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「グランドスラムで勝つ難しさを痛感しました」尾崎里紗のほろ苦いテニスの4大メジャーデビュー

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

全豪オープンテニスで、4大メジャーデビューした尾崎里紗(写真/神 仁司)
全豪オープンテニスで、4大メジャーデビューした尾崎里紗(写真/神 仁司)

プロテニスプレーヤー・尾崎里紗(WTAランキング93位、1月16日付け)が、1月16日にメルボルンで開幕したテニス4大メジャーであるグランドスラムの初戦・オーストラリアンオープンで本戦初出場を果たした。

彼女にとっては、22歳でのグランドスラムデビューとなったが、1回戦で、サラ・エラーニ(53位、イタリア)に、5-7、1-6で敗れ、本戦初出場で初勝利はならなかった。

エラーニは、2012年ローランギャロス(全仏テニス)でシングルス準優勝を果たし、2013年5月には自己最高となるWTAランキング5位を記録したことがある。29歳のベテラン選手に対して、尾崎は、試合の序盤に動きが硬く、得意のフォアハンドストロークのスウィングも鈍くなってしまいミスを多く犯した。

第1セット第6ゲーム30-30の場面で、エラーニが体調を崩し、ドクターの治療を受けるために試合が中断。どこかリズムにのれない尾崎は、第1セット2-4から5-4と一度はリードを奪ったものの、エラーニの粘り強いプレーに根負けして、結局第1セットを5-7で奪われた。

「(第1セットでは)全体的に少し硬くなってしまって、(ラケットの)振り切りも甘かったです。エラーニも最初は良くなかったですけど、私の積極性が足りなくて、フォアの甘いボールのミスもしてしまったし、そういうチャンスをものにできなかったです」(尾崎)

さらに、尾崎の1回戦が行われた1月17日のメルボルンは、気温が35度まで上昇し、尾崎の体力を奪っていった。第2セット中盤以降は、尾崎の足が満足に動かず、エラーニに体力負けを喫してしまった。

「グランドスラムで勝つ難しさを痛感しました」という尾崎は、普段のWTAツアーでの試合の時に、自分から取りにいかずに、相手のミス待ちでポイントを取って勝ててしまっていたことを自認しており、それではグランドスラムで勝てないと、今回のオーストラリアンオープンでの戦いから感じずにはいられなかった。

「(自分の)ランキングに見合うプレーは、まだ全然できていないと思うので、プレーの質をもっと上げないといけない。もっとフィジカルも上げないといけない」

尾崎にとっては、ほろ苦いグランドスラムデビューとなってしまったが、まずはグランドスラムの本戦の舞台に立てたことを自信にすべきだ。

「(グランドスラム本戦初出場は)ちっちゃい頃からの夢でしたし、ランキングを自力で上げて、本戦に出場できたのは、私にとってはすごくプラスのことですし、次はフレンチ(全仏テニス、5月28日からパリで開催)にチャンスがあるので、そこで勝てるようにしたい」

今、尾崎の課題としては、ショットのクオリティを上げること、積極的にポイントを奪うプレーをすること、フィジカルを挙げることが挙げられる。確かに課題は多いが、やるべきポイントははっきりとしている。

もちろん容易なことではないが、課題を克服できれば、必ず尾崎は強くなる。そして、グランドスラム本戦でコンスタントに勝てる力も備えることができる。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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