁司)
日比野菜緒は、プロ5年目となる2017年シーズンの目標を語った(写真/神 仁司)

2015年10月に、女子ワールドテニスのWTAツアーで、いきなり初優勝を遂げたのが日比野菜緒だ。

大会当時20歳だった日比野は、WTAタシケント大会(ウズベキスタン、9/28~10/3、アウトドアハードコート)で、WTAツアー大会2回目の挑戦で、初の決勝進出を果たし、見事初優勝を勝ち取った。日本女子9人目のツアー優勝者となった日比野は、現在22歳になり、日本女子テニス界の若手注目選手の1人だ。インタビューPart4では、2017年シーズンへの抱負を語ってくれた。

――竹内映二コーチと1年ツアーを回ってみて、どんなこと課題として指摘されましたか。

日比野:私が、悪い時が長かったのに、すごい支えてくれた。あんまり多くを語る人ではないんですけど、大事な時に背中を押してくれる。 今は欠かせないというか、映二さんがいなければ、成長できない。今は、もっとフォアハンドストロークの威力を増して、武器にできるよ うに常に取り組んでいるので、オフシーズンにもっと磨きをかけれればいい。

――新しい所属先「LuLuLun(ルルルン)」が決まってよかったですよね。

日比野:株式会社グライド・エンタープライズという、まだ新しい会社なんですけど、国内だけでなく世界にも「フェイスマスク」を発信し ていきたいという(世界へ挑戦する)部分が、私と似ていると言ってくださって、サポートしていただいています。

――実際に本戦を戦って、グランドスラムでは、どの大会が一番好きですか。

日比野:私は、(ニューヨークで開催される)USオープンが一番好きです。雰囲気もいいですし、気候も好きです。最後のグランドスラム ですし、気合が入ります。

――尾崎里紗さんもトップ100入りを果たし、穂積絵莉さんと加藤未唯さんは、WTAツアーのダブルスで優勝しました。みんな日比野さん の同期の、“1994年組”です。2017年には、“1994年組”が日本女子テニスの中心になっていくように思われます。日比野さんにとって、 “1994年組”の選手達は、どんな存在ですか。

日比野:別に上がってきたら、上がってきたいいし、上がってこなかったら、上がってこないでいいし、という。オフコートでは、LINEす るくらい本当に仲がいいんですけど、コートに入ったら、何とも思わないというか、むしろライバルなので、彼女達が頑張っているから、 刺激になるというのはちょっと違うかな。そんなきれいごとじゃないような気がします。

――日本女子選手は、現在、世界のトップ100に5人います(土居美咲40位、大坂なおみ48位、奈良くるみ77位、日比野菜緒94位、尾崎里紗97位)。この状況をどう捉えていますか。

日比野:すごく嬉しいです。私の目標の中に、(女子テニス国別対抗戦)フェドカップのワールドグループで優勝したいというのがあるの  で、そのために、みんなが少しずつでもいいから上がって来ているのはすごくいいことだと思います。やっぱり日本人としてテニスをやる んだったら、そこが一番かな。国に貢献できるのは、フェドで優勝するか、オリンピックでメダルを取るか、です。テニスは、個人スポー ツですけど、そういうところも私は大切にしてやっていきたい。

――2017年では、グランドスラムでまずシングルスで本戦初勝利を目指したいですか。

日比野:それはもちろん。やっぱりグランドスラムで勝たないと、なんか本物ではないなと感じているので。1回戦を勝つというよりかは、 そこでコンスタントに勝っていけるような選手になりたいというのが今の一番の目標です。

――2017年シーズン、プロ5年目の目標は? 

日比野:50位以内でシーズンをフィニッシュすることが一番の目標です、そのためには、グランドスラムでの勝ちが必要になってくるので、そこでしっかり勝てるようになっていきたい。テニスは練習していて、日に日に良くなってきています。それより、グランドスラムを 特別視しすぎているところがあるので、グランドスラムで勝ちたいと思い過ぎないで、普段の大会と変わらないように、いい意味でリラッ クスして入っていけたら大丈夫だと思う。でも、まだグランドスラムでの経験が浅い分、まだどこかグランドスラム、って思ってしまうの で、その意識を無くしていけたら、いい結果がついてくるんじゃないかと思います。

2016年に経験したことを、2017年に活かせればといいかなと思っています。2016年は、(ツアーでの)研修期間みたいなものでした(笑)。来年は、もっと自分らしく、自分らしさを前面に出して、周りを見過ぎずに頑張りたい。

(おわり)

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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